ハリーオンのソースを表示

__NOTOC__
{{Hurry On}}
{| style="width:640px;background-color:rgba( 255, 255, 255, 0.25 )"
|[[ファイル:Hurryon1913.jpg|640px|link=]]
|}
　'''ハリーオン'''(Hurry On)は無敗のクラシックホースである。しかし、ハリーオンの偉大さは競走成績にあるのではなく、種牡馬成績にある。

　ハリーオンは3歳時（1916年）だけ走り、6戦6勝で[[セントレジャー]]に勝った…とは言っても、ちょうど第一次世界大戦中で、セントレジャーはニューマケット競馬場で代替開催されたいわゆる「戦時セントレジャー」だった。出走馬はハリーオンを含めてわずか3頭である。そのあと[[ジョッキークラブC]]も勝っているが、そこにも大した馬は出ておらず、むしろハリーオンの実力を測ることができるのはセントレジャーの前哨戦[[セプテンバーS]]で2000ギニー馬を破ったところにあるだろう。

　ハリーオンは種牡馬としてサラブレッド史に残るステイヤー父系を築いたが、それは第二次世界大戦によるところが大きい。イギリス生産界が活力を失っていた時期にフランスやイタリアで大物を出し、それらがナチスドイツによってドイツへ連れて行かれてドイツで一流馬を出した。イギリスでは競馬が中断してしまったので、戦争のない南半球に渡り、オセアニアや南アメリカでハリーオン系の大帝国を築き上げたのである。

　しかし、ハリーオン系は優れた産駒を多く出すタイプでなく、忘れた頃に大物をポロッと出すタイプだった。「同時期に1頭しか活躍馬を出さない」と言われ、ハリーオン系の大物が2頭同時に出現するということがなかった。ヨーロッパではやがてスピード偏重の時代に入り、ハリーオン系の主流はスタミナの信奉国であるニュージーランドやブラジルに移っていった。おそらくその最後の輝きが、ジャパンカップにやってきた[[サンドピット]]だったということになるだろう。

{{五代血統表α
|name=Hurry On
|和=ハリーオン
|毛=栗毛
|年=1913
|誕=1913. 5. 7
|死=1936
|国=GB {{F-GB}}
|種=サラブレッド
|県=
|牧=
|者=William Murland
|調=[[フレッド・ダーリン]]
|厩=Oehringen stable → Beckhampton stable
|厩地=
|主=[[初代ウーラヴィントン男爵|ジェームズ・ブキャナン]] （後の[[初代ウーラヴィントン男爵]]）
|初出=3
|終出=3
|戦=6
|勝=6
|勝備考=
|タイトル=
|鞍=1916[[セントレジャーS]]、1916[[ジョッキークラブC]]、1916[[セプテンバーS]]、1916[[ニューベリーS]]
|金=　
|FN=2-d
|母系=
|CS=1926年英国種牡馬チャンピオン(£59,109)
|CJS=
|CBMS=
|駒=[[Coronach]]（英2･3歳チャンピオン）、[[Captain Cuttle]](英ダ)、[[Call Boy]](英ダ)、[[Toboggan]](英オ)、[[Plack]](英1000G)、[[Cresta Run]](英1000G)、[[Precipitation]](アスコット金杯)
|f=[[Marcovil]]
|f毛=栗毛
|f年=1903
|f国=GB {{F-GB}}
|m=Tout Suite
|m毛=栗毛
|m年=1904
|m国=GB {{F-GB}}
|ff=[[Marco]]
|ff毛=栗毛
|ff年=1892
|ff国=GB {{F-GB}}
|fm=Lady Villikins
|fm毛=栗毛
|fm年=1885
|fm国=GB {{F-GB}}
|mf=[[Sainfoin]]
|mf毛=栗毛
|mf年=1887
|mf国=GB {{F-GB}}
|mm=Star
|mm毛=栗毛
|mm年=1887
|mm国=GB {{F-GB}}
|fff=[[Barcaldine]]
|ffm=Novitiate
|ffff=[[Solon]]
|fffm=Ballyroe
|ffmf={{×|[[Hermit]]}}
|ffmm=Retty
|fffff=[[West Australian]]
|ffffm=Birdcatcher Mare
|fffmf=[[Belladrum]]
|fffmm=Bon Accord
|ffmff=[[Newminster]]
|ffmfm=Seclusion
|ffmmf=[[Lambton]]
|ffmmm=Fern
|fmf=[[Hagioscope]]
|fmm=Dinah
|fmff=[[Speculum]]
|fmfm=Sophia
|fmmf={{×|[[Hermit]]}}
|fmmm=<div style="font-size:0.5em">The Ratcathcher's Daughter</div>
|fmfff=[[Vedette]]
|fmffm=Doralice
|fmfmf=[[Macaroni]]
|fmfmm=Zelle
|fmmff=[[Newminster]]
|fmmfm=Seclusion
|fmmmf=[[Rataplan]]
|fmmmm=Lady Alicia
|mff=[[Springfield]]
|mfm=Sanda
|mfff=[[St.Albans]]
|mffm=Vindis
|mfmf=[[Wenlock]]
|mfmm=Sandal
|mffff={{×|[[Stockwell]]}}
|mfffm=Bribery
|mffmf=[[Marsyas]]
|mffmm=Maid of Palmyra
|mfmff=[[Lord Clifden]]
|mfmfm=Mineral
|mfmmf={{×|[[Stockwell]]}}
|mfmmm=Lady Evelyn
|mmf=[[Thurio]]
|mmm=Meteor
|mmff=[[Cremorne]]
|mmfm=Verona
|mmmf=[[Thunderbolt]]
|mmmm=Duty
|mmfff=[[Parmesan]]
|mmffm=Rigolboche
|mmfmf=[[Orlando]]
|mmfmm=Iodine
|mmmff='''''[[Stockwell]]'''''
|mmmfm=Cordelia
|mmmmf=[[Rifleman]]
|mmmmm=Sleight of Hand Mare
}}
*{{TH}}[http://www.tbheritage.com/Portraits/HurryOn.html Hurry On]
*{{JBIS}}[http://www.jbis.or.jp/horse/0000338907/ Hurry On]
*{{EQ}}[https://www.equineline.com/Free-5X-Pedigree.cfm?page_state=ORDER_AND_CONFIRM&reference_number=221704&registry=T&horse_name==Hurry%20On%20(GB)&dam_name==Tout%20Suite&foaling_year=1913&nicking_stats_indicator=Y Hurry On]
*{{AH}}[http://ahonoora.com/hurry_on.html Hurry On]]
*{{PO}}[http://www.pedigreequery.com/hurry+on Hurry On]

==母系==
　ハリーオンの母系は、もともと19世紀のロシア人外交官、[[ソルティコフ公]]が育てたファミリーだった。

==デビュー前==
　1913年生まれの栗毛の幼駒が後世にこれほどまでに偉大な種牡馬になろうとは誰も思わなかっただろう。いや、この馬が成長して1歳になった時点でも同様だった。1歳の7月にタタソールズの<ruby><rb>最初の1歳競り市</rb><rt>ファースト・イヤリング・セール</rt></ruby>に出されたときにも、この馬が後々、最高の根幹種牡馬になりそうな気配など全くなかった。

　当時まだわずか25歳の若輩調教師[[フレッド・ダーリング]]は、この馬に何か感じるところがあったのだろうか。彼はエーリンゲン厩舎(Oehringen stable)での調教を終えて帰る道すがら、この馬を目に留めて500ギニーで購入したのだった。この価格は、この競り市で取引された84頭の牡駒の平均価格389ギニーを上回っていた。とはいえ、当時の人気種牡馬の産駒と比べれば4分の1以下の価格に過ぎなかった。

　フレッド・ダーリング調教師は、スコッチ醸造業者の[[初代ウーラヴィントン男爵|ジェームズ・ブキャナン]]氏のお抱え調教師だった。ブキャナン氏はフレッドの父、[[サム・ダーリング]]の代からのタニマチである。サム・ダーリング調教師は1914年1月に引退し、経営していたベッカンプトン厩舎(Beckhampton stable)をフレッドに託したばかりだった。サム・ダーリング調教師は1896年以来、ベッカンプトン厩舎で200勝以上をあげており、その中にはアードパトリック([[Ard Patrick]])とガルティーモア([[Galtee More]])による[[ダービー]]2勝が含まれている。フレッドはその後、40年以上の調教師・馬主としてのキャリアを通じて、ダービー7勝など数々のクラシックを勝つことになる。それらのクラシック勝ちのうちの最良の2頭、すなわちキャプテンカトル([[Captain Cuttle]])とコロナック([[Coronach]])は、この時の1歳馬、つまり、ハリーオンの産駒だった。

　ブキャナン氏は馬主として全くのド素人というわけではなかったが、それまで大した成功はしていなかった。それまでにブキャナン氏が持った馬の中で最高の成績をあげたのはブラックサンド([[Black Sand]]、1902年に[[ジョッキークラブC]]・[[シザーウィッチH]]を勝つ)と、1907年の無敗の2歳馬マウンテンアップル([[Mountain Apple]])ぐらいだった。その運勢は、ハリーオンを買ったことで、特にハリーオンが現役を退いたあとで、大きく変わることになる。ハリーオンは現役引退後、サセックス州にあるブキャナン氏のラヴィントン・スタッドで種牡馬になる。そこで生産した産駒がキャプテンカトルであり、コロナックだ。ほかにも数多くのクラシック勝ち馬・一流馬を出した。あの時の不器用な若駒と、若い調教師と、野心あふれる馬主によるチームは、やがてイギリス競馬界に大きな影響を与えることになる。

===母系===
　ハリーオンを産んだトゥスュィト(Tout Suite)（父[[Sainfoin]]）、祖母Star（父[[Thurio]]）はいずれも[[ソルティコフ公]]の生産馬である。シューリオ([[Thurio]])は[[パリ大賞]]に勝ち、長距離戦で実績を残した。シューリオの娘、栗毛のスター(Star,1887生)は、メテオ(Meteor,1867生、父[[Thuderbolt]])の産駒である。半姉妹には活躍馬がおり、[[Radiancy]](ステイヤーの[[Sheen]]の母)、[[Mask]]（[[ジュライS]]の勝ち馬。ダービーは[[Bend Or]]の3着。）などがいる。

　スター(Star)は4年間の競走生活を通じて2勝しかしていない。1つは2歳時に、もう1つは4歳時のもので、2マイルのプレート競走で[[Queen's Birthday]]（スターのほうが負担重量には22ポンド（約9.98kg）軽かった）を破っている。3歳のときは箸にも棒にもかからない成績だったが、二冠牝馬メモワール([[Memoir]])の2着に2回、セントサーフ([[St.Serf]])の2着に1回なったことがあるのが目に留まる程度である。その成績からすると、トップクラスの牝馬というわけではなかったが、スタミナがあることは確かのようだった。

　スターは1904年にトゥスュィト(Tout Suite)を産んだ。その年にソルティコフ公が亡くなり、所有馬が売りに出された。スターとトゥスュィトの母娘を購入したのはドウェンド・フェントン氏(Mr. de Wend Fenton)といい、その価格は80ギニーだった。

　1歳のとき、トゥスュィト(Tout Suite)は[[リングフィールド競馬場]]での競り市に出され、ウィリアム・マーランド氏(William Murland)が買った。マーランド氏はアイルランド人で、ノーザンプトンシャーのダヴェントリー(Daventry)に近いバドビーハウス(Badby House)に住んでいた。マーランド氏は若いころに障害レースの騎手をしており、1885年にビレドゥー([[Billet Doux]])で[[愛グランドナショナル]]に、1884年にはベルモン([[Belmont]])でコニンガムC([[Conyngham Cup]])に優勝したことがある。マーランドはバドビーハウスで小さな厩舎を経営していたが、流行の血統には全く興味を示さなかった。彼がなぜトゥスュィト(Tout Suite)を購買したのかは伝わっていない。トゥスュィト(Tout Suite)かろうじてポニーを上回るほどしかないような小さな馬で、未出走におわった。

　トゥスュィト(Tout Suite)の父はダービー馬[[Sainfoin]]であり、人気種牡馬の[[ロックサンド]]([[Rock Sand]])の父であった。トゥスュィト(Tout Suite)が生まれたのはロックサンドがダービーに勝つ1年前である。マーランドは1912年にトゥスュィトに身体の大きなマルコヴィル([[Marcovil]])を配合した。マルコヴィルは人気のある血統ではなかった。こうして1913年にハリーオンを産む。5番仔だった。翌年、ハリーオンはタタソールズで売りに出された。

==現役時代==

　ハリーオンは2歳のときはレースには出なかった。フレッド・ダーリング調教師は、ハリーオンが3歳の6月になるまでデビューを待った。3歳になってもハリーオンはまだ成長途上だった。ハリーオンは3歳戦で勝ったあとも、人々によって粗削りで器用さに欠くと評された。

　ハリーオンのデビュー戦はリングフィールド競馬場の1マイルの未勝利馬16頭によるプレート競走（賞金100ポンド）だった。ハリーオンはこれを2馬身差で勝った。

　2戦目はニューマーケット競馬場の1マイル半のステッチワースプレート(Stetchworth Plate)だった。これも2馬身差で勝った。

　そのあと、8月に[[ニューベリー競馬場]]で[[ニューベリーS]]に出て、1000ギニー優勝馬のキャノン([[Canyon]])を8馬身ちぎって勝った。

　次走はニューマーケット競馬場の[[セプテンバーS]]（1 <sup>3</sup>/<sub>4</sub>マイル、5頭立て）である。2000ギニー優勝馬のクラリシムス([[Clarissimus]])に3馬身差をつけて楽勝した。

　このあと、ハリーオンは2つのレースに楽勝した。[[戦時セントレジャー]]（ニューマーケット競馬場・1 <sup>3</sup>/<sub>4</sub>マイル）と[[ジョッキークラブC]]である。セントレジャーでは2馬身、ジョッキークラブCでは10馬身の差をつけた。

　これがハリーオンの最後のレースになった。全競走のなかで競り合ったのは、スタートで出遅れたデビュー戦だけである。のちに大調教師となったフレッド・ダーリングは「私が手がけた中での最高の馬はハリーオンだった」と述懐した。

==スタミナの象徴ハリーオン系==
===代表的なステイヤー血統===
　ハリーオン系は、様々な[[サイアーライン]]の中でも際立って長距離に強い、優れたステイヤー血統の代表格である。ハリーオン系に属する競走馬は、体が大きく、やや晩熟で持久力に優れ、代々優れたステイヤーを出した。

　イギリスの最良のステイヤー血統の一つであるハリーオン系は、卓越したスタミナと晩熟さ、大きな馬体を伝え、北米を除く世界の競馬先進国で極めて大きな影響を残した。ハリーオンの産駒は、イギリス、フランス、イタリア、アルゼンチン、オーストラリア、ニュージーランド、南アフリカでチャンピオンサイアーになった。ハリーオン系はヨーロッパ、オセアニア、アフリカ、南アメリカの各地で父系を広げ、歴史的名馬を輩出し、種牡馬界を支配し、黄金時代を築いた。
====ハリーオン系とマンノウォー系====
　21世紀初頭の視点にたつと、サラブレッド三大父系のうち、もっともマイナーとされる[[ゴドルフィンアラビアン系]]は、ほぼ[[マンノウォー系]]のみによって保たれている。現存するサラブレッドについて述べる上で、「マンノウォー系」という言葉は事実上「ゴドルフィンアラビアン系（もしくは[[マッチェム系]]）」を示すに等しい。

　しかし20世紀半ばの時点では、イギリス、アイルランド、フランス、イタリア、ドイツといった西ヨーロッパ、ソ連、東ドイツを筆頭とする東ヨーロッパ、南アフリカ、オセアニア、南アメリカ諸国、日本では、ゴドルフィンアラビアン系を担うサラブレッドはたいていハリーオン系に属していた。

　父系の観点に限ると、ハリーオンと[[マンノウォー]]は同じ「ゴドルフィンアラビアン系」とはいえ、離れた系統にある。ハリーオンからもマンノウォーからも5代遡るとようやく共通の祖先、[[ウエストオーストラリアン]]にたどり着くが、5代を重ねるのにどちらも60年以上を要している。しかしハリーオンとマンノウォーはほぼ同じ時期に活躍し、1926年にはハリーオンがイギリスで、マンノウォーはアメリカでチャンピオンサイアーとなった。

===ハリーオン系の概観===
　第1次世界大戦期のイギリスに登場したハリーオンは無敗のまま引退して種牡馬になった。産駒からは3頭の英国ダービー馬が出て、ハリーオン自身は1926年に英国のチャンピオンサイアーとなった。この頃、アメリカでは同じマッチェム系のマンノウォーが、日本でも同系の[[チャペルブラムプトン]]が種牡馬として最盛期を迎えていた。

　ハリーオンの子のなかで種牡馬として最も成功したのは'''プレシピテーション'''（'''[[Precipitation]]'''）で、英国二冠馬<ruby><rb>[[Airborne]]</rb><rt>エアボーン</rt></ruby>をはじめ、<ruby><rb>[[Premonition]]</rb><rt>プレモニション</rt></ruby>、<ruby><rb>[[Chamossaire]]</rb><rt>シャモセール</rt></ruby>などの英国クラシックホースを出した。これらの世代の全盛期はちょうど第二次世界大戦に重なっていて、シャモセールは戦火を避けて[[ヨーク競馬場]]で代替開催された[[セントレジャーステークス|セントレジャー]]に勝っている。これらの活躍馬やその子孫は、ヨーロッパでの大戦を避けてオーストラリアやニュージーランドに渡り、そこで繁栄した。戦後、日本でも競馬が再開すると、これらのハリーオン系の種牡馬が輸入されるようになるが、その多くはオセアニアから輸入されている。

　南アフリカやイタリア・ドイツで父系を広げたのは<ruby><rb>[[Captain Cuttle]]</rb><rt>キャプテンカトル</rt></ruby>、<ruby><rb>[[Coronach]]</rb><rt>コロナック</rt></ruby>、南米で繁栄したのが<ruby><rb>[[Hunter's Moon]]</rb><rt>ハンターズムーン</rt></ruby>、オセアニアでは<ruby><rb>[[Hunting Song]]</rb><rt>ハンティングソング</rt></ruby>、[[テストケイス]]らが大勢力を築いた。

　大戦の影響から回復し始めたヨーロッパで活躍したのがプレシピテーションの子で、イギリス生まれの<ruby><rb>'''[[Shesoon]]'''</rb><rt>シェシューン</rt></ruby>である。シェシューンはイギリス、フランス、ドイツの大レースに勝ち、種牡馬になるとフランスのチャンピオンサイアーとなった。英国三冠馬[[ニジンスキー]]を破って[[凱旋門賞]]に勝ったことで有名になった<ruby><rb>[[Sassafras]]</rb><rt>ササフラ</rt></ruby>が有名である。

　1980年代に入るとハリーオン系のサイアーラインは下火になってきたが、ササフラの子がブラジルで人気種牡馬となり、1980年代から1990年代にかけて、ブラジルで多くの一流馬を出した。なかでも'''[[サンドピット]]'''はブラジルからアメリカへ移籍して活躍し、[[ジャパンカップ]]に来日して1番人気（結果は5着）になるなど、日本でも知られている。しかし、ブラジルでのハリーオン系の代表格である<ruby><rb>[[Much Better]]</rb><rt>マッチベター</rt></ruby>、サンドピットのいずれも早逝し、有力な後継種牡馬を残していない。

　この系統の日本での活躍馬は、京都杯など20勝をあげた[[ヤサカ]]、最良スプリンターの'''[[カネツセーキ]]'''、最良スプリンターの'''[[シェスキィ]]'''などがいたが、日本国内でサイアーラインを発展させるには至っていない。

==ハリーオン系の父系子孫概観図==
<div style="font-size:90%;">
*太字は各国のチャンピオンサイヤー。
:*英＝イギリス、愛＝アイルランド、伊＝イタリア、新＝ニュージーランド、伯＝ブラジル、亜＝アルゼンチン、秘＝ペルー
:'''[[ハリーオン|Hurry On]]'''　牡馬　英チャンピオンサイヤー
:｜[[Plack]]　牝馬　英1000ギニー
:｜[[Toboggan]]　牝馬　英オークス
:｜[[Cresta Run]]　牝馬　英1000ギニー
:｜[[Captain Cuttle]]　牡馬　1919　英ダービー
:｜｜'''Boveney'''　牡馬　1929　南アフリカチャンピオンサイヤー
:｜｜｜Peran Wisa　牡馬　1948　喜望峰ダービー
:｜｜'''[[Pilade]]'''　牡馬　1930　伊ダービー　伊チャンピオンサイヤー
:｜｜｜Zliten　牡馬　1938　伊ジョッキークラブ大賞
:｜'''[[Hunting Song]]'''　牡馬　1919　新チャンピオンサイヤー
:｜[[Town Guard]]　牡馬　1920
:｜｜Clever Boy　牡馬　1929　伯ジョッキークラブ大賞
:｜[[Coronach]]　牡馬　1923　英2・3歳チャンピオン　英ダービー　英セントレジャー
:｜｜[[Jacopa del Sellaio]]　牝馬　1929　伊四冠牝馬
:｜｜'''[[Montrose]]'''　牡馬　1930　南アフリカチャンピオンサイヤー
:｜｜[[Corrida]]　牝馬　1932　凱旋門賞2回
:｜｜'''[[Niccolo Dell'Arca]]'''　牡馬　1938　伊チャンピオンサイヤー
:｜｜｜[[Daumier]]　牡馬　1948　伊ダービー
:｜｜｜'''[[Daemon]]'''　牡馬　1952　智チャンピオンサイヤー
:｜｜[[Cranach]]　牡馬　1938
:｜｜｜Bramble　牡馬　1952
:｜｜｜Violoncelle　牡馬　1946　サンクルー大賞典
:｜｜｜Flute Enchantee　牝馬　1950　ドーヴィル大賞典
:｜[[Call Boy]]　牡馬　1924　英ダービー
:｜*[[クイッケロ]]　牡馬　1924
:｜｜[[メリーユートピア]]　牝馬　1930　日本ダービー2着
:｜Cyclonic　牡馬　1925
:｜[[Defoe]]　牡馬　1926
:｜｜Defaulter　牡馬　1935　新ダービー
:｜｜Footmark　牡馬　1934
:｜｜｜*[[ダブルマーク]]　牡馬　1951　大井記念
:｜[[Hunter's Moon]]　牡馬　1926　
:｜｜'''[[Postin]]'''　牡馬　1940　秘チャンピオンサイヤー
:｜｜｜[[Rio Pallanga]]　1952　牡馬　ペルー三冠馬
:｜｜｜[[Pamplona]]　1956　牝馬　ペルー四冠馬
:｜｜Half Crown　1942　牝馬　亜1000ギニー
:｜[[Precipitation]]　1933　牡馬　ゴールドカップ
:｜｜[[Furioso]]
:｜｜[[Preciptic]]　1942　牡馬　
:｜｜｜[[Predominate]] 1952　騙馬　グッドウッドC
:｜｜｜[[マサタカラ]]　1954　牡馬　オールカマー
:｜｜｜Hasty Cloud　1958　牡馬
:｜｜｜｜[[Kiwi Can]] 1968 騙馬　イースターH
:｜｜'''[[Chamossaire]]'''　1942　牡馬　英チャンピオンサイヤー
:｜｜｜[[Cambremer]]　1953　牡馬　英セントレジャー
:｜｜｜*[[ユアハイネス]]　1958　牡馬　愛ダービー
:｜｜｜｜ケイタカシ　大阪杯
:｜｜｜[[Santa Claus]]　1961　牡馬　英ダービー　愛ダービー
:｜｜｜*[[シャミエ]]　1950　牡馬　愛ダービー
:｜｜｜｜[[Chamour]]　牡馬　愛ダービー
:｜｜[[Airborne]]　1943　牡馬　英ダービー
:｜｜'''[[Count Rendered]]'''　1945　牡馬　新チャンピオンサイヤー
:｜｜'''[[Summertime]]'''　1946　牡馬　新チャンピオンサイヤー
:｜｜｜*[[ヤサカ]]　1952　牡馬　京都杯2回、朝日CC、毎日杯
:｜｜｜｜[[カネツセーキ]]　1959　牡馬　最優秀2歳牡馬・最良スプリンター
:｜｜｜｜ネイチブランナー　京阪杯　天皇賞2着
:｜｜｜[[Sobig]]　1961　牡馬　新グレートノーザンダービー
:｜｜｜｜[[Think Big]]　1970　騙馬　メルボルンカップ2回
:｜｜｜Summer Fair　1958　牡馬　AJCダービー　
:｜｜[[Supreme Court]]　1948　牡馬　Kジョージ6世&QエリザベスS
:｜｜｜[[Pipe of Peace]]　1954　牡馬　ミドルパークS
:｜｜｜｜Piper's Son　1959　牡馬　豪メトロポリタンH
:｜｜｜｜[[Black Onyx]]　1965　騙馬　[[ATCサイアーズプロデュースS]]、[[ドゥーンベン10000]] 2回
:｜｜｜｜[[Always There]]　1965　牡馬　VRCダービー
:｜｜｜*[[ゼモングース]]　1955　牡馬
:｜｜｜｜[[ニューカイモン]]　1969　牡馬　東海桜花賞
:｜｜｜*[[テストケイス]]　1958　牡馬
:｜｜｜｜[[Ben Lomond]]　1964　牡馬　新3歳チャンピオン
:｜｜｜｜[[Counsel]]　1971　牡馬　新2歳チャンピオン
:｜｜｜｜[[イシノマサル]]　1972　牡馬　京都大賞典
:｜｜｜King's Son　1958　牡馬
:｜｜｜｜Mansoor　1969　騙馬　インドダービー
:｜｜'''[[Sheshoon]]'''　1956　牡馬　仏チャンピオンサイヤー
:｜｜｜*[[シェスキイ]]　1963　牡馬　最良スプリンター
:｜｜｜[[Samos]]　1964　牡馬　ロワイヤルオーク賞
:｜｜｜｜Campero　1977　牡馬　5月25日大賞
:｜｜｜｜｜Bien Bacan　1987　牡馬
:｜｜｜｜｜｜Bien Guapo　1993　牡馬　ウルグアイ2000ギニー
:｜｜｜*[[スティンティノ]]　1967　牡馬　リュパン賞
:｜｜｜｜[[チョウヨオエース]]　1982　牡馬　東京王冠賞
:｜｜｜'''[[Sassafras]]'''　1967　牡馬　凱旋門賞　伊チャンピオンサイヤー
:｜｜｜｜[[Henri le Balafre]]　1972　牡馬　ロワイヤルオーク賞
:｜｜｜｜｜[[Thignon Lafré]]　1987　牡馬　ブラジル年度代表馬
:｜｜｜｜｜｜[[Roxinho]]　1998　牡馬　ブラジル年度代表馬
:｜｜｜｜｜｜[[Thignon Boy]]　2000　牡馬　ブラジル年度代表馬
:｜｜｜｜[[Baynoun]]　1981　牡馬　セントレジャー2着
:｜｜｜｜｜[[Much Better]]　1989　牡馬　ブラジル年度代表馬
:｜｜｜｜｜｜Istbestand　1998　牡馬　ABCPCCマティアスマシュリーニ大賞
:｜｜｜｜｜*[[サンドピット]]　1989　牡馬　オークツリー招待ステークス
:｜｜｜*[[プルバン]]　1969　牡馬　パリ大賞典
:｜｜｜｜[[リンドプルバン]]　1976　牡馬　日本ダービー2着
:｜｜｜[[Mon Fils]]　1970　牡馬　2000ギニー
:｜｜'''[[Agricola]]'''　1956　牡馬　豪チャンピオンサイヤー

</div>

==脚注==
{{Reflist}}

==主要参考文献==
*『サラブレッドの世界』p590
*[http://www.tbheritage.com/Portraits/HuntersMoon.html サラブレッドヘリテイジ　ハンターズムーン]
*『最新名馬の血統 種牡馬系統のすべて』山野浩一著、明文社刊、1970、1982、p314-321
*『日本のサラブレッド』別冊週刊読売5月号、読売新聞社、1975、p104。
*『サラブレッド』ピーター・ウィレット著、日本中央競馬会・刊、1978、p215

==カテゴリー==
{{DEFAULTSORT:Hurry On}}
[[Category:イギリスの競走馬]]
[[Category:1903年生|英]]
[[Category:ハリーオン系|*]]
[[Category:根幹種牡馬]]