ヨハン・フリードリヒ2世 (ザクセン公)のソースを表示

[[ファイル:Jean-Frédéric Ier de Saxe.jpg|200px|thumb|right]]
日本語版記事あり
https://www.deutsche-biographie.de/sfz53358.html#ndbcontent

'''ヨハン・フリードリヒ2世'''（'''Johann Friedrich II.'''、 [[1529年]][[1月8日]] - [[1595年]][[5月19日]]）は、[[ドイツの歴史|近世ドイツ]]の[[テューリンゲン州|テューリンゲン地方]]の[[領邦君主]]の一人。

代々[[ザクセン選帝侯]]を務めてきた[[ヴェッティン家]]の本流[[エルネスティン家|エルンスト系]]の嫡男として生まれたが、父[[ヨハン・フリードリヒ (ザクセン選帝侯)|ヨハン・フリードリヒ1世]]の代で[[選帝侯|選帝侯位]]と領地の大半が失われる。父にかわって残る領地をまとめあげ、'''[[ザクセン公]]'''（{{Lang-de|Herzog von Sachsen}}、在位：[[1554年]] - [[1566年]]）としてテューリンゲン一帯を支配した。

しかし後に[[神聖ローマ皇帝]]と反目して{{仮リンク|グルムバッハ紛争|de|Grumbachsche Händel}}を起こし、これに敗れて捕らえられ、以後死ぬまで30年あまり虜囚として過ごした。その後領地は[[ザクセン＝ヴァイマル|ワイマール公領]]、[[ザクセン＝アイゼナハ|アイゼナハ公領]]、[[ザクセン＝コーブルク|コーブルク公領]]などに分裂した。

==概要==
<!--
{{Infobox royalty
| name         = John Frederick II
| image        = Johann Frederick II of Saxony.jpg
| caption      =
| reign        = 3 March 1554 – November 1566
| predecessor  = [[John Frederick I, Elector of Saxony|John Frederick I]]
| successor    = [[John William, Duke of Saxe-Weimar|John William]]
| succession   = [[List of rulers of Saxony|Duke of Saxony]]
| succession1  = [[Electorate of Saxony|Elector of Saxony]] (questionable)
| reign1       = 1554 – 1556 ?
| predecessor1 = [[Maurice, Elector of Saxony|Maurice]] ?
| successor1   = [[Augustus, Elector of Saxony|Augustus]] ?
| succession2  = [[List of rulers of Thuringia|Landgrave of Thuringia]]
| reign2       = 1554 – November 1566
| predecessor2 = [[John Ernest, Duke of Saxe-Coburg|John Ernest]]
| successor2   = [[John William, Duke of Saxe-Weimar|John William]]
| spouse       = [[Agnes of Hesse]] <br> [[Countess Palatine Elisabeth of Simmern-Sponheim]]
| issue        = [[John Casimir, Duke of Saxe-Coburg]] <br> [[John Ernest, Duke of Saxe-Eisenach]]
| house        = [[House of Wettin]] <br>  <small>Ernestine Line<small >
| father       = [[John Frederick I, Elector of Saxony]]
| mother       = [[Sibylle of Cleves]]
| birth_date   = {{birth date|1529|1|8|df=y}}
| birth_place  = [[Torgau]]
| death_date   = {{death date and age|1595|5|19|1529|1|8|df=y}}
| death_place  = [[Schloss Steyer]], [[Upper Austria]]
| burial_place = [[Morizkirche (Coburg)|Morizkirche]], Coburg
| religion     = [[Lutheranism]]
|}}
-->








[[ザクセン公]]（在位：[[1554年]] - [[1566年]]）。[[ヨハン・フリードリヒ (ザクセン選帝侯)|ヨハン・フリードリヒ1世]]と[[ジビュレ・フォン・ユーリヒ＝クレーフェ＝ベルク]]の長男。

==出自と家柄==
{{Template:家柄3代
|name = ヨハン・フリードリヒ2世
|CoA = Armoiries Saxe2.svg.png
|CoAsize = 35
|生 = 1529.{{0}}1.{{0}}8
|没 = 1595.{{0}}5.19
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|f家 = [[ヴェッティン家]][[エルネスティン家|エルンスト系]]
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|fff号 = [[ザクセン選帝侯]]
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|mff名 = [[:en:John II, Duke of Cleves|ヨハン2世]]
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|mfm名 = [[:en:Matilda of Hesse|マチルダ]]
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|mmf生年 = 1455
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|mmm号 = [[ブランデンブルク辺境伯領|ブランデンブルク辺境伯]]女
|mmm名 = [[:en:Sibylle of Brandenburg|シビュレ]]
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|bros= *（弟）[[ザクセン＝ヴァイマル|ワイマール公]][[ヨハン・ヴィルヘルム (ザクセン＝ヴァイマル公)|ヨハン・ヴィルヘルム]]（1530-1573）<br>*（弟）ヨハン・エルンスト（1535-1535）<br>*（弟）[[ザクセン＝ゴータ|ゴータ公]][[ヨハン・フリードリヒ3世 (ザクセン＝ゴータ公)|ヨハン・フリードリヒ3世]]（1538-1565）
|rels= *（母の妹）イングランド王妃[[アン・オブ・クレーヴズ|アンナ]]（1515-1557）
}}
{{File clip2 | Cranach dJ Doppelporträt NM.jpg | width = 360 | 4 | 1 | 5 | 2 | w = 800 | h = 558 |align=left| 父[[ヨハン・フリードリヒ (ザクセン選帝侯)|ヨハン・フリードリヒ]]と母ジビュラ}}
{{File clip2 | Lucas Cranach dJ Hirschjagd KHM Schloss Hartenfels Torgau.jpg | width = 360 | 0 | 0 | 0 | 0 | w = 800 | h = 389 |align=left| エルンスト家の居城、トルガウの[[:de:Schloss Hartenfels|ハルテンフェルス城]]（1544年の様子）。父[[ヨハン・フリードリヒ (ザクセン選帝侯)|ヨハン・フリードリヒ]]が築いた。}}
{{File clip2 | Lucas Cranach - Hofjagd in Torgau zu Ehren Karls V. (1544, Museo del Prado).jpg | width = 360 | 0 | 0 | 0 | 0 | w = 800 | h = 523 |align=left| ハルテンフェルス城外で狩りを楽しむ様子（1544年）。左下隅で弓を持っているのが父ヨハン・フリードリヒ（ザクセン選帝侯）、その右で弓を持つ黒服の男が神聖ローマ皇帝カール5世。右中段で弓を構える女性は母のジビュラ。シュマルカルデン戦争勃発の2年前の様子である。}}
{{File clip2 | SchlossHartenfels.JPG | width = 360 | 3 | 0 | 15 | 0 | w = 800 | h = 533 |align=left| エルベ川の畔に聳える現在の[[:de:Schloss Hartenfels|ハルテンフェルス城]]。}}
ヨハン・フリードリヒ2世は、代々[[ザクセン選帝侯]]を継いできた[[ヴェッティン家]]の宗家[[エルネスティン家|エルンスト家]]の嫡男として、1529年に誕生した。ヴェッティン家の歴史は9世紀に遡り、ヨーロッパでも最も古い歴史をもつ家系である。

[[マイセン辺境伯]]を務めていたヴェッティン家は、15世紀前半の[[フス戦争]]を経て1423年にザクセン選帝侯位を授けられた。以来5代100年にわたり、ヴィッティン家の当主がザクセン選帝侯位を継ぎ、支配地域を大きく広げてきた。[[エルンスト (ザクセン選帝侯)|エルンスト]]が当主のときに、広大な領地の分割が行われた。主要地域をザクセン選帝侯である兄エルンストが治め、弟の[[アルブレヒト3世 (ザクセン公)|アルブレヒト3世]]が残る領地を「ザクセン公」として治めることになった。これ以来、ヴェッティン家は本家のエルンスト家と、分家の[[アルベルティン家|アルブレヒト家]]に分かれることになった。

ヨハン・フリードリヒ2世の生誕地である{{仮リンク|トルガウ|de|Torgau}}はヴェッティン家の本拠があった町で、家がエルンスト家とアルブレヒト家に分かれたあとはエルンスト家の宮廷が置かれていた。エルンスト家の主要な宮廷は2箇所あり、トルガウと[[ヴァイマル|ワイマール]]に置かれていた。トルガウからエルベ川を約40km下ると、ザクセン選帝侯家の中心都市でありルターの宗教改革の中心地でもある[[ルターシュタット・ヴィッテンベルク|ヴィッテンベルク]]がある。また、トルガウから西へ40kmほどいくと[[ライプツィヒ]]がある。

ヨハン・フリードリヒ2世が生まれた1529年の時点では、祖父の[[ヨハン (ザクセン選帝侯)|ヨハン]]が当主として選帝侯の位にあった。1532年にヨハンが死去し、父[[ヨハン・フリードリヒ (ザクセン選帝侯)|ヨハン・フリードリヒ]]が選帝侯位を継いだ。これにより、ヨハン・フリードリヒ2世は将来のザクセン選帝侯継承者となった。

母親は[[ジビュレ・フォン・ユーリヒ＝クレーフェ＝ベルク|ジビュレ]]といい、[[ユーリヒ＝クレーフェ＝ベルク連合公国|ユーリヒ＝クレーフェ＝ベルク公]]の娘である。その妹[[アン・オブ・クレーヴズ|アンナ]]は、1540年にイギリス王[[ヘンリー8世_(イングランド王)|ヘンリー8世]]の4番目の妻として嫁いでいる。当時、神聖ローマ皇帝[[カール5世 (神聖ローマ皇帝)|カール5世]]は、フランスに対抗するためヘンリー8世と同盟を結んでいた。しかし、アンナは半年で離縁されている<ref group="注">ヘンリー8世はアンナの肖像画をひと目見て気に入り、ドイツから妻として迎えたのだが、実際にやってきた女は肖像画とはかけ離れた容姿をしていた。ヘンリー8世は激怒し、その肖像画を書かせた大臣は死罪になった。ヘンリー8世は生涯で6人の妻を迎え、そのうち3人は死別か、離婚直後に殺されている。アンナは6人の妻のなかで最も長生きした。</ref>。

ヨハン・フリードリヒ2世には、選帝侯位を継ぐに相応しい帝王教育が授けられた。10歳からは、法学者の{{仮リンク|バジリウス・モナー|de|Basilius Monner}}（1500-1566）が教育を担った。ラテン語の弁論術を中心に、ギリシャ語やヘブライ語も叩き込まれ、聖書を自力で読めるようになった。また、ヴェッティン家の頭領に相応しい宮廷作法の手ほどきも受けた。武芸も達者で、若い頃から[[馬上槍試合]]に出て好成績を遺した。こうして、幼少の頃からヨハン・フリードリヒ2世は文武両道で優れた才覚の持ち主だと評されるようになっていった<ref name="ADB-ザクセン公JF2世"/><ref name="NDB-ザクセン公JF2世"/><ref name="ADB-バジリウス"/>。

==時代背景==
===宗教改革と皇帝との対立===
{{File clip2 | Martin Luther vor Karl V und Dr. Eck auf dem Reichstag zu Worms.jpeg | width = 360 | 0 | 0 | 0 | 0 | w = 800 | h = 488 |align=left| ヴォルムス帝国議会に召喚され、カール5世と居並ぶ諸侯の前で自説を主張するルター。この会議のあと、ルターは追放刑を言い渡されたが、諸侯の中にはルターに共感する者も出た。}}
ヨハン・フリードリヒ2世が生まれた頃のザクセンは、宗教上の大問題によって大きく揺れていた。[[マルティン・ルター]]（1483-1546）がカトリック教会を激しく批難して[[宗教改革]]を始め、教会、教皇と[[神聖ローマ皇帝]][[カール5世 (神聖ローマ皇帝)|カール5世]]の怒りをかって[[帝国アハト刑|追放]]を命じられた。そのルターを保護したのが、ヨハン・フリードリヒ2世の曽祖父にあたるザクセン選帝侯[[フリードリヒ3世 (ザクセン選帝侯)|フリードリヒ3世]]だった。以来、ザクセン選帝侯は本拠地[[ルターシュタット・ヴィッテンベルク|ヴィッテンベルク]]の[[マルティン・ルター大学ハレ・ヴィッテンベルク|大学]]でルターに聖書の講義を行わせ、[[プロテスタント]]の庇護者として中心的な役割を果たしていた<ref name="ドイツ史I-439441"/><ref name="図説ドイツ史-1012"/>。

やがて、プロテスタントのドイツ諸侯と神聖ローマ皇帝は反目するようになっていった。これは単なる信仰上の宗派対立だけではなく、カール5世の権力拡大志向と、領邦の独自性を守ろうとする諸侯の政治的な問題でもあった。1531年に、プロテスタント諸侯は共同して安全保障を行う[[シュマルカルデン同盟]]を結成し、反皇帝の立場を鮮明にした{{refnest|group="注"|神聖ローマ皇帝カール5世はカトリックの庇護者としてドイツのプロテスタント勢力と対峙していたが、実際にはそれどころではなかった。西方では[[オスマン帝国|トルコ]]が攻めこんできて、[[モハーチの戦い]]で[[ラヨシュ2世|ハンガリー王]]を討ち滅ぼし、[[ハプスブルク家]]の本拠地[[ウィーン]]を取り囲むほどの勢いがあった（[[第一次ウィーン包囲]]）。ハプスブルク家の宿敵フランスでは、[[フランソワ1世 (フランス王)|フランソワ1世]]がドイツを狙っていた。カトリックのフランソワ1世は、神聖ローマ皇帝を決める選挙でカール5世の対立候補だった人物で、各地の選帝侯の票を得るためにドイツの領邦君主にも金をばら撒いていた。ハプスブルク家は、イタリアの金融商人[[フッガー家]]に融通させた資金を背景に、フランソワ1世以上に金をばら撒いたので選挙に勝ち、カール5世が神聖ローマ皇帝になったのである。カール5世はそのフランソワ1世と北イタリアを巡って長い戦争を戦っており、トルコをそそのかしてウィーンを攻めさせたのもフランソワ1世だった<ref name="二千年史-6370"/>。フッガー家はあちこちに金を貸しており、そもそもルターが宗教改革を始めたきっかけである[[贖宥状]]の販売は、[[マインツ大司教]]位を買収するのにフッガーから金を借りた{{仮リンク|アルブレヒト・フォン・ブランデンブルク (1490-1545)|de|Albrecht von Brandenburg|en|Albert of Mainz|label=アルブレヒト}}という人物が、借金を返済する方策としてフッガーに入れ知恵されて始めたものだった<ref name="図説ドイツ史-1012"/>。ヨーロッパ各地で対立していたカール5世とフランソワ1世だったが、1529年に和約が成立し（[[貴婦人の和約|カンブレーの和約]]）、トルコの脅威も峠を越えると、カール5世は反プロテスタントの立場を鮮明にしはじめた。カール5世は[[帝国議会 (神聖ローマ帝国)|帝国議会]]の場でプロテスタントに教義の説明をするように求めた。このとき[[ルター派]]諸侯や都市は「[[アウクスブルク信仰告白]]」を提出してプロテスタントの立場を示したのだが、一部のプロテスタント都市はこれに加わらず、別の答弁（[[:en:Tetrapolitan Confession]]）を行った。カール5世は、プロテスタントがいくつかの宗派に分裂していることを悟り、強硬な態度を通せると考えた。これに危機感を募らせた諸侯と都市が、相互の安全保障を取り決めたシュマルカルデン同盟を作った。盟主にはザクセン選帝侯ヨハン・フリードリヒと[[ヘッセン方伯]][[フィリップ1世 (ヘッセン方伯)|フィリップ1世]]が選ばれている<ref name="ドイツ史I-461462"/>。}}。この同盟の盟主がザクセン選帝侯、すなわち、ヨハン・フリードリヒ2世の父、「度量公」ヨハン・フリードリヒであった<ref name="ドイツ史I-461462"/><ref name="ADB-ザクセン公JF2世"/><ref name="NDB-ザクセン公JF2世"/>。
{{File clip2 | Karl V. (HRR).jpg | width = 120 | 16 | 20 | 35 | 30 | w = 447 | h = 600 |align=right|カール5世（1532年頃）}}
{{File clip2 | Arolsen Klebeband 01 133.jpg | width = 120 | 10 | 33 | 69 | 31 | w = 262 | h = 598 |align=right| モーリッツ }}

しばらくのあいだ、皇帝とシュマルカルデン同盟の間には平和が保たれた。というのも、皇帝はフランスや[[オスマン帝国|トルコ]]とも戦争をしており<ref group="注">皇帝は一時フランスと講和したのだが、シュマルカルデン同盟もフランスに手を回し、すぐにまたフランスと皇帝の間に戦端が開かれた。</ref>、これ以上争いを増やすわけにはいかなかったのである。しかし1540年代になると、シュマルカルデン同盟に綻びが生じた。1540年に、同盟の重要人物ヘッセン方伯[[フィリップ1世 (ヘッセン方伯)|フィリップ1世]]<ref group="注">のちにヨハン・フリードリヒ2世はフィリップ1世の娘と結婚している。</ref>が、妻がいるにも関わらず別の女性と結婚し<ref group="注">その結婚にはルターの同僚[[フィリップ・メランヒトン]]が立ち会っている。</ref>、重婚の罪を問われたのである。[[マルティン・ルター|ルター]]らはこれを許容する見方を示したが、皇帝とカトリック勢はヘッセン方伯への追求を厳しく行い、ヘッセン方伯は苦しい立場に追い込まれた。1544年には皇帝は[[クレピーの和約]]によってフランスと講和した。このときカール5世は、カトリックとしての信仰を同じくするフランソワ1世から、ドイツの宗教問題の解決に協力するとの言質をとっていた。さらに1546年2月にプロテスタントの精神的支柱であったルターが死去すると、皇帝は7月に対シュマルカルデン同盟への戦争に踏み切った（[[シュマルカルデン戦争]]）。このときヨハン・フリードリヒ2世は17歳だった<ref name="ドイツ史I-439441"/><ref name="ドイツ史I-462463"/><ref name="ADB-ザクセン公JF2世"/><ref name="NDB-ザクセン公JF2世"/><ref name="二千年史-6370"/>。

===シュマルカルデン戦争と選帝侯位の喪失===
{{File clip2 | Saxonia Museum für saechsische Vaterlandskunde I 67.jpg | width = 240 | 8 | 7 | 17 | 8 | w = 642 | h = 599 |align=right| モーリッツは「ザクセン選帝侯の命」と偽って選帝侯領に侵入した。 }}
{{File clip2 | 10846-Mühlberg-1909-Die Schlacht bei Mühlberg 1547-Brück & Sohn Kunstverlag.jpg | width = 240 | 10 | 27 | 48 | 25 | w = 800 | h = 520 |align=right| ミュールベルクの戦い }}
{{File clip2 | Karl Swoboda Verkündigung des Todesurteils an Johann Friedrich von Sachsen.jpg | width = 240 | 12 | 0 | 0 | 0 | w = 692 | h = 600 |align=right| グルーベンハーゲンのエルンスト公とチェスを指して待っていたヨハン・フリードリヒのもとへ、「死罪」の評決が伝えられた。 }}
戦争が始まる時点では、プロテスタント勢は自分たちが戦力面で優勢だと考えていた。皇帝側に味方したドイツ勢はいたものの、皇帝軍の兵力の大半はイタリア、オランダやスペインといった遠方から来る援軍で、その到着にはしばらく時間を要するはずだった。ところが思わぬところから敵が現れた。同盟を率いるザクセン選帝侯ヨハン・フリードリヒとヘッセン方伯フィリップ1世の両方にとっての身内である、[[モーリッツ (ザクセン選帝侯)|ザクセン公モーリッツ]]が、裏切ったのである<ref name="二千年史-6370"/><ref name="ADB-選帝侯JF1世"/>。

モーリッツは[[ヴェッティン家]]の分家[[アルベルティン家|アルブレヒト家]]の当主であり、ザクセン公として本家のザクセン選帝侯を支える立場だった。ヨハン・フリードリヒとは[[はとこ|又従兄弟]]の血縁である。そしてモーリッツの妻{{仮リンク|アグネス・フォン・ヘッセン|label=アグネス|de|Agnes von Hessen}}はヘッセン方伯の娘である。そのうえモーリッツはプロテスタントだった<ref name="ADB-選帝侯JF1世"/>。

戦争が始まる時、モーリッツは同盟に対して、自分は中立を保つと言っていた。同盟はその言葉を守らせるためにモーリッツに領地を約束していた。ところがその裏でモーリッツは皇帝カール5世に内通していた。カール5世は、戦争に勝った暁にはモーリッツをザクセン選帝侯にしてやると言って内応を誓わせていた。皇帝が開戦に踏み切ったのは、こうした切り札があってのことだった<ref name="二千年史-6370"/><ref name="ADB-選帝侯JF1世"/>。

モーリッツの裏切りを知る由もないザクセン選帝侯ヨハン・フリードリヒは、ドナウ川の河畔で皇帝軍を迎え撃つため、軍勢を率いて本拠を発って南へ向かった。17歳だが武芸の誉れ高いヨハン・フリードリヒ2世もこれに帯同した。だが領地がもぬけの殻になったのを見計らって、1546年9月、モーリッツは軍を選帝侯の領地へ差し向けた。モーリッツは「選帝侯の命令で領地の守備に来た」と偽って選帝侯の領地に入り込み、次々と要地を落としていった。なかでも[[ライプツィヒ]]を占領されたのはヨハン・フリードリヒにとって致命的な痛手になった。ライプツィヒは兵站と兵士へ支払う給与を集める重要都市だったのだ。領地からの急報を受け取ったヨハン・フリードリヒは軍を割いて救援に引き返すほかなくなった。12月の末にザクセンへ到着したヨハン・フリードリヒは、領地から次々とモーリッツの兵を追い払っていった。だがライプツィヒ奪還には3週間を要してしまい、この間に皇帝軍はすっかり陣営を整えてしまった<ref name="ADB-ザクセン公JF2世"/><ref name="NDB-ザクセン公JF2世"/><ref name="二千年史-6370"/><ref name="ADB-選帝侯JF1世"/>。

ザクセン選帝侯の戦力を欠いたシュマルカン同盟軍は、各地で皇帝軍によって個別に撃破されていった。1547年になって、ヨハン・フリードリヒは自領地をすっかり取り戻して皇帝軍の迎撃にあたれるようになったが、既に皇帝軍はモーリッツの手引でボヘミア方面から[[エルベ川]]沿いにザクセン地方へ侵入を始めていた。ヨハン・フリードリヒはライプツィヒの南東にある{{仮リンク|ロホリッツ|de|Rochlitz}}の戦い（3月2日）で[[ブランデンブルク＝クルムバッハ辺境伯]][[アルブレヒト・アルキビアデス|アルブレヒト]]を打ち破ってこれを捕縛し、エルベ川沿いの大都市[[ドレスデン]]方面に向かった。しかし皇帝軍が既にドレスデンや[[フライベルク]]を落としたとの報せに接すると、[[マイセン]]のエルベ川に架かる橋を焼き落として時間を稼ぎ、エルベ川沿いに下って退き、堅牢なヴィッテンベルクで皇帝軍を迎え撃つことに決めた。

ところがその移動中、4月24日の日曜日に、{{仮リンク|ミュールベルク|de|Mühlberg/Elbe}}で油断して軍を休めているところを皇帝軍に急襲されてしまう。この[[ミュールベルクの戦い]]で同盟軍は致命的な敗北を喫した。軍兵は散り散りになり、同盟の盟主ヨハン・フリードリヒは森へ逃げ込んだが、ハンガリー騎兵に包囲されて斬り合いになり、顔面を斬られた上で捕縛されてしまった。息子のヨハン・フリードリヒ2世はなんとか逃げおおせた。

選帝侯妃ジビュラは、夫が捕縛されたあと自ら兵を指揮し、ヴィッテンベルクの城門を閉じて立て籠もった。皇帝軍はヴィッテンベルクの城外に陣取って包囲した。城内の兵はそう多くはないので、ヨハン・フリードリヒ2世は、軍勢をかき集めて戻るため、200kmほど離れたゴータに向かった。

皇帝は、要塞都市ヴィッテンベルクを力押しで攻略するのは容易ではないと判断し、選帝侯妃に降伏と開城を求めることにした。まず皇帝は将軍の[[フェルナンド・アルバレス・デ・トレド|アルバ公]]に軍事裁判を行わせ、異端と反逆の咎でヨハン・フリードリヒは死罪であると宣告させた。それから城の前にヨハン・フリードリヒを引き出し、城内の選帝侯妃に対して、選帝侯の死刑を免れたければ降伏しろと迫った。しかしヨハン・フリードリヒは選帝侯妃に「ペルガモス」と一言だけ伝えた<ref group="注">ペルガモスというのは古代ギリシア叙事詩に登場する伝承上の人物である。[[トロイア戦争]]で[[アキレウス]]との決闘に敗れて殺さたれたトロイアの王子[[ヘクトール]]の妻[[アンドロマケー]]の子である。アンドロマケーはトロイアが滅ぼされたあと捕らえられ、アキレウスの子[[ネオプトレモス]]の妾とされ、ペルガモスを産んだ。のちにネオプロテモスが殺されると、奴隷にされていた[[ヘレノス]]（ヘクトールの実弟）と連れ立って脱出、アナトリア半島に渡った。ペルガモスが成人すると都市を築き、その都市はペルガモスの名をとって「[[ペルガモン]]」と名付けられ、文化都市として長く繁栄した。ペルガモンの図書館は、エジプトのアレキサンドリア図書館に次ぐ蔵書量を誇った。</ref>。これを聞いた皇帝は、これではヴィッテンベルクは降伏しないと考えてヨハン・フリードリヒを下げさせ、別の手段を取ることにした。皇帝はヨハン・フリードリヒに対し、降伏しなければ、数百年の歴史を持つヴィッテンベルクの都の何もかもを全て破壊し尽くし、選帝侯妃と息子たちも殺すと脅した。これにはヨハン・フリードリヒも折れ、5月19日にヴィッテンベルクに近い{{仮リンク|ブレーセルン|de|Hofgestüt Bleesern}}に陣取った皇帝軍の野営地で、降伏文書（[[:de:Wittenberger Kapitulation|Wittenberger Kapitulation]]）に署名した。

この文書によって、ヨハン・フリードリヒはザクセン選帝侯位をモーリッツへ譲り渡すことになった。さらに領地の大半もモーリッツのものとなり<ref group="注">一部はボヘミア王のものとなった。</ref>、これ以後ザクセン・ヴェッティン家の主家はモーリッツのアルブレヒト家となり、エルンスト家は傍系に転落することになった。ヨハン・フリードリヒは皇帝の捕囚として終生まで幽閉されることになり、それと引き換えに、妻子の罪は赦し、チューリンゲン地方の領地と爵位をヨハン・フリードリヒの3人の息子たちへ遺すことになった。さらに息子たちにはそれぞれ、毎年50,000フローリンの金が皇帝から援助されることとなった。




<ref name="ADB-選帝侯JF1世"/>

===イェーナ大学と宗派===
===ザクセン公位継承===
===グルムバッハ紛争===

==子孫==

==文献==
==資料==
[[ファイル:Antonio abondio, johann friedrich II von sachsen, 1576.JPG|120px|right|thumb|]]
[[ファイル:JohannFriedrichBrueder.jpg|120px|thumb|right|Johann Friedrich II. (links) mit seinen Brüdern Johann Wilhelm (Mitte) und Johann Friedrich III. (rechts)]]
[[ファイル:Coburg-Morizkirche2.jpg|120px|right|thumb|Epitaph für Herzog Johann Friedrich II. und seine Gemahlin Elisabeth in der Morizkirche Coburg]]
[[ファイル:1540 Elisabeth.jpg|120px|thumb|right|Prinzessin Elisabeth von Pfalz-Simmern (1540–1594)]]
[[ファイル:Torgau Schlosskirche Stiftertafel 03.jpg|120px|thumb|right|]]
===１===
[[:de:Wilhelm von Grumbach]]
[[ファイル:WilhelmvonGrumbach.jpg|120px|thumb|right|悪臣グリュムバッハ]]

[[:de:Christian Brück]]
[[]]

===NDB===
<ref name="NDB-ザクセン公JF2世"/>

ヨハン・フリードリヒ2世は幼少の頃から優れた才覚の片鱗を見せていた。若い時分から学問における問題に目を向けていた。

17歳で[[シュマルカルデン戦争]](1546-1547)に加わり、[[ミュールベルクの戦い|ミュールブルベルクでの大敗北]]に遭遇。以後はゴータを根城に抵抗を組織した。

1547年から1552年までのあいだ父親が捕囚となっているあいだと、、1554年に父が死んだ後はJF2世は兄弟で領地を共同統治した。

JF2の治世の最初の業績は、司法の確立、領土の丸め込みにあった。イェーナ大学の拡張にも取り組んだが、すぐに、大学の神学者たちが反対を始めた。破門や検閲といった神学者たちの特権を巡って争いになり、最終的にルター派学者の[[マティアス・フラキウス・イリリクス]]を大学から追放することになった。

頑固で、落胆することがあり、考えこむ癖があり、政治に関する欲求はすぐに置き換わった、そしてこの特性は、おそらく、エルンスト家の存続を危機に陥らせることになった。

JF2の考えはどんどんあいまいになり、夢想的な呪縛にとりつかれていった。彼は考えた、1555年の[[アウグスブルクの和議]]における、政治的状況における彼の可能性の完全な欠如、彼の家の反発、

このときから、たぶん、彼と彼の家に対する皇帝の尊厳は、この理由で、



1557年に、騎士Wilhelm von Grumbach aufが、なんども未遂を企てた、1563年にはエルンスト家の領地から[[ヴュルツブルク司教]] Würzburg攻撃を


JF2は、宰相のクリスティアン・ブリュックBrückと、グルムバッハと、その手下のHans Miillerの、すっかり操り人形と化した。こいつらは1562年から宮廷に入り浸り、

各方面から多くの警告があったのにも関わらず。

とうとう、1567年に、ゴータに近いグリュメンシュタインの要害に立て篭もり、ザクセン選帝侯アウグストの軍勢と対峙した。彼の不十分な軍隊が氾濫を起こし、JF2の主権を拒否し、捕まって、ウィーンへ送られ、死ぬまでそのままだった。

※ブリュックは父の代からの家臣（[[:en:John Frederick I, Elector of Saxony]]

===ADB===
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ザクセン公

1529年1月8日生まれ。{{仮リンク|トルガウ|de|Torgau}}で。長男。

父は選帝侯JF、母はHerzogs Johann von Cleveの娘Sibylla。


捕囚として死んだ。1595年5月9日。オーストリアの[[シュタイアー]]で。

兄弟にはJohann Wilhelm、Johann Friedrich のほか、生後1ヶ月で死んだJohann Ernstがいる。


公子時代、この人は若い頃は凄い才能があったが、それを裏切ったように思われる。一緒に育ったのは、兄弟のJohann Wilhelm。仲良く育ったらしい。

主に面倒を見たのは法学者{{仮リンク|バジリウス・モナー|de|Basilius Monner}}(1500-1566) 。徹底的に教育を受けた。

ラテン語教育も徹底された。ラテン語の弁論術は生徒には厳粛なできごととして叩きこまれた。ギリシャ語、ヘブライ語も。それによって時分で聖書が読めるように。

公子はエルンスト家の宮廷のマナーについて、幼い頃から手ほどきを受けた。騎士的な運動も精神的な面も。（武芸も、精神面も。）トーナメント試合で勇気と技術を賞賛された。

しかしそうした才能をもっとシリアスな場面で試される時がすぐにやってきた。シュマルカルデン戦争。南ドイツで。ミュールブルベルクの戦いでもよく闘った。しかし捕縛されるというたいへんな苦難に面した。ヴィッテンベルクに急行し、彼はまだ確信がなかった、そこでゴータのグリメンシュタインへ急ぎ、軍を再編成した。皇帝に抵抗するために。しかし武装が思うように進まず、そうこうしているあいだに皇帝の勝利が確定した。

父が捕まり、ヴィッテンベルクでサインさせられ、エルネスト家は領土を皇帝に召し上げられることになった。

その後も父は長く皇帝のもとに捕囚としてとどめおかれた。しかし、皇帝は、父の子たちに毎年50000フローリンの給金を遣わした。そして彼らにこう約束した。そのうちエルンスト家にはちゃんとした領地を戻してやると。

皇帝はプロテスタントに対する勝利で傲慢になったと知られている。そして皇位を世襲制にした。（[[フェリペ2世 (スペイン王)]]へ。）

選帝侯モーリッツは、皇帝カール5世のこの崇高なプランをぶち壊した。
大胆にも、囚われのプロテスタントのプリンスを解放し、[[パッサウ条約]](1552)を強制された（Passauのtreatyを）。

この結果、父は解放され、1552年9月に帰ってきた。
息子たちは、父のもとで領地経営にあたった。
この間、いくつもの重要事項が話し合われた。

宮廷をショッキングな出来事が襲った。
ミュールベルクでの。
一人はまだ Saalfeldの、ボヘミアの領地　1549年に、　フェルディナンド王によって。


イェーナに精神面での中心地をつくった。

捉えられてすぐの頃、敗れた選帝侯は、ヴィッテンベルク大学を失った。そこは信仰の面でも軍の面でもプロテスタントの牙城だった。

父は、最後の時間を、イェーナ大学の拡充という、子どもとのコラボレーションに使った。南ドイツへいく前に。新選帝侯モーリッツの手に委ねられたヴィッテンベルク大学の運命がどうなるかわからんので。

[[フィリップ・メランヒトン]]をスカウトしにいくと、エルンスト家の行く末を決める最初の交渉は順調のようだったが、ルターの有名な友人は、ヴィッテンベルクの残ると言った。ほかにもエルンスト家の計画には難問が待ち構えていた。

熱狂的なカトリックだった皇帝は、イェーナ大学の拡張に必要な決め事について、悉くこれを却下したのである。そのために、計画の一部を変更してギムナジウムの造営とすることで満足せざるを得ないこともあった。時が悪い。

1557年8月まで皇帝の赦しが出なかった。

それにしてもメランヒトンが新しい学校の教授職への誘いを断ったのは、いまの我々から見ると、非常に恐ろしい結果をもたらすことになった。プロテスタント教会の将来は全く違ったものになっていただろう。メランヒトンの穏やかな主張がイェーナにもたらされれば、ずっとずっと穏やかだっただろう。

ルターの教えを伝える代わりの教授はやがてみつかったが、こんどはプロテスタントの身内同士での諍いが絶えなくなった。宗教と政治が密接につながっていたために。ルター派とカルヴァン派。

エルンストの領地はルター派が大勢を占めるようになった。1548年から皇帝はルター派の教義に干渉をはじめた。皇帝は、民衆にカトリック教会の懐に戻れと強制した。これを訴える人々もかなりいた。しかしこれはうまくいかず、血を見る結果となった。

ドイツの低地地方はプロテスタントに熱狂的で、教皇のいうことなど屁みたいな感じだったが、中部ドイツではもうちょっと冷静だった。

新ザクセン選帝侯は割りと融和的だった。ライプチヒがその舞台に。

囚われとなった方伯は、彼の領地に皇帝の新しい法を適用するのを拒み、息子たちにも皇帝に従うことを禁じた。

そういう難しい状況下で、若いエルンストの公子は、大学に16の神学の教義を定めた。1548年7月28日に。これにより、[[アウクスブルク信仰告白]]を拒否することになった。ライプツィヒとも決別。

神学者たちは宣言した。新選帝侯モーリッツの仕事は全く満足させるものではないと。皇帝の一派も出て行けと。新しい「信仰告白」が作られ、皇帝に送りつけ、それがエルンストの領土の信仰となっていった。

この出来事は、モーリッツがパッサウ条約(1552)をやることにつながり、父の解放にもつながった。

※※

失われた領土の復活と、選帝侯という栄誉を取り戻すという苦難に満ちた取り組みは、1553年から皇帝に対して試みられた。その年にモーリッツが死んだので。その直後の1554年3月4日に父が死に、その際に兄弟で話し合いをして、共同統治をするかわりに領土分割をしないことを決めた。

3兄弟は、1557年までは共同統治をした。この3年間のあいだに、3兄弟の間には新しい関係ができた。まず、父が戻ってきた時に取り上げた息子たちの取り分を元に戻した。次に、この作業は思っていた以上に時間がかかった。1555年3月23日までと見込んでいたのだが。

その翌年、公は修道士会の財産の一新をした。ブランデンブルク選抵抗と、ヘッセン公は、1年後に、ザクセン選帝侯とボヘミア


JF2は行った、ヴェッティベルクからプラハに行き、ボヘミアのアルベルタイン家のものだった領地をエルンスト家のものとしてうけとった。

かつてエルンスト家のもので、今はよそにわたっていた HennebergやCoburg、 Römhildの領地も、このとき戻ってきた。1556年にはケーニヒスベルクからクレームが付いたが、これも守り切った。

司法の確立もがんばった。皇帝はヴェッティン家の領内のすべての特権はヴィッテンブルクに与えていたが、イェーナに最高司法の場を設けることに成功した。（そのかわりにコーブルクのを廃した。）

※※

こうした交渉の過程から見ると、JFの慎重なポリシーをみてとれる。過去に鑑み、正直に若いするという姿勢をみせていた。あちこちの交渉相手に対し、フレンドリーに接し、反対者に対しても真摯に振るまい、敵であるザクセン選帝侯や、皇帝に対してさえも。

この中庸な姿勢は敗北の苦節を経験したことに由来する。こうした真摯な積み重ねが、領土の回復につながることも期待していただろう。

死の床で、父は、失ったものを皇帝が戻してくれることを願っていただろう。それは約束されていたことでもある。もしザクセン選帝侯が偏見を以ってエルンスト家にあたるようであれば、戻すと。しかしすでに、19世紀（と書いてあるがおかしい）の初めには、アルブレヒト系のザクセン公は、エルンスト系よりも皇帝に近く、モーリッツはカール5世の腹心ともいえる状態だった。しかしモーリッツはこの有利さを、JFら公子の追放という方向には使わなかった。モーリッツがそうしようと思えばそれは実現したであろう。そのことが、皇帝を、アルブレヒト系でもいいやと考えさせるようになった。兄弟のアウグストもこのポリシーをうけつぎ、徐々に、エルンスト家の不安が現実になっていった。

ザクセン選帝侯にとってハプスブルクとの繋がりはより強固になればなるほど、エルンスト家が望む結果からは遠ざかっていった。いろいろな努力にも関わらず、望みがかなわないということが確実になってくると、JFは旧敵に対する態度を変えていった。皇帝に対して単独で立ち向かうのは無理っぽいと思ったので、（多くの諫言があったけども）JFはフランスを頼った。この世紀の最初の20年、カール5世はフランスとヨーロッパを股にかけた大戦争をやっていたのだから、そしてそのせいでイタリア王や皇位も危うかったのだから。

中央集権が進んだ国、は、皇帝の野望だった。

ドイツ人の愛国心は当時、遺伝的な敵（フランスのこと）に反対ではなかった。

乳離れのしすぎだと考えた皇帝は、ちょうどスペインからドイツに戻ったところで、ドイツに対してカトリック主義への厳格な厳守を求めた。父は「真の信仰の国」にやっと帰ってきたばかりのことで、プロテスタントの国づくりをしようと思ってたところだったから、プロテスタント側は公子を助けるものならだれでもいいよ、という感じだった。

こうして、小規模な戦争の前に、彼らは王のフランツ1世（誰？フランス王[[フランソワ1世 (フランス王)]](＝[[:de:Franz I. (Frankreich)]])、1494-1547かな？）と結び、王は20万フランを援助した。

一方、方伯と選帝侯は、皇帝に戦争になった味方しますと誓をたてた。しかし彼（誰の？）の突然の死によって、この話はお流れになった。

新選帝侯のモーリッツは、[[アンリ2世 (フランス王)]](在位1547-1559、フランソワ1世の次の王)と組んだ。1551年10月5日、この同盟が成立。（1547年に王位に就くと父の対外積極政策を継承して、ハプスブルク家の神聖ローマ皇帝兼スペイン王カール5世と争い、1552年にザクセン選帝侯モーリッツとシャンボール条約を結んでメス、トゥール、ヴェルダンを占領した）カール5世に対する対抗心はフランソワ1世からアンリ2世に伝わっていたのである。

===3===

==日本語版==
[[File:Johann_Frederick_II_of_Saxony.jpg|thumb|ヨハン・フリードリヒ2世]]
'''ヨハン・フリードリヒ2世'''（Johann Friedrich II., [[1529年]][[1月8日]] - [[1595年]][[5月19日]]）は、[[ザクセン公]]（在位：[[1554年]] - [[1566年]]）。[[ザクセン選帝侯]][[ヨハン・フリードリヒ (ザクセン選帝侯)|ヨハン・フリードリヒ1世]]と[[ジビュレ・フォン・ユーリヒ＝クレーフェ＝ベルク]]の長男。

[[1555年]]に[[ヘッセン方伯]][[フィリップ1世 (ヘッセン方伯)|フィリップ1世]]の娘でザクセン選帝侯[[モーリッツ (ザクセン選帝侯)|モーリッツ]]の未亡人アグネスと結婚したが、同年に産褥死した。

[[1558年]]に[[ライン宮中伯|プファルツ選帝侯]][[フリードリヒ3世 (プファルツ選帝侯)|フリードリヒ3世]]（1559年に継承）の娘エリーザベトと再婚し、4男をもうけた。成人に達したのは2人である。
* ヨハン・フリードリヒ（1559年 - 1560年）
* フリードリヒ・ハインリヒ（1563年 - 1572年）
* [[ヨハン・カジミール (ザクセン＝コーブルク公)|ヨハン・カジミール]]（{{enlink|John Casimir, Duke of Saxe-Coburg|a=on|p=off}}, 1564年 - 1633年）　ザクセン＝コーブルク公
* [[ヨハン・エルンスト (ザクセン＝アイゼナハ公)|ヨハン・エルンスト]]（{{enlink|John Ernest, Duke of Saxe-Eisenach|a=on|p=off}}, 1566年 - 1638年）　ザクセン＝アイゼナハ公

ヨハン・フリードリヒ2世は[[1566年]]に[[神聖ローマ皇帝]][[マクシミリアン2世 (神聖ローマ皇帝)|マクシミリアン2世]]の捕虜となり、弟[[ヨハン・ヴィルヘルム (ザクセン＝ヴァイマル公)|ヨハン・ヴィルヘルム]]がザクセン公となった。しかし1572年にマクシミリアン2世の裁定により、ヨハン・フリードリヒ2世の存命していた2人の息子とヨハン・ヴィルヘルムの間で所領の分割が行われた。

[[1595年]]、ヨハン・フリードリヒ2世は虜囚として生涯を終えた。

{{先代次代|[[ザクセン君主一覧|ザクセン公]]<br>（[[エルネスティン家|エルンスト系]]）|1554年 - 1566年|[[ヨハン・フリードリヒ (ザクセン選帝侯)|ヨハン・フリードリヒ1世]]|[[ヨハン・ヴィルヘルム (ザクセン＝ヴァイマル公)|ヨハン・ヴィルヘルム]]}}

==脚注== 
===注釈=== 
<references group="注"/>
===出典=== 
{{Reflist|colwidth=30em |refs= 
<!--★★--> 
*<ref name="ドイツ史I-439441">世界歴史大系『ドイツ史1』,p439441「ヴォルムス帝国議会」</ref>
*<ref name="ドイツ史I-461462">世界歴史大系『ドイツ史1』,p461-462「アウクスブルク帝国議会とシュマルカルデン同盟」</ref>
*<ref name="ドイツ史I-462463">世界歴史大系『ドイツ史1』,p462-463「シュマルカルデン戦争」</ref>
 
*<ref name="二千年史-6370">『ドイツ二千年史』,p63-70</ref>
*<ref name="図説ドイツ史-1012">『図説　ドイツの歴史』,p10-12</ref>

<!--★★-->
*<ref name="NDB-ザクセン公JF2世">ドイツ歴史委員会(Historical Commission)・バイエルン科学アカデミー(Bavarian Academy of Sciences),NDB(Neue Deutsche Biographie),[https://www.deutsche-biographie.de/sfz53358.html#ndbcontent Johann Friedrich (II.) der Mittlere],2016年9月25日閲覧。</ref>

*<ref name="ADB-ザクセン公JF2世">ドイツ歴史委員会(Historical Commission)・バイエルン科学アカデミー(Bavarian Academy of Sciences),ADB(Allgemeine Deutsche Biographie),[https://www.deutsche-biographie.de/sfz53358.html#adbcontent Johann Friedrich, Herzog zu Sachsen],2016年9月25日閲覧。</ref>

*<ref name="ADB-バジリウス">ドイツ歴史委員会(Historical Commission)・バイエルン科学アカデミー(Bavarian Academy of Sciences),ADB(Allgemeine Deutsche Biographie),[https://www.deutsche-biographie.de/gnd100380069.html?language=de#adbcontent Monner, Basilius],2016年9月25日閲覧。</ref>

*<ref name="ADB-選帝侯JF1世">ドイツ歴史委員会(Historical Commission)・バイエルン科学アカデミー(Bavarian Academy of Sciences),ADB(Allgemeine Deutsche Biographie),[https://www.deutsche-biographie.de/sfz39448.html#adbcontent Johann Friedrich, Herzog zu Sachsen],2016年9月24日閲覧。</ref>
}}

===参考文献===
*世界歴史大系『ドイツ史1』先史-1648年,[[成瀬治]]・[[山田欣吾]]・[[木村靖二]]／編,[[山川出版社]],1997,ISBN 463446120X
*『ドイツ二千年史』,若林龍夫／著,靑梧堂,1941
*『図説　ドイツの歴史』,石田勇治／編著,河出書房新社,2007,2010（第3版）,ISBN 9784309761053

==関連項目==
==カテゴリ==
{{Commonscat|Johann Frederick II of Saxony|Johann Friedrich II.}}

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[[Category:ザクセン公]]
[[Category:ヴェッティン家エルンスト系]]
[[Category:1529年生]]
[[Category:1595年没]]
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