\ 狼と演歌の花道


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カラオケに行って演歌が入ると決まって流れるビデオがありんす。

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五能線じゃ。

冬の日本海と、波打ち際を走るローカル列車。

ひゅーるりー ひゅーるりー ららー


波が無く温暖でのんびりしたムードの瀬戸内と違い、
冬の荒れ狂うシベリア寒波が容赦なく来襲する北日本海。

しかし、わっちにように北に帰る身としては、
むしろ懐かしさも感じてしまうのでありんす。

 
五能線は、その名の示すとおり、五所川原と能代を結んではおらん。


津軽側の起点は川部だし、汽車は弘前から出るのじゃ。
弘前から川部へ行き、そこから進行方向を変えて五能線にインする。
じゃが、深浦で終点じゃ。

一方、秋田側も、能代ではなく東能代が起点じゃ。
終点は深浦でありんす。

南国の東京の人にわかりやすく言うと、
「武蔵野線」が東京から一度船橋へ行き、そこから引き返して松戸、南浦和を通って府中本町で終点。
一方、神奈川側から「南武線」が川崎から武蔵小杉、登戸を経由して府中本町で終点。
この二路線を合わせて「武蔵野線」と言っているようなもんじゃ。

もちろん、スケールはふたまわりほど違うがの。
千葉→取手→糟日部→さいたま→八王子→原己浜→柊町
を結んだぐらいのサイズじゃ。

なにしろ白神山地は、八王子から川口、船橋、川崎まで全部がすっぽり入るぐらいの広さじゃ。
といっても、東京人には“東京ドーム○杯分”とでも言わないと想像がつかんじゃろうがの。


 
さて、その五能線じゃが、5時間に1本ぐらいしか走っておらん。

汽車が来るのを待つのは、
川辺の宿場町で渡し船を待つのと同じようなもんじゃ。
気温が2度ぐらいの風が吹き付けるホームで汽車を待つのはさすがに手が冷えるのう。

しばらく待ってやってきた汽車は、やや意外なことに4両もの大編成じゃった。



おなじみのキハ40系じゃ。
見慣れぬ塗装じゃがの。

学校帰り?の若造どもで車内は混んでおる。
まあ、4人がけのボックス座席に一人づつ座るとほとんどのボックスが埋まる、
程度の混雑じゃがの。

わっちは3両目の海側のボックスを確保して満悦じゃった。
なにしろ、この汽車で山側の席に座ったのでは、
何のために700キロ以上走ってここまでやってきたのかわからんからの。
わっちはそこまでたわけではありんせん。






・・・







が、後ろの二両は途中で切り離しじゃそうじゃ。

そういうことは早く言うもんじゃ!このたわけ!



とりあえず、海に出るまでは今までと一緒。




岩木山の麓のりんご畑を横断じゃ。

退屈と紙一重じゃな。


途中に「つがる市」という新興都市があった。
聞き慣れぬ名じゃな。
それにしても、どこにでも阿呆どもがおるものじゃ。

山梨の山梨市や甲州市、甲斐市もかなり酷かったが、
つがる市というのも最低なセンスじゃな。


ちょっと昔の伝説を調べてみたのじゃがの。
この「つがる市」
木造村森田村柏村稲垣村車力村
と5つの村が集まってできたものじゃ。

一つも聞いたことない名ばかりじゃな!


村がいくつ集まろうと村は村。
「市」を名乗るとは見栄っ張りもいいとこじゃの。

以前は「西津軽郡○○村」だったそうじゃが、
そっちのほうがマシじゃろ。

「つがる市」などとたわけた名をつけおって・・・
ひさしぶりに北の地に帰ってきた者がおっても、
このような名前では自分の故郷の場所がわからなくなるであろう!

試しに、わっちの故郷の言葉でこの辺りの地名を言ってみるかや。

青森 ブラオバルト

岩木 シュタインバウム

鰺ヶ沢 港湾都市 フィシュバック

深浦 港湾都市 テフェルホーフェン


ところで、この「つがる市」の唯一の売りはじゃな、
日本最古のりんごの木 だそうじゃ。

明治12年の木だそうじゃがの、
県の天然記念物じゃ。
さすがに青森じゃ、りんごを大事にしよるの。





五所川原から3、40分。

左へカーブを曲がると、光る海が見えてくる
わっちは思う、いよいよ鰺ヶ沢じゃと。





地名だけでも魚が美味そうな町じゃの!
汽車の時間がうまいことあれば、ここで降りて魚でも食いたいところじゃがの、
この電車を降りると、次は4時間半後じゃ!

というわけであきらめるしかなかったのじゃ。




この鰺ヶ沢で後ろの二両を切り離しじゃ。
じゃが、わっちは心配しておらん。

二両を切り離すと言うことは、

それだけ客が少なくなると言うことじゃ!




案の定、車内はガラガラじゃ!

海側の座席楽勝じゃった。

スルメでも食いながらたっぷり演歌の花道を眺めるとするぞよ。



ここからはひたすら海沿いじゃ!
五能線全開でありんす!



見てくりゃれ、

この 「海とわっち」だけの世界を。









途中にはこんな駅もありんす。


驫木駅。


驫!?



う、・・・

うm・・・・・・・・・


読めん!わっちには字が読めんのじゃ!


わっちの手元にある深浦町教育委員会の出版物によるとじゃな、
この字は、

轟 と 書こうとしてとして間違ったのがそのままになった


ということのようじゃ。
まあ、あれじゃな

町の人「ほら、あれ、何って言うんだっけ、あの乗り物だよ、遠くに行くとき乗る奴、あれを3つ書くんだよ」

村の人「ああ、はいはい、あれね!」

こんな会話でできた地名なんじゃろう。


ちなみにじゃの、この駅、鉄オタの中では有名な駅じゃそうじゃ。



青春18切符のポスターに使われている駅なんじゃと。


しかしまあ、ここにたどり着くには5時間に1本しか来ない汽車に乗らんといかんからの。
ここで降りるとしたら確実にどこか近くで泊まらないといかんしの。

まあ、わっちなら野宿でも平気じゃがの!



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