鳥取県東部にある岩井温泉は、平安時代の貞観元年(859年)に山城国宇治の公家、藤原冬久が開いたとされ、『延喜式神名帳』(927年)では有馬温泉、道後温泉などと並んで「八古湯」の一つにも挙げられている。 冬久は藤原北家に連なる名家の出自だったが、天然痘による皮膚病にかかって世を棄て、因幡国に流れ着いた。ところが岩井の地で天啓があり、温泉を見出して湯治をすると肌が治ったのだという。冬久はそのまま当地に住み着き、寺社を建立したり農業を指導したりして生涯を送ったのだという。 岩井温泉には、「湯かむり」と呼ばれる奇習がある。ただ入浴するのではなく、柄杓を持って浴槽に入ると、柄杓で湯をすくって頭にかけるのだ。そのための「湯かむり唄」というのがある・・・ということになっているのだが、実際にYoutubeで湯かむり唄の動画を見ても、一回も湯を頭にかけないので、よくわからない。ただ、歌に合わせて柄杓と手で湯をバシャバシャ叩くので、湯飛沫がバンバン顔にかかって鬱陶しそうだ。私も何度も岩井温泉に行っているが、ぶっちゃけ静かにゆっくり湯に浸かりたいと思うのだが・・・。
というわけで山頂。 ![]() なにか妙ちくりんなモニュメントがある。 これは「湯かむりの塔」だ。 なにがどう「湯かむり」を表しているのか、私にはサッパリわからないが、 この塔が「岩井温泉のシンボル」ということになっている。 このモニュメントは、 岩美町白地(蒲生川の上流、銀山地区のお隣)出身の彫刻家、山本兼文氏によるもの。 山本氏は、鳥取市内に架かる「若桜橋」などのデザインをてがけている。 さてこの「湯かむりの塔」のそばに、愛宕神社がある。 ![]() といっても、キャンプ場のゴミ置き場みたいなブロック造りだ。 建物のなかは蜘蛛の巣がすごかった。 一般論で言うと、「愛宕神社」というのは「火の神様」を祀り、火除の霊験があるとされている。 資料では、ここは秋葉神社の秋葉権現を祀っているとされているが、それも火除の神様だ。 岩井温泉では過去に何度も町の全域を失うような大火に見舞われており、 そのために火防の神様を祀っているのだろう。 愛宕山の頂上には展望台がある。 ![]() ただし、手前の木立に遮られて温泉街は全く見えない。 (温泉宿や露天風呂が見えては困るので、温泉街が見えないことはいいことなのかもしれない。) なお、このあたりには「愛宕山城」という山城があったことになっているが、それはここではない。ここからもう少し蒲生川の上流に行き、「長谷」という地区の裏山がそれである。 【鳥取県神社庁誌データ】
【参考資料】 ![]() ![]() 【リンク】 * |
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参拝日:2015年06月16日 |