T 狼と寝台特急
ぬしにはじめに言っておこう。
今回の遠征でゲットした約1500枚のJPGと30ほどのMPGは失われた。
なぜじゃ!
SONYだからかや?
さて奥州遠征じゃ。
今回で4度目じゃの?
今この時期に奥州遠征を行うわけは・・・
1 2日間で行って帰ってこなくてはならない
今回の時間は二日間じゃ。まったく、人の時間とは短いの。
その間に行って滞在して帰ってこれる距離でなければならんの。
2 花粉
この時期、人間の天敵は花粉じゃ。
わっちは花粉の無い土地に行きたい。
と、なると、北の地に限るの。
3 美味いもの
やはり旅の醍醐味は美味い食い物じゃ!
山羊のチーズ、桃の蜂蜜漬けも捨てがたいが、
やはり旅先で食える最良の食い物は海の幸じゃな。
4 あけぼの
九州遠征時に乗った「富士」、北陸遠征時に乗った「北陸」、
どちらも廃止されてしまった・・・
上野から裏日本を経由して青森へ向かう寝台特急「あけぼの」も風前の灯火と思いんす。
葬式鉄に踏み荒らされる前に乗っておこうかや。
そういうわけじゃ。
全ての条件を満たす行き先は津軽じゃの。
しつこい急な残業をやっつけて上野駅にたどり着いたのは夜の9時前じゃ。
乗らなければならぬ「あけぼの」は9時15分に出発するからの。
間に合わなければすごすごと尻尾を丸めて家に帰らんとならん、と思っておったが、
どうやら間に合ったようじゃの。
鉄の人々は、完璧な「車両」写真を撮りたいようじゃからの。
他の人が映り込んでいる写真はダメなようじゃが、
わっちはスナップ写真派じゃ。
そのときの周りの人も一緒に映っているからこそ、記憶や記録の助けとなり、
500年先でも思い出し笑いができるというものじゃ。
わっちが北の地におった頃は、12両編成で毎日3往復しておった「あけぼの」じゃがの、
東北新幹線が八戸まで延伸となった今のご時世では、6両編成で1往復が関の山じゃ。
いつ無くなってもおかしくないの。
それにしても寝台特急の機関車はかっこいいの。
じゃが、「富士」「北陸」「サンライズ瀬戸」にはあって、「あけぼの」には無いものがある。
わっちは乗るまで気づかんかった。
シャワー室じゃ。
今まで乗ったどの寝台列車にもシャワー室があって、
寝る前とか起きた後とか、ジャブジャブ洗えたわけじゃがの。
仕事を終えてそのまま汗まみれで飛び乗ったわっちとしては、
シャワーがないのはつらいの。
まあ、個室にお湯の出る洗面台があるので、それでなんとかするしかないかや。
ゴトッ
という感じで出発すると、あっという間に大宮じゃ。
やはり寝台列車は良いの。
会社帰りの社畜どもがホームにひしめいているのを、
列車の中から全裸で寝そべって眺めるのは気分がいいものじゃ。
「あけぼの」は裏日本周りで青森を目指す。
こんなルートじゃの。
青森を目指すのに、高崎、越後湯沢へ向かうというのはなんだか妙な感じじゃが、
KisojiM@sterでも名古屋を目指すのに軽井沢を経由するぐらいじゃからの。
そういうこともありんす。
ま、当分は、「北陸」に乗ったときと同じルートじゃからの。
今夜はたらふく駅弁でも食ってぐっすり眠るとしようかの。
おやすみじゃ。
夜中にただならぬ気配を感じて目を覚ますと、
既に汽車は山奥深いところを走っておった。
沼田盆地じゃ。
外を見ると、月明かりの下、一面銀世界じゃ。
くそ忌々しい花粉まみれの殺風景な関東平野とはおさらばじゃの。
月夜野を過ぎ、これからいよいよ越後山脈越えじゃ。
リズミカルな汽車の揺れが眠りを誘うのぅ。
しばらくすると、また
ガコッ
じゃ。
どこかの駅に着いたようじゃの。
窓に雫がついておる。
途中、雪がちらついたようじゃ。
ホームの向こうに林檎色の機関車が待っておる。
どうやら、ここで機関車を付け替えるようじゃの。
遠い道を行く馬車も、馬が疲れれば交代するというものじゃ。
さて、また寝るとするかや。