ロジャーバローズのソースを表示

{{ディープインパクト}}
==血統==
{{五代血統表εs
|name =ロジャーバローズ
|和 =Roger Barows
|画像 = [[ファイル:2019rogerbarrows-derby.jpg| 360px | link= ]]
|画像cap =第86回日本ダービーを1枠1番で優勝。浜中騎手も日本ダービー初勝利。
|見出し = 令和最初のダービー馬。
|幼name1 =
|血統名和1 =
|前name1 =
|前和1 =
|前name2 =
|前和2 =
|地name1 =
|地方名和1 =
|異name1 =
|異和1 =
|異name2 =
|異和2=
|異name3 =
|異和3=
|種name1 =
|種牡名和1 =
|繁name1 =
|繁殖名和1 =
|種 = サラブレッド
|年 =2016
|性 =牡
|color =
|毛 =鹿毛
|誕 =2016.01.24
|死 =
|国 ={{F-JPN}}日本
|県 =北海道新ひだか町静内
|牧 =飛野牧場（Tobino Stud）
|者 =飛野正昭
|調 = 中竹和也 調教師 → 角居勝彦 調教師
|厩 = 
|厩地 = 栗東
|主 =猪熊広次
|f= [[ディープインパクト]]
|f毛 = 鹿毛
|f年 = 2002
|f国 = JPN
|m = リトルブック
|m毛 = 鹿毛
|m年 = 2008
|m国 = GB
|ff = [[サンデーサイレンス]]
|ff毛 = 青鹿毛
|ff年 = 1986
|ff国 = USA
|fm = <small>[[ウインドインハーヘア]]</small>
|fm毛 = 鹿毛
|fm年 = 1991
|fm国 = GB
|mf= [[Librettist]]
|mf毛 = 鹿毛
|mf年 = 2002
|mf国 = USA
|mm = Cal Norma's Lady
|mm毛 = 栗毛
|mm年 = 1988
|mm国 = IRE
|fff = [[Halo]]
|ffm = Wishing Well
|fmf = [[Alzao]]
|fmm = Burghclere
|mff= [[Danzig]]
|mfm= Mysterial
|mmf= <small>[[リファーズスペシャル]]</small>
|mmm= June Darling
|ffff = [[Hail to Reason]]
|fffm = [[Cosmah]]
|ffmf = [[Understanding]]
|ffmm = Mountain Flower
|fmff = [[Lyphard]]
|fmfm = Lady Rebecca
|fmmf = [[Busted]]
|fmmm = [[Highclere]]
|mfff = [[Northern Dancer]]
|mffm = [[Pas de Nom]]
|mfmf = [[Alleged]]
|mfmm = Mysteries
|mmff = [[Lyphard]]
|mmfm = My Bupers
|mmmf = [[ジュニアス]]
|mmmm = Beau Darling
|fffff = [[Turn-to]]
|ffffm = Nothirdchance
|fffmf = [[Cosmic Bomb]]
|fffmm = [[Almahmoud]]
|ffmff = [[Promised Land]]
|ffmfm = Pretty Ways
|ffmmf = [[Montparnasse]]
|ffmmm = Edelweiss
|fmfff = [[Northern Dancer]]
|fmffm = [[Goofed]]
|fmfmf = [[Sir Ivor]]
|fmfmm = [[Pocahontas]]
|fmmff = [[Crepello]]
|fmmfm = Sans le Sou
|fmmmf = [[Queen's Hussar]]
|fmmmm = Highlight
|mffff = [[Nearctic]]
|mfffm = Natalma
|mffmf = [[Admiral's Voyage]]
|mffmm = Petitioner
|mfmff = [[Hoist the Flag]]
|mfmfm = Princess Pout
|mfmmf = [[Seattle Slew]]
|mfmmm = Phydilla
|mmfff = [[Northern Dancer]]
|mmffm = Goofed
|mmfmf = [[Bupers]]
|mmfmm = Princess Revoked
|mmmff = [[Raja Baba]]
|mmmfm = Solid Thought
|mmmmf = [[Darling Boy]]
|mmmmm = Fair Astronomer
|f-mark =
|m-mark ={{imp}}
|ff-mark ={{imp}}
|fm-mark ={{imp}}
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|mfm-mark=
|mmf-mark={{imp}}
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|mmmf-mark ={{imp}}
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|f-sub =
|f-info1 =13戦12勝
|f-info2 =年度代表馬 2回
|f-info3 =日CS 
|f-info4 =
|m-sub =Little Book
|m-info1 =10戦0勝
|m-info2 =
|m-info3 =
|m-info4 =
|ff-sub =Sunday Silence
|ff-info1 =米年度代表馬
|ff-info2 =日CS
|fm-sub =Wind in Her Hair
|fm-info1 =13戦{{0}}3勝
|fm-info2 =アラルポカル独G1
|mf-sub =
|mf-info1 =10戦7勝
|mf-info2 =仏G1 2勝
|mm-sub =
|mm-info1 =17戦3勝
|mm-info2 =
|mmf-sub =Lyphard's Special
|FN =16-f
|母系 =
|初出 =2
|終出 =3
|出走地 =日本
|通算少とも = 通算
|戦 = 6
|勝 = 3
|勝備考 = 
|初出A =
|終出A =
|出走地A =
|戦A =
|勝A =
|勝備考A =
|初出B =
|終出B =
|出走地B =
|戦B =
|勝B =
|勝備考B =
|タイトル =
|鞍 ={{BT2|[[日本ダービー]]}}{{日G1}}、②[[京都新聞杯]]{{日G2}}
|金 = 268,756,000円
|rate =
|供用歴1 =アロースタッド（新ひだか町静内）
|供用歴1年 =
|供用歴2 =
|供用歴2年 =
|供用歴3 =
|供用歴3年 =
|供用歴4 =
|供用歴4年 =
|供用歴5 =
|供用歴5年 =
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|供用歴6年 =
|供用歴7 =
|供用歴7年 =
|供用歴8 =
|供用歴8年 =
|CS =
|CJS =
|CBMS =
|駒 = 
}}

==馬名==
馬主の猪熊広次氏は、所有馬に「人名 ＋ 冠名バローズ」と命名している。「バローズ」は猪熊氏の経営する㈱バローズの社名である。猪熊氏は1999年に小田急線・向ヶ丘遊園駅前（川崎市多摩区）でauの販売代理店を開業、その後、モバイルコンテンツ事業に乗り出す。猪熊広次氏は2003年からサラブレッドの所有をはじめ、2009年には[[アントニオバローズ]]で[[シンザン記念]]に優勝した。

なお、同社から2005年に分社した「デジマース社」の社長、石川達絵氏は[[キセキ]]の馬主。猪熊氏の勝負服は、かつてのメジロ牧場を彷彿とさせる「白、緑一本輪」で、石川氏の勝負服は「白、緑二本輪」である。

==出自==
飛野牧場は、静内（現・新ひだか町）の静内川の左岸、真歌地区にある。昭和25年（1950年）に飛野正司が創業した牧場で、かつてはアラブの繁殖牝馬を繋養してアングロアラブを生産していた。2代目の飛野正昭は、高校を卒業したあと[[豊洋牧場]]で修行しつつ、海外の一流馬の血統を学んだ。当時、1960年代（昭和30年代中頃）にはまだ外国の情報を入手するのも難しく、僅かな書籍を頼りにしてヨーロッパやアメリカの血統を調べたという。

ある日、それらの一流馬のなかに[[社台ファーム]]で繋養されているものがあると知り、知人のつてを頼って見学を申し込んだ。牧場を訪問してみると、[[吉田善哉]]が自ら飛野を案内しながら名馬を紹介したという。若いが勉強熱心な飛野を気に入った吉田は、海外に種牡馬の買い付けに行くときには飛野を帯同するようになり、飛野は[[バックパサー]]、[[セクレタリアート]]、[[ニジンスキー]]といった歴史的名馬を直接観察する機会を得た。吉田は、まずは名馬の馬体をよく観察し、その後に血統を精査しろと教えた。以後、飛野は数十年にわたり、海外の名競走馬をみて相馬眼を磨いたという。

飛野牧場の飛躍になったのが1997年の{{imp}}マジソンカウンティ（Madison County）導入だった。マジソンカウンティは当時人気の[[シアトルスルー]]産駒で、2戦0勝の成績ながら、母Steal a Kiss（父[[Graustark]]）はアメリカのG1で3回2着になった実績をもっている。キーンランドのノベンバー市場に上場されていたのだが、上場日が4日目で、めぼしい人気馬がすでに競り終えていたためあまり値が上がらず、14万5000ドル（約1600万円）と割安で落札できた。実際に落札にあたったのは㈱ジェイエスである。マジソンカウンティは[[Honour and Glory]]の孕仔を宿しており、持込馬として産んだのが牝馬[[ネームヴァリュー]]だった。ネームヴァリューは[[帝王賞]]など10勝をあげ、NAR年度代表馬に輝いた。

飛野は世界中のセリ市の上場名簿を取り寄せては、世界各国の大競走の優勝馬と血統を照合した。こうして目をつけたのが2012年にタタソールズのディセンバー市場で落札した{{imp}}リトルブックだった。同馬の半姉{{imp}}[[ドナブリーニ]]は[[チェヴァリーパークS]]に勝ち、その産駒は三冠牝馬[[ジェンティルドンナ]]である。父馬もドナブリーニと同じ[[Danzig]]系であり、リトルブックはドナブリーニの3/4妹となる血統構成である。すなわち、リトルブックに[[ディープインパクト]]を交配すると、ジェンティルドンナとは7/8まで同じ血統構成となる。

実際に現地でリトルブックの購買を担当した㈱ジェイエスの大西恵介は、飛野から馬の見方を学んだという。ディセンバーセールは日本の深夜に行われるため、飛野は購買を大西に任せていたといい、23万ギニー（約3,300万円）での落札となった。これは飛野牧場が繋養してきた繁殖牝馬のなかでは最も高価となった。落札を担当した大西によると、実際に牧場に到着したリトルブックを最初にみたときに飛野が「まあまあ合格」と評したという。一方、飛野本人は期待通りと満足だったという。

飛野牧場ではリトルブックに毎年ディープインパクトを交配した。はじめの2年は産駒を得られず、高額な種付け料のために借金を重ねることになったという。そして3年目の2016年に誕生したのがロジャーバローズである。飛野は生まれてきた牡駒をみて、父に似た骨格と柔軟な筋肉とを認め、高い将来性を確信したといい、すぐに1億円の競走馬保険をかけた。

「リトルブックの2016」は、この年のセレクトセールに上場され、7,800万円（税込8,424万円）で猪熊氏が落札した。猪熊氏はノーザンファームにこの馬を預託し育成と調教を行った。

==競走成績==
===戦績表===
{{戦績JPN時見出}}
{{戦績JPN時
| 齢 = 2
| 和 = H30
| 西 = 2018
| 月.日 ={{0}}8.18
| 競馬場 = [[新潟競馬場|新潟]]
| レース名 = 2歳新馬
| 格 = 
| 芝ダ = 芝
| 馬場 = 良
| 距離 = 2000 ｍ
| 着順 = 1
| 記録 =
| 勝時計 =2:02.5
| 2着差 = 0.2
| 他馬 = ポイントオブオナー
}}
{{戦績JPN時B
| 齢 = 
| 和 = 
| 西 = 
| 月.日 =10.14
| 競馬場 = [[京都競馬場|京都]]
| レース名 = 紫菊賞
| 格 = {{500}}
| 芝ダ = 芝
| 馬場 = 良
| 距離 = 2000 ｍ
| 着順 = 2
| 記録 =
| 勝時計 =2:01.0
| 2着差 = 0.2
| 他馬 = [[アドマイヤジャスタ]]
}}
{{戦績JPN時
| 齢 = 3
| 和 = H31
| 西 = 2019
| 月.日 ={{0}}1.{{0}}5
| 競馬場 = [[京都競馬場|京都]]
| レース名 = 福寿草特別
| 格 = {{500}}
| 芝ダ = 芝
| 馬場 = 良
| 距離 = 2000 ｍ
| 着順 = 1
| 記録 =
| 勝時計 =2:02.4
| 2着差 = 0.3
| 他馬 = ハギノアップロード
}}
{{戦績JPN時
| 齢 = 
| 和 = 
| 西 = 
| 月.日 ={{0}}3.17
| 競馬場 = [[中山競馬場|中山]]
| レース名 = {{BT3|[[スプリングS]]}}
| 格 = {{日G2}}
| 芝ダ = 芝
| 馬場 = 良
| 距離 = 1800 ｍ
| 着順 = 7
| 記録 =
| 勝時計 =1:48.2
| 2着差 = 0.4
| 他馬 = [[エメラルファイト]]
}}
{{戦績JPN時
| 齢 = 
| 和 = R{{0}}1
| 西 = 
| 月.日 ={{0}}5.{{0}}4
| 競馬場 = [[京都競馬場|京都]]
| レース名 = {{BT3|[[京都新聞杯]]}}
| 格 = {{日G2}}
| 芝ダ = 芝
| 馬場 = 良
| 距離 = 2200 ｍ
| 着順 = 2
| 記録 =
| 勝時計 =2:11.9
| 2着差 = クビ
| 他馬 = [[レッドジェニアル]]
}}
{{戦績JPN時B
| 齢 = 
| 和 = 
| 西 = 
| 月.日 ={{0}}5.26
| 競馬場 = [[東京競馬場|東京]]
| レース名 = {{BT2|[[日本ダービー]]}}
| 格 = {{日G1}}
| 芝ダ = 芝
| 馬場 = 良
| 距離 = 2400 ｍ
| 着順 = 1
| 記録 =R
| 勝時計 =2:22.6
| 2着差 = クビ
| 他馬 = [[ダノンキングリー]]
}}

===戦績===
====2歳時（2018年）====
ロジャーバローズは栗東の角居勝彦厩舎に入厩することになった。僚馬には同世代の[[サートゥルナーリア]]や2歳年上の[[キセキ]]がいる。キセキは猪熊氏のバローズ社の取締役でもある石川氏の所有馬である。ところが、7月6日に角居調教師が酒気帯び運転で逮捕されてしまう。角居はJRAにより半年間の業務停止処分を受けたため、急遽ロジャーバローズは中竹和也調教師が臨時で預かることになった。

ロジャーバローズは2歳の夏に新潟でデビュー、2000メートルの新馬戦を1番人気に応えて1馬身1/4差で快勝した。しかし続く紫菊賞（{{500}}、芝2000ｍ）は[[アドマイヤジャスタ]]との叩きあいで遅れを取り、1馬身1/4差の2着に敗れた。戸崎騎手や評論家からは「テンションが高い」と課題を示され、また辻野調教助手は、このときはまだ「トモの嵌りに物足りなさがある」と感じていたという。

結局、2歳シーズンは2戦1勝で終えた。アドマイヤジャスタはこのあと[[ホープフルS]]{{日G1}}で[[サートゥルナーリア]]の2着になり、この年のJPNサラブレッドランキングで[[アドマイヤマーズ]]（[[朝日杯FS]]{{日G1}}）、[[サートゥルナーリア]]（ホープフルS{{日G1}}）の2頭のG1ウィナーに次ぐ世代3位に評価された。しかし、ロジャーバローズはランク外だった。

====3歳時（2019年）====
3歳になるとすぐ、1月5日に福寿草特別（{{500}}、芝2000ｍ）を4コーナー早め先頭から押し切る競馬で2馬身差で快勝、オープン入りした。この翌日に角居調教師の調教停止処分が解け、ロジャーバローズは角居厩舎に「転厩」している。陣営は次走に2月下旬の[[すみれS]]（{{日L}}、芝2200ｍ）あたりを考えていたのだが、左前挫跖を発症してしまい、ノーザンファームしがらきへ休養に出た。結果的に、ロジャーバローズはこのあと暖かくなるまでゆっくりと待つことになった。

3月の[[スプリングS]]（{{日G2}}、芝1800ｍ）はロジャーバローズにとって初めての関東遠征となった。このレースは強い本命馬が不在で人気が分散し、混戦模様となった。[[小倉2歳S]]勝ち馬の[[ファンタジスト]]が4.8倍の1番人気、オープン戦初挑戦のロジャーバローズが5.1倍で差のない2番人気、同じくオープン初挑戦の[[ヒシイグアス]]が6.0倍で3番人気、さらに、朝日杯FSで2着したがまだ1勝馬の[[クリノガウディー]]が6.8倍で4番人気、葉牡丹賞の勝ち馬[[シークレットラン]]が8.0倍で5番人気といった具合である。

しかしロジャーバローズは7着に沈んだ。休み明けでも馬体は仕上がっていたと言うし、位置取りも外枠にしてはインコースを通ることに成功して悪くなかったのだが、4コーナーあたりですでに手応えが怪しくなっていた。辻野は「輸送の影響のせいかテンションが高かった」といい、川田騎手は、下見所を周回していた時点から「競馬に向かえる精神状態ではなかった」と述べている。レースは早めに抜け出した10番人気の伏兵[[エメラルファイト]]がファンタジストの追撃をアタマ差しのいで優勝した。走破タイムは1分47秒8とそこそこ早かったのだが、前日の[[フラワーC]]よりも遅く、クラシック本番へはあまり参考にならないレースだったと評された。

[[皐月賞]]への道を絶たれた陣営は、中6週で5月の[[京都新聞杯]]（{{日G2}}、芝2200ｍ）に出走させた。このレースもこれといった中心馬が不在で、1勝馬だが皐月賞6着の[[タガノディアマンテ]]が1番人気（4.1倍）、オープン実績のないロジャーバローズが2番人気（5.2倍）、条件馬で重賞初挑戦の[[オールイズウェル]]が3番人気（5.9倍）、続いて皐月賞11着の[[ブレイキングドーン]]が4番人気（6.4倍）、前走で未勝利戦を勝ったばかりの[[フランクリン]]が5番人気（8.5倍）、牝馬の[[ヒーリングマインド]]が6番人気（9.7倍）と、大混戦となった。これを制したのは、未勝利戦しか勝鞍がない11番人気の[[レッドジェニアル]]だった。ロジャーバローズは前走よりは落ち着いており、平均ペースの逃げをうった。直線で追い込んできた勝ち馬に差されたものの、クビ差の2着でダービー出走権を得た。

この年のクラシック戦線は、僚馬のサートゥルナーリアが無敗で皐月賞を制し、ダービーの前から、同厩舎の菊花賞馬キセキと共に、秋には凱旋門賞に挑戦すると発表した。ロジャーバローズも帯同馬として凱旋門賞に登録した。

====日本ダービー====
5月26日の[[日本ダービー]]は、4戦全勝の皐月賞馬サートゥルナーリア（1番人気・1.6倍）と、接戦の2着だった[[ヴェロックス]]（2番人気・4.3倍）、3着[[ダノンキングリー]]（3番人気・4.7倍）の「３強」による三つ巴の戦いとみられた。「サートゥルナーリア１強」と言う者もいれば、父[[ロードカナロア]]という血統から距離面での不安説を唱える者もいた。サートゥルナーリアに皐月賞で騎乗したルメール騎手が、NHKマイルCで斜行して騎乗停止となり、オーストラリアから短期免許で来日中のダミアン・レーン騎手に乗り替わりとなった。これを不安材料とする者もいたが、レーン騎手が京王杯SC（5/11）、ヴィクトリアマイル（5/12）を連勝すると、そうした声も下火になった。

これらに対し、トライアル組は軒並み低評価だった。かつてロジャーバローズを負かしたアドマイヤジャスタが4番人気だが25.9倍と大きく離され、[[青葉賞]]を逃げ切った[[リオンリオン]]は6番人気・53.2倍、同2着の[[ランフォザローゼス]]が5番人気・33.3倍という有様だった。雹で順延になった[[プリンシパルS]]勝ち馬の[[ザダル]]はレース間隔が短すぎるため出走を断念、京都新聞杯の覇者レッドジェニアルは11番人気・92.9倍だった。ロジャーバローズも単勝支持率0.9％、12番人気の93.1倍と完全に「アウトサイダー」だった。

しかし、ロジャーバローズは京都新聞杯のあとにずいぶん成長していたという。担当を引き継いだ米林昌彦助手によると、親知らずのような「狼歯」が変な位置にあるのをレントゲンで発見し、これを抜いたところ、みるみるうちに体調があがってきたという。以前は調教をすると背中に疲れが溜まりがちだったのが、抜歯後は強いトレーニングを課しても耐えるようになったという。

この日のロジャーバローズは、遠征による入れ込みを警戒してパドックでは2人引きだった。が、以前とは違い、落ち着いていた。一方、大本命のステーブルメイト、サートゥルナーリアのほうがスターティングゲート前で一気に興奮、発馬機内に入ったところで暴れると、ゲートを潜ろうとした。これを制されると今度は立ち上がり、その瞬間にゲートが開いてしまった。サートゥルナーリアは出遅れ、最後方からの競馬となった。

最内枠のロジャーバローズは、対照的に好発するとまずは先頭につけた。まもなく、外枠からリオンリオンが飛ばしてくると先頭を譲り、2番手でスムーズに折り合った。リオンリオンは後続を離し、前半1000ｍ57.8秒のハイペースで逃げた。そこから７～８馬身差、およそ1.3秒離れた２番手となったロジャーバローズは、向こう正面で少し３番手[[サトノルークス]]との差を広げた。３番手集団にはさらに約0.7秒の差で５馬身ほど間隔が空き、ロジャーバローズは実質的に平均ペースで単騎逃げの格好になった。鞍上の浜中騎手は、ストライドが大きく持久力に富むロジャーバローズにとってはハイペースとなるのが有利だと考えており、願った通りの理想的な展開になったという。

前半が早かったぶん、後半はタフなレースになった。縦長の５番手につけていたダノンキングリーが、果敢に４コーナーから前を捕まえにいった。ロジャーバローズの浜中俊騎手は、後続が差を詰めてくるのを待たずに、直線入り口で早めに追い出した。この積極策が好判断だったと評されている。この早めスパートにより、直線は瞬発力勝負ではなく持久力勝負となった。

残り６００メートルの時点で、まだ０秒８のリードを保っていたリオンリオンは直線坂下までこらえたが、残り３５０メートルでロジャーバローズが先頭に立った。ダノンキングリーが外から伸びるも、ロジャーバローズも渋太く二の脚を使った。ゴール寸前ではダノンキングリーが馬体を合わせるところまで迫ったが、内のロジャーバローズがクビ差で凌ぎきった。走破タイムは２分２２秒６、ダービーレコードだった。上がり３Fの走破タイムは３５秒１を要しており、スローペースからの切れ味勝負とは正反対の、タフでスタミナを要求される展開だった。サートゥルナーリアは大外を回って追い込んだが、坂上で失速、ヴェロックス（３着）にかわされ４着に終わっている。

浜中騎手は日本ダービー初優勝となった。ゴールの瞬間は興奮しすぎて勝ったかどうか確信が持てなかったといい、馬上から２着の戸崎騎手にどっちが勝ったか訊ねた。調教師の角居は、大本命サートゥルナーリアが敗れたことにショックを受けていて、勝ったロジャーバローズも自分の管理馬であることを忘れていたという。馬主の猪熊氏にとっては、2009年[[アントニオバローズ]]（のちに予後不良）での3着以来、10年ぶりの挑戦での初優勝。生産者の飛野氏はゴールの手前で観戦しており、最後はダノンキングリーに差されたように見えたという。ゴール前では興奮し、机が壊れるほど叩いたせいで手が痛くなった、と述懐する。飛野牧場にとっては日本ダービー初挑戦での優勝、場長の飛野正昭は生産歴５０年目の快挙だった。単勝支持率0.9％のダービー優勝は、1949年の[[タチカゼ]]に次ぐ歴代2位の番狂わせだった。零細牧場の生産馬によるダービー制覇は、ノーザンファーム生産馬による「春のクラシック完全制覇」を阻止することにもなった。

JRAによるレーティングでは、日本ダービーのロジャーバローズは119ポイント。全日本合同フリーハンデではL部門で120ポイントを与えられ、3歳馬上半期の首位にランクされた。2位には119ポイントでサートゥルナーリア（M部門）・ダノンキングリー（L部門）で並んだ。

====ダービーのあと====

日本ダービーを制したことで、ロジャーバローズは「サートゥルナーリアとキセキの帯同馬」としてではなく、主砲として凱旋門賞を目指すことになった。浜中騎手は、ロジャーバローズは持久力があり、ストライドも大きく、将来性が十分あると期待した。

ロジャーバローズはダービーのあと一旦放牧に出されて、７月に栗東に戻り、秋の凱旋門賞を目指して調教が行われた。しかし８月に入って右前浅屈腱炎と診断された。折しも、直前の７月３０日に父ディープインパクトが他界したばかりで、後継の期待がかかるロジャーバローズは現役引退することが８月６日に発表された。

==種牡馬==
===年譜===
==産駒==
===代表産駒===

===BMS===
==父系==
===父系概略図===
{{ロジャーバローズ系}}
===父系図===
{{父ロジャーバローズ系}}
===父系テンプレート===
*[[Template:ロジャーバローズ系]]
*[[Template:父ロジャーバローズ系]]
*[[ロジャーバローズ系]]

==外部リンク==

==参考文献==



==カテゴリー==
{{DEFAULTSORT:ロジャーバローズ}}
[[Category:日本の競走馬]]
[[Category:2016年生|日]]