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北海道 羽幌町 苫前郡 (旧)天売村 天塩国
三吉神社 -
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オロロン鳥の暮らす天売島のブルーの神社

羽幌から30kmほど沖合に浮かぶ天売島と焼尻島。どちらも小島であり、天売島は周囲12kmあまりにすぎない。オロロン鳥やウトウなど呼ばれる海鳥の繁殖地であり、その繁殖地は天然記念物になっている。

創建 -
所在 天塩国苫前郡天売村相影
北海道苫前郡羽幌町
祭神 -
社格 -
例祭 -

北海道の北部、北緯44度の日本海側に位置する羽幌町。その西方沖合25キロから30キロのあたり天売島(てうりとう)と焼尻島が浮かぶ。どちらも周囲は10キロあまりで、自転車で小一時間で一周できてしまう。両島をあわせても人口は600あまり。それでもかつては漁業で賑わい、戦後間もない時期には天売・焼尻あわせて5,000を超える人口があったという。
北海道本島に近い島の東面はなだらかな斜面地になっており、港や集落はすべてこちら側に集中している。北の弁天地区には島最大の天売港が築かれ、北海道本島や焼尻島との間を連絡船が往来する。

東海岸の北よりには、前浜地区、和浦地区がある。ここには漁港があり、郵便局や消防署、派出所が集中する島の中心地だ。ここには公立高校もあり、全国から生徒を募っている。

東海岸の南寄りには富磯・相影の両地区がある。三吉神社はこの相影地区にある。
一方、日本海の強い風と波に曝される島の西側は切り立った崖になっていて、高いところでは200メートルほどの落差がある。

こうした島の斜面は、100万羽の海鳥たちが暮らす楽園になっている。海鳥のなかでも代表的なのは「オロロン鳥」だ。オロロン鳥は学術的には「ウミガラス」と呼ばれるが、北海道ではオロロン鳥のほうが通りがよい。札幌から留萌・サロベツを経て稚内に至る日本海岸沿いの国道は「オロロンライン」と呼ばれている。


島を一周する道道548号線に面した三吉神社の鳥居。縹色の笠木と島木が印象的だ。

観光客の多くは自転車を借りて島を一周するのだが、フェリーが到着する弁天地区から時計回りに進んでくると、この相影地区のあたりで人家が途切れて山野になる。そのあたりにこの鳥居が出現するので、観光客にとっても印象的な鳥居ということになろう。

いくらか横幅が広く見えるのは気のせいだろうか。
鳥居は、笠木と島木の両端部が反り上がっていて、いわゆる「明神鳥居」の形状だ。日本の神社としては特別珍しいというわけではないが、簡素な鳥居が多い北海道としては凝った造りの部類である。

しかしそれよりなにより、笠木と島木が鮮やかな縹色に塗られているのが印象的だ。鳥居というのは、無塗装か、朱塗りか黒の漆塗りというのが定番なので、物珍しく感じられるかもしれない。

東北以北では、こうしたブルー系の鳥居は割と多く、青は四聖獣の「青龍」にも通じることから海の守護神を表しているとみるむきもある。

鳥居には昭和55年(1980年)6月の銘がみえた。ざっと築30年ということになる。内地ではどうということはないが、厳しく長い冬の雪と氷に痛めつけられる北海道の神社としては、美観が維持されていると言えるだろう。
このブルーは、北海道では好まれる色だ。

高緯度地方ほと青系の色を好むという話もある。太陽光のスペクトルの関係で、北へ行けば行くほど青が鮮やかになるからだ。

しかし、いくら鳥居の色が物珍しいと言っても、自転車を降りて神社を訪れる観光客はほとんどいない。

鳥居の向こうに見える参道はこんな感じで、ちょっと「行ってみたい」と魅力を感じるような雰囲気ではないからだ。ヒグマも怖いし。

いや、天売島にはヒグマはいない。大型捕食者はいないのだから安心してほしい。というわけで、参道を進む。
が、道道から150メートルほど進むと、社殿の手前でこの「参道」は左にはずれていく。実はこの道、三吉神社の参道というわけではないのだ。

2本の轍からもわかるように、車も通ることができる。入り口の鳥居が少々幅広だったのも、車輌の通行のためだ。

実はこの道、島の中央の保安林へ通じている。そのための道なのだ。自然豊かにみえる天売島だが、実は明治から大正にかけて、ニシン目当ての入植者の乱開発と野火のせいで禿げ島のようになったのだという。戦後にようやく植林がはじまり、50年かけてここまで回復したのだ。
今回は保安林には用事がないので、道を外れて社殿の前の草地へ。

こう見えて7月31日、つまり夏真っ盛りである。北海道的には、1年で最も草ボーボーの時期なのだ。

北緯44度とはいえ、天売島は暖流の対馬海流の影響を受けていて、比較的暖かい。一年の平均気温は7度もあり、夏は20度を超えることもある。暑いのだ。
境内(?)に転がる手水石。
北海道らしい、トタン葺きの社殿。扉や屋根などは鳥居と同じ縹色に塗られている。

柱や梁には装飾の彫り物が施されており、北海道の無人神社としてはむしろ豪華なほうだ。ちゃんと電気も通じている。
「三吉神社」の標は読めなくなっていた。

なお、一般的には「三吉神社」は「みよし-」と読むが、ここでは「さんきち-」と読むのが通例だそうだ。



名称 三吉神社 No

 

所在 北海道苫前郡羽幌町 TEL
FAX
例祭日
社格
祭神
交通 天売港から自転車で約10分
社殿
境内     
氏子世帯 崇敬者数 
摂末社
備考 

西暦 元号 和暦 事項 備考
   
  江戸       江戸時代にはじめて倭人が天売島に定住する。   
     
1906 明治 39 4 1 天売村の村制施行。(北海道二級町村制の実施)  
     
           
1955 昭和 30 4 1 天売村が羽幌町に編入。  
             
             
     

【参考資料】

【リンク】
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参拝日:2011年07月31日
追加日:2017年02月14日