V 狼と猫のはらわた
矢立峠を越えると、碇ヶ関じゃ。
温泉でも有名のようじゃの。
ま、今のわっちにはただの通過駅じゃがの。
すぐに津軽の主都弘前についた。
西日本の人には読めんじゃろうがの。
ひろさき じゃ!
ここで津軽についての勉強じゃ。
これが津軽じゃ!
南は白神山地、東は八甲田山によって他の世界と隔絶されておる。
全ての津軽人の心の拠り所たる岩木山、
そしてその山麓から流れ出る、岩木川によって形成された豊饒の大地津軽平野。
岩木川の河口にある十三湖は関西人なら「じゅうぞう」と読みたくなるところじゃろうがの、
残念、十三湊は「とさみなと」じゃが十三湖は「じゅうさんこ」じゃ。
弘前と五所川原の二大中心都市が栄え、
外れの方にある港町青森は、前世紀に外地へ渡る連絡船の波止場として賑わったのじゃ。
歴史も古くからありんす。
五百年以上も生きると言われたこの賢狼が生まれれるよりも遙か昔、
先史時代より日本でも最大級の繁栄を極めた津軽地方は、
大和朝廷時代には阿倍野比羅夫、坂上田村麻呂ら南蛮の侵略者によって襲われたがこれを撃退し、
国は東北の雄たる安東氏、安倍氏、そして津軽氏に脈々と受け継がれておるのじゃ。
津軽家には、徳川家康の姫が嫁いでいるし、常陸宮(昭和天皇の次男)の嫁も津軽家から出ている。
つまり、ひょっとすると現在の皇后が津軽家だった可能性もあったということじゃ。
その津軽の輝ける首都が弘前なのじゃ!
じゃがの、桜で有名な弘前じゃが、まだ桜の季節には早いし、
うっかり外へ出て花粉にでも襲われたらコトじゃ。
今回の目的地はもう少し北にあるしの。
今日は通過じゃ通過。
駅のホームのトイレを借りて、すぐに乗り換えじゃ。
ここからは五能線じゃ!
「五能」というぐらいじゃから五所川原と能代を結んでいるわけじゃが、
線路としては五所川原からこの弘前まで伸びておる。
が、なにしろローカル線じゃからの。
数時間に1本ぐらいしか列車は来ん。
ちょうどわっちが乗ってきた「あけぼの」に接続して、ものの5分で出発する五能線の汽車を逃すと、
次は3時間後じゃ。
と、思ったが、
なんと、「あけぼの」よりも1時間半先に青森に到着するはずの寝台特急「日本海」が遅れているそうじゃ。
120分遅れ
で運行中らしく、五能線の汽車も「日本海」の到着を待ってから出発。
のんびり待つが良い。
そうそう、言い忘れるところじゃったがの、
弘前駅の発車ベルは津軽三味線じゃ。
さすがに曲名は知らんかったがの、
今はいろいろ調べる手段もありんす。
津軽じょんがら節じゃそうじゃ。
ぶっちゃけわっちは三味線というものを全く知らん。
なので、ちょっと嘘ばっかり書いてあるWikipediaでぐぐってみたのじゃ。
シャミセンは猫の皮を使って作ると言われているがのう、
実際は大半が犬の皮で作られておる。
糸は絹じゃったが、今はナイロンが多く用いられておる。
それから「津軽三味線」というのは、楽器の名前ではない。
津軽に伝わる独特の演奏技法による演奏のことを言う。
バチでバンバン叩くように演奏するアレじゃ。
これが普通の演奏。
これが津軽三味線じゃ。
上と比べて、ベチベチ叩く音がよく聞こえるじゃろ。
かっこいい。
うっかりCD買っちゃいそうなレベルのかっこよさ。