Byerley Turkのソースを表示

{{Byerley Turk}}

{{Template:五代血統表ζGBancient
|name = Byerley Turk
|和 = バイアリーターク
|画像 = [[ファイル:Byerley Turk by John Wootton A4.jpg]]
|画像cap = 『金角湾を背に佇むバイアリーターク號』、ジョン・ウットンによる１７３０年頃の作（部分）<br>（“The Byerley Turk with the Golden Horn in the background” by John Wootton , c.1730）
|見出し = 
|異称 = 
{{異称
|題 = GSB
|異称A =Byerly Turk
|異称B =
}}
|種 = [[東洋種]]（[[アハルテケ]]、[[テュルク馬]]、英国産など諸説あり。）
|年 = 1680頃？
|性 = 牡
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|誕 = 1680年頃
|死 = 1706年頃
|国 = 不明　※英国産説あり
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{{代表産駒
|産駒名 = {{BT3|[[Jigg]]}}
|産駒生年 = 1701頃
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{{代表産駒
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|産駒生年 = 1704頃
|産駒性 = 牡
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|産駒勝鞍 = 
}}

}}

==概要==
{| style="width:830px;margin:1em;line-height:2.0em;"
|-
|style="width:510px;vertical-align:top;"|　'''バイアリーターク'''は現代サラブレッドの'''三大父祖の１頭'''で、子孫の'''[[ハイフライヤー]]'''の系統が１８世紀後半からおよそ半世紀にわたり英国競馬界を支配した。ハイフライヤーの子供は強すぎるので、ハイフライヤー産駒だけにハンデを課す規則が制定されたほどだ。

　ハイフライアー系が衰退した１９世紀後半、新大陸では'''[[レキシントン]]'''の系統が栄華を誇った。２０世紀中葉には、フランスで[[クサール]]と'''[[トウルビヨン]]'''が英国を脅かすほどの活躍をした。困った英国競馬界は『<ruby>英国サラブレッド血統書<rt>ジェネラル・スタッド・ブック</rt></ruby>』の規則を変更してトウルビヨンの系統を排除しなければならないほどだった。そして２０世紀後半には、トウルビヨンの子孫である'''[[パーソロン]]'''が日本で一時代を築いた。“皇帝”'''[[シンボリルドルフ]]'''とその嫡子'''[[トウカイテイオー]]'''、３代に渡って天皇盾を拝領した'''[[メジロマックイーン]]'''はバイアリータークの直系子孫だ。

　バイアリータークには伝説的な逸話がいくつか残されている。バイアリー大尉がブダペストの戦いでオスマン・'''トルコ軍から奪い取った'''だとか、バイアリー大尉はバイアリータークの疾さのおかげで戦場から逃げおおせたとか、現役時代に'''競馬に出場して優勝'''したとかだ。

　だが現代の歴史家は、これらの古典的な俗伝のほとんどは、'''おそらく事実ではない'''と考えている。競馬史家たちは、実際にはバイアリータークは英国産で、父馬は[[Place's White Turk]]だったのではないかという。この場合、母馬がなんであったかはともかく、[[テュルク馬]]の血をひいていたということになる。一方、先端的なＤＮＡ研究の手法からは、バイアリータークは中央アジア原産の[[アハルテケ]]だった、という結論が出ている。いずれにしても、いまさら『<ruby>[[英国サラブレッド血統書]]<rt>ジェネラルスタッドブック</rt></ruby>』が書き換わることはないだろう。

|style="font-size:0.5em;line-height:1.8em;vertical-align:top;"|　
|-
|}

==古典的な俗伝==
{| style="width:830px;margin:1em;line-height:2.0em;"
|-
|style="width:510px;vertical-align:top;"|　このページを見に来るような血統史好きであれば、おそらく以下のような伝説を一度は聞いたり読んだりしたことがあるだろう。
|style="font-size:0.5em;line-height:1.8em;vertical-align:top;"|　
|-
|}

===トルコ軍から鹵獲===
{| style="width:830px;margin:1em;line-height:2.0em;"
|-
|style="width:510px;vertical-align:top;font-size:1.6em;"|　「１６８７年、ブダペストの戦いで、バイアリー大尉が、敵であるトルコ軍から、軍馬を奪い取った。それがバイアリータークである。」


|style="font-size:0.5em;line-height:1.8em;vertical-align:top;"|　
|-
|style="vertical-align:top;|　１３世紀に登場したオスマン帝国（オスマン・トルコ）は、数百年かけて帝国領土を拡げてゆき、遂に１６世紀にはヨーロッパを脅かすようになった。オスマン帝国は神聖ローマ帝国域内に侵攻し、ハンガリーを攻め滅ぼして、神聖ローマ帝国の中心・オーストリアの首府であるウィーンに迫った。神聖ローマ帝国はその頃フランスとも戦争をしていて身動きがとれず、オスマン帝国が占領した地域の３分の２の領有を正式に承認するのとひきかえに、どうにか撤退してもらったのだった。その後、ヨーロッパのキリスト教徒たちは、異教徒であるオスマン帝国からハンガリーを取り返すための聖戦を繰り広げた。

　それから１５０年後の１６８３年夏、オスマン帝国は再びヨーロッパ深部へ大遠征を敢行し、１５万の兵力をもって神聖ローマ皇帝の本城であるウィーンを完全に包囲した。これが「第二次ウィーン包囲」だ。ウィーン城に籠城した神聖ローマ帝国軍は、トルコ軍の１０分の１の兵力しかなかったが、どうにか２ヶ月のあいだ持ちこたえた。神聖ローマ皇帝は、キリスト教徒のあいだの争いはいったんおいといて、とにかく助けてくれと全ヨーロッパに支援を求めた。これに応えて、ドイツ諸侯とポーランドの連合軍の援軍がやってきて、９月１２日の夕刻からオスマン帝国軍への総攻撃を開始した。オスマン帝国軍は大敗を喫し、軍をセルビアのベオグラードまで撤退させた。オスマン帝国の<ruby>皇帝<rt>スルタン</rt></ruby>メフメト４世は、総大将のムスタファを処刑した。

　ヨーロッパのキリスト教徒たちは、ローマ教皇インノケンティウス１１世の御名のもと、「<ruby>神聖同盟<rt>ホーリー・リーグ</rt></ruby>」をつくった。教皇がたっぷりと軍資金を放出したので、フランスやイギリス、スペインやイタリア、さらにスウェーデンやデンマークからも援軍がきた。イギリスから派遣されたのは、当時の国王ジェームズ２世の庶子、フィッツジェームズ率いる第６<ruby>近衛竜騎兵隊<rt>ドラグーン</rt></ruby>だった。ロバート・バイアリーはこの部隊で<ruby>中隊長<rt>キャプテン</rt></ruby>を任されていた。

　この新・<ruby>十字軍<rt>クルセイダー</rt></ruby>ともいえるキリスト教神聖同盟軍は、ハンガリー奪還の「聖戦」のため、オーストリアのウィーンからドナウ川に沿って進撃、ハンガリーの旧王都ブダペストを目指した。「ブダペスト」というのは実は不正確である。現代の「ブダペスト」は、ドナウ川の右岸にひろがる都市「ブダ」と、ドナウ川の左岸にひろがる都市「ペスト」が、１８７３年に合併して「ブダ＝ペスト」になったものだ。神聖同盟がオスマン帝国支配下のハンガリーに攻め込んだ１７世紀の時点では、まだ「ブダ」だった。

　神聖同盟軍は１６８４年７月、およそ４万の兵でブダへ押し寄せたが、兵力では半数ほどしかいない守備側のトルコ軍がしのぎきった。神聖同盟軍は兵力の４分の３を失い、１０月の末に撤退した。だがキリスト教徒はあきらめず、２年後の１６８６年６月に再びブダを包囲した。このときの神聖同盟軍の兵力は、７万とも１０万とも言われている。一方、トルコの守備隊はその１０分の１、およそ７，０００の兵しかいなかった。７月にはいると両軍の戦闘がはじまった。８月にはトルコ側の増援が到着したが、兵力の圧倒的な差を覆すことは能わず、９月、遂に神聖同盟軍は、異教徒の手に落ちてから１４３年ぶりに、ブダを奪還した。このときブダに入城したキリスト教徒が、場内に残されたイスラム教徒とユダヤ教徒を虐殺したと伝わる。

　勢いに乗るキリスト教連合軍は、１６８７年、モハーチの戦いでオスマン帝国軍に圧勝し、ハンガリーからトルコを駆逐することに成功した。聖戦は成ったのだ。

　さて、我らがバイアリー<ruby>中隊長<rt>キャプテン</rt></ruby>は、この１６８７年の<ruby>聖戦・ブダの戦い<rt>正義の戦い</rt></ruby>で、異教徒である悪いトルコ軍から、立派なトルコ馬を奪い取った。かっこいい！これが<ruby>バイアリーターク<rt>バイアリー家のトルコ馬</rt></ruby>號だ。ん？年代が合わないって？かっこいい話してるときに細かいことは気にすんな！
|style="font-size:0.5em;line-height:1.8em;vertical-align:top;"|　
{| style="float:right;width:300px;margin:0.5em;padding:5px;font-size:0.9em;;background-color:rgba( 255, 255, 255, 0.25 )"
|-style="background-color:rgba( 140, 188, 255, 0.25 )"
|[[ファイル:Mehmet4.jpg|300px|link=]]
|-
|オスマン帝国皇帝メフメト４世
|-
|　
|-
|-style="background-color:rgba( 140, 188, 255, 0.25 )"
|[[ファイル:Altomonte Battle of Vienna.jpg|300px|link=]]
|-
|1683年、トルコに包囲されたウィーンをキリスト教徒連合軍が救出。これが聖戦である証として、天使が空から導いている。
|-
|　
|-style="background-color:rgba( 140, 188, 255, 0.25 )"
|[[ファイル:Buda1686-a.jpg|300px|link=]]
|-
|1686年、神聖同盟はハンガリーの旧王都ブダを攻略。
|-
|　
|-style="background-color:rgba( 140, 188, 255, 0.25 )"
|[[ファイル:Buda1686-b.jpg|300px|link=]]
|-
|143年間異教徒が支配してきたブダが炎上する。
|-
|　
|-style="background-color:rgba( 140, 188, 255, 0.25 )"
|[[ファイル:Buda1686-c.jpg|300px|link=]]
|-
|キリスト教徒はブダを奪還、異教徒を駆逐した。
|-
|}
|-
|}

===競馬で優勝===
{| style="width:830px;margin:1em;line-height:2.0em;"
|-
|style="width:510px;vertical-align:top;font-size:1.6em;"|　「１６９０年、アイルランドのダウンパトリックの町で開かれた競馬会で、バイアリー大尉がバイアリータークに騎乗して出場し、優勝した。」

|style="font-size:0.5em;line-height:1.8em;vertical-align:top;"|　

|-
|style="vertical-align:top;|　１６８５年、イギリス国王ジェームズ２世は、アイルランドでの競走馬生産を奨励するため、勅許状をだして、アイルランド・ダウン県の馬産家たちがダウンロイヤル社（Down Royal Corporation）を組織することを認めた。彼らはダウンパトリックの町外れで競馬を開催した。

　１６９０年、ダウンパトリック競馬に、ロバート・バイアリー<ruby>中隊長<rt>キャプテン</rt></ruby>がトルコ馬に騎乗して出場した。バイアリーはそのトルコ馬で優勝した。このとき乗っていたのがバイアリータークであった・・・という言い伝えがダウンパトリック競馬場にある。
|style="font-size:0.5em;line-height:1.8em;vertical-align:top;"|　
{| style="float:right;width:300px;margin:0.5em;padding:5px;font-size:0.9em;;background-color:rgba( 255, 255, 255, 0.25 )"
|-style="background-color:rgba( 140, 188, 255, 0.25 )"
|[[ファイル:DownPatrick RC.jpg|300px|link=]]
|-
|現在のダウンパトリック競馬場は障害レース専門。
|-
|　
|-
|}
|-
|}

===戦場で活躍===
{| style="width:830px;margin:1em;line-height:2.0em;"
|-
|style="width:510px;vertical-align:top;font-size:1.6em;"|　「１６９０年、アイルランドのダウンパトリックの町で開かれた競馬会で、バイアリー大尉がバイアリータークに騎乗して出場し、優勝した。」

|style="font-size:0.5em;line-height:1.8em;vertical-align:top;"|　

|-
|style="vertical-align:top;|　１６８５年、イギリス国王ジェームズ２世は、アイルランドでの競走馬生産を奨励するため、勅許状をだして、アイルランド・ダウン県の馬産家たちがダウンロイヤル社（Down Royal Corporation）を組織することを認めた。彼らはダウンパトリックの町外れで競馬を開催した。

　１６９０年、ダウンパトリック競馬に、ロバート・バイアリー<ruby>中隊長<rt>キャプテン</rt></ruby>がトルコ馬に騎乗して出場した。バイアリーはそのトルコ馬で優勝した。このとき乗っていたのがバイアリータークであった・・・という言い伝えがダウンパトリック競馬場にある。
|style="font-size:0.5em;line-height:1.8em;vertical-align:top;"|　
{| style="float:right;width:300px;margin:0.5em;padding:5px;font-size:0.9em;;background-color:rgba( 255, 255, 255, 0.25 )"
|-style="background-color:rgba( 140, 188, 255, 0.25 )"
|[[ファイル:DownPatrick RC.jpg|300px|link=]]
|-
|現在のダウンパトリック競馬場は障害レース専門。
|-
|　
|-
|}
|-
|}

===肖像画を見ると本当はアラブ馬だった===

==１７４３年レーシングカレンダー==
{| style="width:830px;margin:1em;line-height:2.0em;"
|-
|style="width:510px;vertical-align:top;"|　『<ruby>[[英国サラブレッド血統書]]<rt>ジェネラル・スタッド・ブック</rt></ruby>』序刊が[[ウェザビー家]]によって世界で初めて刊行されたのは１７９１年のこと。その第４部には、東洋輸入馬の有名馬の簡単な解説が添えられている。これがサラブレッドの世界の「公式発表」になっている。

　実はこの部分には元ネタがある。およそ７０年前の１７２７年に、ジョン・チェニーという競馬マニアが、毎年の競馬結果を１冊にまとめた本の刊行をはじめた。これが現在の『<ruby>[[英国競馬成績書]]<rt>レーシング・カレンダー</rt></ruby>』の原点だ。ジョン・チェニーは、イギリス中の競馬ファンから定期購読料をもらって、これを毎年１回発行した。

　１７４３年号から、ジョン・チェニーは読者サービスと新規購読開拓のため、『<ruby>英国競馬成績書<rt>レーシング・カレンダー</rt></ruby>』内に有名東洋輸入馬の血統解説コーナーを設けた。１７９１年にウェザビー家が血統書を発行するにあたり、『<ruby>英国サラブレッド血統書<rt>ジェネラル・スタッド・ブック</rt></ruby>』編者はこのチェニーの血統解説コーナーの記述をそっくりそのまま参考にした。以下に『<ruby>[[英国競馬成績書]]<rt>レーシング・カレンダー</rt></ruby>』１７４３年版からバイアリータークに関する情報を抜粋する。これは、<ruby>Bucephalus<rt>ブーケファロス</rt></ruby>号の血統解説をするにあたって、その父<ruby>Robinson Cruso<rt>ロビンソンクルーソー</rt></ruby>の父の[[Jigg]]の父としてバイアリータークに言及している部分。

{| style="margin-left: auto;margin-right: auto;width:400px;padding:1.0em;border:solid 1px #00546b;color:#00546b;" 
|-
| ''Bucephalus'' was bred by Mr.''Aislabie'' himself, and got by ''Robinson Cruso'', Son of ''[[Jigg]]'', Son of the ''Byerley Turk''.

（中略）

the Horse called by Sportsmen the ''Byerley Turk'', which Horse (as observed) was the Great Grandsire of ''Bucephalus'', was in fact an ''Arabian''.<br>

He was Capt ''Byerley''<nowiki>'</nowiki>s Charging Horse in ''Ireland'' in the time of King ''William''<nowiki>'</nowiki>s Wars, and ( as well known ) proved afterwards a very excellent Stallion.
|-
|（訳）ブーケファロス號は、（馬主である）エイズラビー氏自身の生産馬である。父はロビンソンクルーソー號、その父はジグ號、その父はかの[[バイアリーターク]]號である。

（中略）

　かの馬は、競馬ファンによって「バイアリーターク」號と呼ばれており、（ご承知のとおり）ブーケファロス號の曽祖父なのだが、実のところ（[[ターク馬]]ではなく）[[アラビア馬]]であった。

　かの馬は、ウィリアム王の対ジャコバイト戦争の時期に、アイルランドで「バイアリー」<ruby>隊長<rt>キャプテン</rt></ruby>が<ruby>突撃用<rt>チャージング</rt></ruby>馬として騎乗していた。これが、後に（有名な）非常に素晴らしい種牡馬になった。

　　― John Cheny, 『''An Historical List of Horse-matches run, and of Plates and Prizes run for in Great Britain and Ireland in 1743''』
|}
|style="font-size:0.5em;line-height:1.8em;vertical-align:top;"|　
|}

==『英国サラブレッド血統書』に基づく公式情報==
===序刊===
{| style="width:830px;margin:1em;line-height:2.0em;"
|-
|style="width:510px;vertical-align:top;"|　1791年に刊行された『<ruby>[[英国サラブレッド血統書]]<rt>ジェネラル・スタッド・ブック</rt></ruby>』序刊の第４部「[[アラブ馬]]・[[バーブ馬]]・[[ターク馬]]」には次のように書かれている。

{| style="margin-left: auto;margin-right: auto;width:400px;padding:1.0em;border:solid 1px #00546b;color:#00546b;font-style:italic;" 
|-
|BYERLY TURK, was Captain Byerly's charger in Ireland, in King William's wars (1689, &c.)　　He did not cover many bred mares, but was the sire of D. of Kingston's Sprite, who was thought nearly as good as [[Leedes]] ; the D. of Rutland's [[Black Hearty|Black-Hearty]] and Archer, the D. of Devonshire's [[Basto]], Ld Bristol's [[Grasshopper]], and Ld Godolphin's [[Byerly Gelding]], all in good forms ; [[Halloway's Jigg|Halloway's Jig]], a middling horse ; and Knightley's Mare, in a very good form.
|-
|（訳）[[バイアリーターク]]は、1689年頃のウィリアマイト戦争のとき、バイアリー大尉の<ruby>強襲騎馬<rt>チャージャー</rt></ruby>だった。バイアリータークは、競走用に選びぬかれた繁殖牝馬にはそう多く種付けをしなかった。しかし、その中から出た産駒には次のようなものがいる。[[初代キングストン公爵]]の[[Sprite|スプライト]]号、これは[[Leedes|リーデス]]号とほぼ同等の好評価を得た馬である。[[初代ラトランド公爵]]の[[Black Hearty|ブラックハーティ]]号と[[Archer|アーチャー]]号。[[初代デボンシャー公爵]]の[[Basto|バスト]]号。[[初代ブリストル伯爵]]の[[Grasshoppoer|グラスホッパー]]号。[[初代ゴドルフィン伯爵]]の[[Byerly Gelding|バイアリーゲルディング]]号。これらはみな、よい（good forms）馬たちであった。ハロウェー氏の[[Halloway's Jigg|ハロウェーズジグ]]、これはmidlling（中型の？中級の？）馬であった。ナイトレー氏の牝馬、これは大変よい（very good form）馬であった。

　　―『General Stud Book』序刊
|}

　[[ウェザビー家]]では、『<ruby>[[英国サラブレッド血統書]]<rt>ジェネラル・スタッド・ブック</rt></ruby>』の編纂にあたり、確度の高い情報しか載せないという方針をとった。ジョン・チェニーの１７４３年『<ruby>英国競馬成績書<rt>レーシング・カレンダー</rt></ruby>』と比較すると、「実はトルコ馬ではなくアラブ馬だった」という情報が脱落していることがわかる。

　逆に言えば、「アイルランドでバイアリー隊長が<ruby>強襲騎馬<rt>チャージャー</rt></ruby>として乗っていた」という逸話に関しては、信頼できるというわけだ。

|style="font-size:0.5em;line-height:1.8em;vertical-align:top;"|　
|}

===第１巻第５版===
{| style="width:830px;margin:1em;line-height:2.0em;"
|-
|style="width:510px;vertical-align:top;"|　1891年に刊行された『<ruby>[[英国サラブレッド血統書]]<rt>ジェネラル・スタッド・ブック</rt></ruby>』第１巻第５版の第４部「[[アラブ馬]]・[[バーブ馬]]・[[ターク馬]]」には次のように書かれている。

下線部は、序刊と違う部分。（出だしのTheとか、D.という省略形をやめてDukeと表記するような改変は除外。）

{| style="margin-left: auto;margin-right: auto;width:400px;padding:1.0em;border:solid 1px #00546b;color:#00546b;font-style:italic;" 
|-
|The BYERLY TURK, was Captain Byerly's charger in Ireland, in King William's wars (1689, &c.)　　He did not cover many bred mares, but was the sire of <u>[[Jigg]],</u> the Duke of Kingston's Sprite, who was thought nearly as good as [[Leedes]] ; the Duke of Rutland's [[Black Hearty]] and Archer, the Duke of Devonshire's [[Basto]], Lord Bristol's [[Grasshopper]], and Lord Godolphin's [[Byerly Gelding]], all in good forms ; [[Halloway's Jigg]], a middling horse ; and Knightley's mare, in a very good form <u>; and Bowes' Mare</u>.
|-
|（訳）[[バイアリーターク]]は、1689年頃のウィリアマイト戦争のとき、バイアリー大尉の<ruby>強襲騎馬<rt>チャージャー</rt></ruby>だった。バイアリータークは、競走用に選びぬかれた繁殖牝馬にはそう多く種付けをしなかった。しかし、その中から出た産駒には次のようなものがいる。<u>[[Jigg|ジグ]]号、</u>[[初代キングストン公爵]]の[[Sprite|スプライト]]号、これは[[Leedes|リーデス]]号とほぼ同等の好評価を得た馬である。[[初代ラトランド公爵]]の[[Black Hearty|ブラックハーティ]]号と[[Archer|アーチャー]]号。[[初代デボンシャー公爵]]の[[Basto|バスト]]号。[[初代ブリストル伯爵]]の[[Grasshoppoer|グラスホッパー]]号。[[初代ゴドルフィン伯爵]]の[[Byerly Gelding|バイアリーゲルディング]]号。これらはみな、よい（good forms）馬たちであった。ハロウェー氏の[[Halloway's Jigg|ハロウェーズジグ]]、これはmidlling（中型の？中級の？）馬であった。ナイトレー氏の牝馬、これは大変よい（very good form）馬であった。<u>ほかにボーズ家の牝馬がいる。</u>

　　―『General Stud Book』第１巻第５版
|}
|style="font-size:0.5em;line-height:1.8em;vertical-align:top;"|　
|}

===未検証===
{| style="width:830px;margin:1em;line-height:2.0em;"
|-
|style="width:510px;vertical-align:top;"|　1834年にアメリカで刊行された再販版。

{| style="margin-left: auto;margin-right: auto;width:400px;padding:1.0em;border:solid 1px #00546b;color:#00546b;font-style:italic;" 
|-
|The BYERLY TURK was Captain Byerly's charger in Ireland, in King William's wars (1689, &c.)　　He did not cover many bred mares, but was the sire of the Duke of Kingston's Sprite, who was thought nearly as good as Leedes ; the Duke of Rutland's Black Hearty and Archer, the Duke of Devonshire's [[Basto]], Lord Bristol's [[Grasshopper]], and Lord Godolphin's [[Byerly Gelding]], all in good forms ; Halloway's [[Jigg]], a middling horse ; and Knightley's marc, in a very good form.
|-
|（訳）[[バイアリーターク]]は、1689年頃のウィリアマイト戦争のとき、バイアリー大尉の<ruby>強襲騎馬<rt>チャージャー</rt></ruby>だった。バイアリータークは、競走用に選びぬかれた繁殖牝馬にはそう多く種付けをしなかった。しかし、その中から出た産駒には次のようなものがいる。[[初代キングストン公爵]]の[[Sprite|スプライト]]号、これは[[Leedes|リーデス]]号とほぼ同等の好評価を得た馬である。[[初代ラトランド公爵]]の[[Black Hearty|ブラックハーティ]]号と[[Archer|アーチャー]]号。[[初代デボンシャー公爵]]の[[Basto|バスト]]号。[[初代ブリストル伯爵]]の[[Grasshoppoer|グラスホッパー]]号。[[初代ゴドルフィン伯爵]]の[[Byerly Gelding|バイアリーゲルディング]]号。これらはみな、よい（good forms）馬たちであった。ハロウェー氏の[[Jigg|ジグ]]、これはmidlling（中型の？中級の？）馬であった。ナイトレー氏のmarc、これは大変よい（very good form）馬であった。

　　―『General Stud Book』第１巻
|}
|style="font-size:0.5em;line-height:1.8em;vertical-align:top;"|　「ウィリアマイト戦争」とは、1688年の名誉革命で英国王の座から追放されたジェームズ２世が、王位奪還を狙って支持者（ジャコバイト）を集め、1689年にアイルランドで武装蜂起したもの。

　名誉革命が起きる前のイギリス王ジェームズ２世は親フランス派だった。というのも、1640年から1660年にかけて起きた清教徒革命のときに、父親であるチャールズ１世がクロムウェルに殺害され、幼少だったジェームズ２世は兄チャールズ２世とともにフランスの宮廷へ亡命し、そこでおよそ１０年を過ごしたのである。ルイ１４世には恩義があったのだ。だがしかし、フランスはゴリゴリのカトリックなのに対し、イギリス国民はプロテスタントだったので、宗教的には相性がひどく悪かった。

　1660年の王政復古によって兄チャールズ２世が英国王に返り咲いた。歴代の英国王のように、チャールズ２世は個人的信仰とは別に、宗教的に寛容な政策をとった。しかしチャールズ２世は1685年に息を引き取る寸前に、個人としてカトリックの信仰告白を行った。兄チャールズ２世の後をついで即位したジェームズ２世は、カトリックだった。（ジェームズ２世は名誉革命で追放され、英国史上最後のカトリックの王となる。）

　1685年、フランスと神聖ローマ帝国の間で、欧州の覇権をめぐって「大同盟戦争」が起きた。これは、神聖ローマ帝国の皇帝を決める「選帝侯」のうち、ライン川流域（フランス語では「プファルツ地方」、ドイツ語では「ラインラント」）を領土とするプファルツ選帝侯の後継者争いに端を発する。このときフランスは、オランダ（ネーデルラント）の領有権を主張して侵攻した。当時のオランダは、神聖ローマ帝国を構成する大国のひとつ、スペインの領土だったので、神聖ローマ帝国側は皇帝レオポルト１世、スペイン・オランダ・ドイツ諸侯が対フランス戦争をはじめた。イギリス王ジェームズ２世は親フランス派だったので、フランスの方を持った。

　ちょうどその頃、ヨーロッパの東側では、オスマン帝国が勢力を強め、ハンガリーを攻め、トランシルヴァニアを征服し、神聖ローマ帝国の中心部とも言えるオーストリアを脅かしていた。フランス王ルイ１４世は、敵対する神聖ローマ帝国を挟撃するために、異教徒であるオスマン帝国と手を組んだ。だがそれが逆にイギリス国内のキリスト教徒の逆鱗に触れた！

　イギリスの大半を占めるプロテスタント勢力は、名誉革命を起こしてジェームズ２世を国外追放した。そして、ジェームズ２世の実妹、メアリ２世を女王として即位させた。このときメアリ２世の夫、オランダ出身のウィレム３世（ウィリアム３世）も、共同統治王として認められた。新英国王のウィリアム３世は、祖国オランダを救うべく、フランスに宣戦布告した。

　一方、追放されたジェームズ２世も黙ってはいなかった。彼はフランス王から兵を借り、名誉革命の２日後から王位奪還のため武力闘争をはじめた。「ジェームズ」をラテン風にいうと「Jacobus」になるので、ジェームズ２世派のことを「Jacobite」（ジャコバイト）と呼ぶようになった。ジェームズ２世率いるジャコバイト軍はまず、1689年3月にアイルランドに上陸した。というのも、アイルランドにはジェームズ２世派が多かったのである。ジャコバイト軍はアイルランドを席巻、これを討伐するためウィリアム３世はイングランドから派兵したが、疫病の影響もあって撤退を余儀なくされた。

　翌1690年6月、ウィリアム３世は自ら軍を率いてアイルランドへ進撃した。そして７月１２日（グレゴリオ暦）、アイルランドのダブリンから50キロほど北を流れるボイン川のほとりで、ジェームズ２世のジャコバイト軍２万５０００と、ウィリアム３世のイングランド軍３万６０００のあいだで合戦になった。この戦いは、川の徒渉が勝敗を分けた。数で劣るジャコバイト軍は川を挟んで対峙する戦術をとったが、イングランド軍は川を渡れる浅瀬があることに気づき、密かに一隊を差し向け、川を渡ってジャコバイト軍の裏へ回らせた。干潮の時間になって両軍が対峙する川が渡れるようになると、イングランド軍は正面から川を渡って攻め込みつつ、あらかじめ裏に回らせていた別働隊とともにジャコバイト軍を挟撃した。ジャコバイト軍は潰走し、ジェームズ２世はフランスへ逃げ帰った。

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|style="vertical-align:top;"|　「バイアリー」は『<ruby>英国サラブレッド血統書<rt>ジェネラル・スタッド・ブック</rt></ruby>』では「Byerly」と綴られている。実在するバイアリー家の綴りは「Byerl<u>e</u>y」で、語尾の「ｌ」と「ｙ」のあいだに「ｅ」がはいる。このため、『<ruby>英国サラブレッド血統書<rt>ジェネラル・スタッド・ブック</rt></ruby>』の表記を誤記として扱い、「Byerley Turk」と綴るのが「正しい」というのが一般的。（「Byerly」が正しいとすると、これは「バイアリ」的なカタカナ表記にするのが妥当かもしれない。）

　ところで、読めば分かる通り『<ruby>英国サラブレッド血統書<rt>ジェネラル・スタッド・ブック</rt></ruby>』では、バイアリータークの出自については一切述べていない。単に「ウィリアマイト戦争のとき」「バイアリー大尉の<ruby>強襲騎馬<rt>チャージャー</rt></ruby>だった」と記すのみだ。

　バイアリータークは1680年頃に生まれて1707年頃まで生きていたとされているから、『ジェネラル・スタッド・ブック』の編纂時期にはすでに100年近くが経過していたことは留意すべきだろう。


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===ボイン川の戦い===
{| style="width:830px;margin:1em;line-height:2.0em;"
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|style="width:510px;vertical-align:top;"|　『<ruby>英国サラブレッド血統書<rt>ジェネラル・スタッド・ブック</rt></ruby>』に出てくる「ウィリアマイト戦争」は、英語では「Williamite War in Ireland」などという。つまりこれはアイルランドで行われた戦争なのだ。戦争の当事者は、1688年の名誉革命で追放されたイングランド前国王ジェームズ２世・<ruby>ジェームズ２世軍<rt>ジャコバイト</rt></ruby>と、新国王ウィリアム３世の<ruby>ウィリアム３世軍<rt>ウィリアマイト</rt></ruby>である。そして1690年7月、アイルランドの「ボイン川の戦い」でウィリアム３世側が勝利した。この戦いにバイアリータークに乗ったバイアリー大尉も参加していたという。

　前王ジェームズ２世は、カトリックで、親フランス派だった。当時フランスは、オランダの支配権を巡って神聖ローマ帝国と戦争中で、異教徒のオスマン帝国と同盟して神聖ローマ帝国を東西から攻撃した。イギリス国内のキリスト教徒（プロテスタント）はこれに激怒し、カトリック・親フランス派のジェームズ２世を追放した。そして、親オランダ派でプロテスタントのウィリアム３世を新イングランド王にした。これが名誉革命だ。

　そのわずか２日後に、ジェームズ２世はフランス王から兵を借りて、王位奪還の戦争をはじめた。「ジェームズ（James）」をラテン語風に書き表すと「ヤコブ（<ruby>Jacobus<rt>ジェイコブ</rt></ruby>）」になるので、ジェームズ２世派のことを「ジャコバイト（Jacobite）」と呼ぶ。スコットランドとアイルランドはジャコバイトが多数を占めた。スコットランドはジェームズ王のスチュワート家の出身地だし、古くからのカトリックの聖地アイルランドは、プロテスタントの狂人・独裁者クロムウェルの時代に不当に武力征服されていた。ジェームズ２世率いるジャコバイト軍は1689年にアイルランドに上陸、熱狂的歓迎を受けた。

　1690年、新イングランド王ウィリアム３世は、自ら3万6000の兵を率いてアイルランドに出撃した。オランダ海軍も呼び寄せ、イングランド・オランダ連合海軍でジャコバイトの粉砕を目論んだが、７月１０日のビーチーヘッド海戦で逆にフランス艦隊に粉砕されてしまった。海からの支援を期待できなくなったウィリアム３世は、陸路で北からダブリンを目指して南下した。そして７月１２日にダブリンの北50kmほどを流れるボイン川を挟んで、ダブリンを守る2万5000のジャコバイト軍と対峙した。

　数で劣るジェームズ２世は、ボイン川を渡ってくるウィリアム３世軍を川岸で迎え撃つ作戦だった。しかしウィリアム３世は、川の上流の浅瀬に騎馬隊が渡れる場所があるのを発見し、密かに一隊を差し向けた。午前１０時１５分、干潮の時間が来ると、ウィリアム３世軍の本体は川を渡って正面から攻撃を仕掛け、あらかじめ上流を渡らせておいた別働隊とともに、ジャコバイト軍を挟撃した。ジャコバイト軍は潰走し、ジェームズ２世はフランスへ逃げ帰った。

　以来、７月１２日は、オランジェ公だったウィリアム３世にちなみ、<ruby>オレンジ党<rt>オレンジメン</rt></ruby>の祭日になっていて、今でも北アイルランドでは毎年盛大な祝賀行事が催される。（ちなみに、ボイン川の会戦があった当時はユリウス暦を使っていたので、当時の日付では７月１日ということになる。）

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{| style="float:right;width:300px;margin:0.5em 0em 0.5em 0.5em;padding:5px;font-size:0.9em;;background-color:rgba( 255, 255, 255, 0.25 )"
|-style="background-color:rgba( 140, 188, 255, 0.25 )"
|[[ファイル:Jan van Huchtenburg - De slag aan de Boyne.jpg|300px|link=]]
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|ボイン川の戦い
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===「チャージャー」強襲突撃用の戦騎馬===
{| style="width:830px;margin:1em;line-height:2.0em;"
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|style="width:510px;vertical-align:top;"|　『<ruby>英国サラブレッド血統書<rt>ジェネラル・スタッド・ブック</rt></ruby>』が伝えるのは、バイアリータークはこのボイン川の戦いで、バイアリー<ruby>中隊長<rt>キャプテン</rt></ruby>が騎乗していた<ruby>強襲騎馬<rt>チャージャー</rt></ruby>だった、ということだけだ。

「キャプテン」は、英国陸軍については「大尉」と訳すのが定番だ。だけどそれは、少尉・中尉・大尉・少佐・中佐・大佐・・・という現代の制式化された国軍の士官の階級を表す用語で、１８世紀の武装勢力に適用するのはちょっと違うんじゃないかなーと思うのだ。（もっというと、この「大尉」とかの和語は、元はと言えば古代律令制のなかで置かれた役職の名称で、明治時代になって西洋風の軍隊大系を整備するときに、この語を借用したものだ。）

チャージャーを「強襲騎馬」と意訳するのはこのサイトだけの独自の造語なので深く気にしないでほしい。ようするに、中隊長が部隊を率いて馬にのって敵陣へ<ruby>突撃強襲<rt>チャージ</rt></ruby>するときに乗るための軍馬、ということだ。単に「軍馬」だと、大砲を牽引したり、弓騎兵が乗るのも「軍馬」になってしまうので、あえて「突撃用の目的の戦騎馬」という意味で「強襲騎馬」とした。

映画『グラディエイター』の冒頭シーンとか、『ロード・オブ・ザ・リング　二つの塔』の角笛城の合戦のクライマックスシーンとか、まあそういうのを想像してほしいのだが、要するに、合戦の勝敗の決定機に、抜刀した指揮官が部隊の先頭に立って「<ruby>とつげーーーき！<rt>チャーーージ！</rt></ruby>」と叫びながら敵の陣地に吶喊し、乗っている馬の体ごと敵兵に体当りするような戦術をとるときのアレだ。中世の、鉄鎧で全身をかためた重たい騎士を乗せる鈍重な大型馬ではない。

１８世紀初頭には、まだ飛び道具の有効射程距離はせいぜい数百ヤードだったし、一発撃ったら次発を装填して発射するのには時間を要したから、チャージャーに求められる資質は、それほど重武装ではない騎馬兵士を載せて、その距離を一息で駆け抜けるのに必要な馬力とそれ相応の速力、そして敵に体当たりしても負けない馬格と勇敢さといったものだった。バイアリータークはそれらの点で秀でていたということだ。
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==Prior==

===バイアリー氏の経歴===
*父はColonel Anthony Byerley of Middridge Grange, Darham
*チャールズ1世の忠実な下僕であり、「Byerley's Bulldog」（バイアリーの闘犬部隊）と呼ばれる部隊を率いていた。

*1654年に記されたJonas CudworthがColonel Worsleyにあてた書簡

:*※[[:en:Charles Worsley]] 1622-1656
::*クロムウェルの将軍で、1654年には軍政監になった
::*By 1650 he was lieutenant colonel of regiment raised in Lancashire for Cromwell. 
::*In 1651 he was employed in the reduction of the Isle of Man.

*State Papers, 1655: March (1 of 8)　Pages 185-195
Mr. Jonas Cudworth to col. Charles Worseley.
Vol. xxiv. p. 49.

Deare Sir,
親愛なる閣下


My enemies (though satisfied I am none of the commonwealth's or protector's enemie) cease not to persecute mee with violence soe farr as they have power. 

私の敵は（私は共和国と護国卿の敵ではないことに満足しています）、彼らが力を持っている限り、私に対して暴力による迫害をやめることはありません。

They incensed col. Howard against mee, to whome I have given satisfaction, and hee perceives their villany. 

彼らはカーネルHowardを激怒させました。私に対して。私は彼らに満足していたのに。そして彼は奴らを悪党と認識しました。

Upon a strict examin I beleeve both Dawson and Bonner will appeare to have declared themselves unsatisfied with this government; 

厳密な検査により、私は次のように信じます。DawsonとBonnerは、彼らが政府に不満足であると宣言したようです。


and cannott make appeare any thinge acted by them for establishment of the same, further then led by perticular revenge. 

そして彼らは反抗するようです。


I have since enquired further concerninge what I writt of in my last, and it is evident, 

私はさらに尋ねました。何を最後に書いたかを。それは明らかになりました。

that major Birridge, whoe was major to the earle of Newcastle, brought divers comissions from the kinge of Scotts to severall gentlemen in the contry, 

ニューカッスル伯爵（チャールズ1世の忠臣）のもとでmajor（中佐）を務めていたバーリッジ（Birridge）は、スコットランド王から命令を預かり、この国の何人かの郷紳に命令を伝えました。



and was entertained 20 dayes at Seaton Dellavella, neer Tynmouth, the gentleman of the place professeinge himselfe a frende, but generaly reported otherwise. 

タインマウス（Tynmouth）近くのシートン・デラヴァル（Seaton Dellavella）で20日間楽しんで、在地の郷紳は仲間だと公言したそうです。（その土地の連中は仲間ではない、と報告されていますが。）



Hee married Lisle his daughter. 

彼はライルの娘と結婚しています。

I heare alsoe amongst our gentry, that one mr. Byareley, a rich gentleman his father is reputed to bee, hath disbursed 200 l. for horses, and hee with some others should have mett the lord Willoby at Yorke with 500 horse.

また、私は次のような話も聞きました。バイアリー（Byareley）なる郷紳が（その郷紳の父親は馬に200ポンドも支払ったことで有名です）、何人かの仲間と連れ立って、Willoby卿にヨークで面会したそうです。そのとき500頭の馬を連れていたとか。


Willoby was to bee lieutenant generall, as is reported in private, to sir Thomas. 

ウィロビーは中将になるはずです。トマス卿に私が個人的に報告しましたとおり。


'Tis reported, they are prevented for the present. 

報告しましたとおり、彼らは現在に至るまで、妨げられています。

I have received 2 or 3 lines from mr. Witte, but nothinge of your businesse. 

私はホワイト氏から2、3通の連絡を受けましたが、あなたが興味を持ちそうな話はありません。

I should rejoice to bee able to serve you in any thinge ;

なにはともあれ、私はあなたに仕えることができることを喜ぶべきでしょうね。

for mr. Dawson boastes you gott a sownd check for contenanceinge mee against him; 

ドーソン氏は自慢していましたよ、あなたが、彼に背いた私を拘束せよという約束手形を受け取ったということを。

which if true, my lord protector was greatly misinformed, since I came to Stella, hee hath done sufficient to cast him out of custome house, if any thing could take hould of him; 

それがもし本当なら、我が護国卿は大きな嘘報告を受けたということになります、私がステラに到着してからというもの、彼は十分にやった、カスタムハウスからそとへ、もしも彼に何かが可能であったなら。


which I am now out of hopes on, as well as destroy'd from all practice to live, and purely for doeinge good service.

私はいまや望みから見放され、生きるためのあらゆる試みから滅ぼされ、純粋に、よく努めようとしています


God in his mercie direct mee what course to take, and more frendes to be coajutant to mee in this my sad condition.

私のこの悲しい状況でも、神のその慈悲は、私を導くでしょう、多くの友人（私を補佐してくれる）

Sir, I have not els to offer to your consideration, but conclud with the acknowlegement of my self to bee
Stella, neere Newcastle,

閣下、私の新しい知見をもとに、どうかもっとよくお考えいただきますよう申し上げます、ニューカッスル近くのステラより。

March 2, 1654.

1654.03.02

===ウィロビー卿とは===
[[:en:w:Francis Willoughby, 5th Baron Willoughby of Parham]]

パーラムのウィロビー男爵５世フランシス・ウィロビー。議会派。

パーラムは、サフォーク州Parham

チャールズ１世が１６４２年に軍を召集したときに、応集を拒否。議会軍のエセックス伯のもとで騎馬隊の<ruby>最高指揮官<rt>コマンダーインチーフ</rt></ruby>を務める。

1643年にクロムウェルとマンチェスター伯の軍に組み込まれ、そこでは彼らの部下として隊長をつとめた。

ところが1644年頃から議会軍との関係にほころびが見え始める。1644年3月、スコットランド貴族のJohn Meldrumとともにノッティンガム州ニューアーク（Newark)攻略を命じられるのだが、ウィロビーは、メルドラムの命令されたくないと拒んだ。ウィロビーとマンチェスター伯との間で言い争いになり、最終的に、ウィロビーは貴族院での謝罪を強要された。クロムウェルも、ウィロビーの兵について不平をこぼしたという。

翌年、ウィロビーは議会派の長老派教会軍を率いることになる。これはクロムウェルのニューモデル軍創設に反対しての行動で、ウィロビーは1647年7月には貴族院議長に選出された。

ところがこれがクロムウェルを怒らせ、1647年9月にニューモデル軍がロンドン入城を果たすと、クロムウェルはウィロビーを逮捕投獄させた。ウィロビーはロンドンを脱出、オランダに渡り、以後は王党派に加わった。

王党派のヨーク公のもとで、ウィロビーはVice Admiral （中将）という破格の待遇をうける。これは、スコットランドの王党派と、長老派教会とを仲良くさせるための措置であった。1648年には王太子ウェールズ公が指揮するイングランド侵攻に加わり、隊長に任命された。

議会はウィロビーの資産を没収した。

そこで、チャールズ2世は、ウィロビーをカリブ海の植民地バルバドス総督に任命した。ウィロビーはバルバドスに渡り、植民地経営にあたった。

1651年、議会派が送った海軍がバルバドスにやってきて、島の明け渡しを要求した。しかしウィロビーは、英国の最高権威は王であるとしてこれを拒絶、徹底抗戦の構えをとった。議会軍側は攻めあぐねているうちに雨季になった。が、本国で王党派が絶望的な状況になっていることを知り、ウィロビーは降伏を受諾した。その結果、ウィロビーはバルバドス知事として認められ、またイギリス本国のウィロビーの領地は回復されることになった。ウィロビーは本国に戻った。

その後、護国卿時代には、王政復古計画に加担したとして２回投獄された。１６６０年に王政復古が実現すると、再びカリブ海の知事に任命された。

==TH==
バイアリータークの逸話は、1688年のハンガリーでのブダペスト包囲からはじまる。（※正確には、「ブダペスト」はドナウ川西岸の「ブダ」と、東岸の「ペスト」から成り、両者が合併して「ブダペスト」になったのは1873年。つまり。1688年に包囲されたのは「ブダ」だけ。）

オランジェ公ウィリアム３世英国王の王室第６竜騎兵連隊のロバート・バイアリー大尉（隊長）が、オスマン帝国軍の士官から、黒い毛色の（正確には{{br}}）駿馬を奪い取った。

The story of the Byerley Turk begins at the seige of Buda in Hungary in 1688, when a fine brown charger was taken from a captured Turkish officer by Captain Robert Byerley of the Sixth Dragoon Guards under King William III of Orange. 

この馬は、８歳ぐらいだったと信じられており、そこから逆算すると、１６７９年生まれということになる。

The horse was believed to be about eight years old at the time, placing his year of birth at around 1679. 


この馬は、1689年にウィリアム王戦争が勃発して、バイアリー大尉がアイルランドに赴くにあたり、軍馬として使役された。

The stallion served as Byerley's war horse when he was dispatched to Ireland in 1689 during King William's War. 

1690年、北アイルランドのダウン・ロイヤル（Down Royal）で、春に公衆競馬大会が開催された。その賞品は銀の鈴だった。このとき勝ったのはバイアリー大尉の<ruby>戦騎馬<rt>チャージャー</rt></ruby>だった。

In 1690, public records show a race meeting was held in the spring at Down Royal in Northern Ireland, at which the top prize, the Silver Bell, was won by Captain Byerley's charger. 

同じ年のあとの時期に、1690年7月12日、（北アイルランドの）ボイン川の戦いで、この馬は使われた。この戦いは、ジェームズ２世の軍勢との戦いだった。（この馬の経歴は、[[リスターターク]]と瓜二つである。リスタータークも、ブダペスト包囲戦で鹵獲され、アイルランドに連れて行かれて、ボイン川の戦いに参加している。）

※ボイン川の戦いは、名誉革命で追放されたジェームズ２世のジャコバイト軍と、ウィリアム３世のウィリアマイト軍の戦い。

Later that same year, the stallion was used during the Battle of the Boyne, July 12, 1690, versus the forces of King James II. [His biography up to this point closely parallels that of the Lister Turk, also captured at the seige of Buda and taken to Ireland to serve in the Battle of the Boyne.]


バイアリータークは、はじめはダラム州のミドリッジ・グランジ（Middridge Grange）の家族の牧場で種馬になった。その後、ヨーク州ネアズボロー（Knaresborough）近くのバイアリー大尉のゴールズボロ<ruby>館<rt>ホール</rt></ruby>に繋養された。

The Byerley Turk first entered stud in England, at the family seat at Middridge Grange, County Durham and later stood at Byerley's Goldsborough Hall, near Knaresborough, in Yorkshire. 


この間、バイアリータークはほんの少しの「bred」牝馬にしか種付けされなかったといわれていて、それで注目すべき以上の成果をだした。

It is said that he covered few "bred" mares during either period of his stud career, which makes the results even more remarkable. 

おそくとも１７０１年まで、種牡馬として知られていた。この年に種付けした中から、1702年生まれの[[Basto]]がでた。

He was known to be at stud as late as 1701, the year he sired Basto (foaled in 1702). 

バイアリータークは、ゴールズボロの敷地のいずこかに埋葬されたと考えることが可能だ。

It's possible that his remains are buried somewhere on the Goldsborough estate.


ロバート・バイアリーは、1660年生まれ。父は、チャールズ１世時代の王室騎兵隊の士官で、ミッドリッジ・グランジのアンソニー・バイアリー（大佐／連隊長）（Col. Anthony Byerley）。父の部隊は「バイアリー・ブルドッグ隊／バイアリー闘犬隊」（Byerley's Bulldogs）として知られていた。

Robert Byerley was born in 1660, a son of Col. Anthony Byerley of Middridge Grange, a cavalry officer under Charles I, his unit known as "Byerley's Bulldogs." 

ロバート・バイアリーは、大尉（隊長、キャプテン）を経て、1688年に大佐（連隊長、カーネル）に昇格した。

Robert Byerley rose through the ranks to Captain and was made Colonel in 1688. 

ロバート・バイアリーは、第４代ワートン男爵（Philip Wharton, 4th Baron Wharton）の甥姪の娘（grandniece）、メアリー（Mary)と結婚した。ワートン男爵は、当時、馬産家として有名であった。

He married Mary, a grandniece of Philip (4th) Lord Wharton, also a prominent horse breeder of the time. 


ロバート・バイアリーはのちにミッドリッジ・グランジを退きゴールズボロ館に移り、そこで1714年5月に没した。亡骸はゴールズボロに葬られた。

Byerley later removed from Middridge Grange to Goldsborough Hall, and died in May 1714, to be buried at Goldsborough. 

エリザベス・バイアリーが死去すると、ゴールズボロの敷地は、売りに出され、ラッセルズ家（Lascelles）が1766年頃に購入した。

The Goldsborough estate was sold to the Lascelles family around 1766, upon the death of Elizabeth Byerley.

ウットンが描いたバイアリータークの肖像画によると、バイアリータークには馬斑がなく、暗い黒い毛色（dark brown）で、明らかにアラビア馬の特徴を示している。「○○ターク」という名前なのに。

As his portrait by Wootton shows, the Byerley Turk was a unmarked, dark brown horse with a decidedly Arabian appearance, despite his title as a "Turk". 

バイアイータークは、とても有力で、その産駒の多くは、父のようにbrownかblackだったと伝わる。（黒毛）

He was very prepotent, and many of his offspring are noted to have been brown or black like himself.

===TH　子===
バイアリーターク産駒のうち、競走成績が最も秀でていたのは[[Basto]]である。{{dkb}}の牡馬で、生産者はsir William Ramsden。この人物は、１号族の祖である「Byerley Turk mare」の生産者でもある。


The most important racing son of the Byerley Turk was Basto, a dark bay colt bred by Sir William Ramsden, whose also bred the famous Byerley Turk mare, founder of family #1. 

バストは非常に優れた種牡馬となり、のちにデボンシャー公爵に売却された。デボンシャー公爵は1723年に没するまで、ダービー州チャッツワース（Chatcworth）でバストを所有した。

Basto was a very good stallion and was later sold to the Duke of Devonshire, in whose ownership he died in 1723, at Chatsworth in Derbyshire. 

ウットンによるバストの肖像画をみると、ほとんど黒色で、白斑はない。父のバイアリータークのようである。

Wootton's portrait of Basto shows a nearly black horse with no white markings, similar in appearance to his own sire. 

バストは[[Soreheels]]をだし、また重要な[[sister to Soreheels]]（[[Snip]]などの母）や、5号族の祖[[Old Ebony]]、[[Brown Betty]]、[[Old Coquette]]、そして[[sister to Coquette]]などをだしたことがGSBに記載されている。

Basto sired Soreheels and the important sister to Soreheels (dam of Snip, Blacklegs, etc.), the foundation mare Old Ebony (family #5), Brown Betty, Old Coquette, and a sister to Coquette among his several progeny in the GSB.

しかしバイアリータークの子のうち、もっとも影響力を残した牡馬は[[Jigg]]である。GSBでは「middling」と評されているこの牡馬は、産駒の[[Partner]]が6歳になって競馬場で大活躍するようになる前までは、リンカーン州を巡回して田舎の牝馬（country mare）への種付けに供用されていた。


But the Byerley Turk's most influential son was Jigg, which the General Stud Book describes as a "middling" horse who was covering country mares on a travelling basis in Lincolnshire until his son Partner began to sweep all before him as a six-year-old. 


Partner, "a capital horse", was a tremendous runner and extremely influential sire, although it's Partner's son Tartar, actually one of his lesser efforts, that carries the sireline into the future. Tartar sired Herod.

Jigg's other progeny included Shock, Saucebox, and Robinson Crusoe (sire of Bucephalus), in addition to the dams of Coneyskins (an important early sire), Heneage's Whitenose, Heneage's Jigg, Bolton Patriot, Whimsey, and Brisk.

The Byerley Turk also sired Bristol's (or Mostyn's) Grasshopper, sire of Golden Locks, Look-at-me-Lads, the dam of Gentleman, and her sister. Another son, the Duke of Rutland's Black Hearty sired the great racemare Bonny Black, considered the best runner of her age. Other good runners by the Byerley Turk include Sprite, Archer, Lord Godolphin's Byerley Gelding, Halloway's Jigg and Knightley's Mare.

Byerley Turk mares became jewels of great price. Two of his daughters have been determined to be taproot mares for the breed. First was the daughter of the Taffolet Barb mare (three generations descended from Tregonwell's Natural Barb Mare, family #1).

Another Byerley Turk daughter known as "Dam of the Two True Blues" was designated founder of family #3. She was bred by Mr. Bowes of Streatleam, Co. Durham, a stud only ten miles from Middridge Grange, and so was foaled in the early part of the Byerley Turk's career. This mare's dam was unknown, and it has been speculated that these two daughters of the Byerley Turk are one and the same, but this can't be proven.

Other mares sired by the Byerley Turk include the only daughter of the mare by Bustler, founder of family #8, and the only daughter of another mare by Bustler, founder of family #35. He also sired the dams of Bulle Rock (allegedly the first "bred" stallion imported into Virginia), Smales' Childers, Fortune (also imported into the U.S.), the Farmer Mare, and The Wharton Mare.

--Anne Peters

==BL==
Byerley Turk bbr c 1680c. Sire Line Byerley Turk.

Described as a fiery Arabian stallion, a horse of elegance, courage and speed, he was the earliest of three Oriental stallions who between them would become the progenitors of every living thoroughbred. 

「燃えるようなアラビア種の種馬で、エレガントで、勇敢で、スピードがあった」「現在のサラブレッドにつながる3大父祖の東洋種の1頭」とされる。

The Byerley Turk was the great great grandsire of King Herod (b c 1758), the Darley Arabian the great great grandsire of Eclipse (ch c 1764) and the Godolphin Arabian the grandsire of Matchem (b c 1748).

バイアリータークは、[[Herod]]の高祖父（４代父）で、エクリプスのダーレーアラビアン、マッチエムのゴドルフィンアラビアンと並ぶ。

His name is recorded in the General Stud Book as the Byerly Turk, however, the correct spelling is Byerley Turk, after the name of his owner, Colonel Robert Byerley (1660-1714).

GSBでは彼の名は「Byerly Turk」と記録されているが、正しい綴りは「Byerley Turk」である。これは彼の所有者であるロバート・バイアリー大佐（Colonel Robert Byerley (1660-1714)）に由来する。


There is considerable speculation about the origin of the Byerley Turk, however, there is no evidence to support either his importation or the notion that he was foaled in England.

次のような、バイアリータークの出自についてのホントっぽい推測がある。ただし、バイアリータークの輸入を裏付ける証拠も、バイアリータークが英国産であるという証拠も、ない。



C M Prior speculates that his origin was probably similar to that of the Lister Turk. 

C.M.Priorは、以下のように、バイアリータークの出自はおそらく[[Lister Turk]]と同じであろうと推測した。

"The Lister Turk was brought to England about 1687, by the young Duke of Berwick, who had joined Charles of Lorraine's forces in wresting Buda from the invaders. It is quite probable that the Byerley Turk came from the same seige, as his owner was at that date a free lance as regards the army, being only the Captain of a small irreguluar force of his own raising in the North, which was not incorporated with the Sixth Dragoon Guards (the Carabiniers) till 1688" [Royal Studs:83].

「リスタータークは、1687年頃にイギリスに持ち込まれた。連れてきたのは、若いバーウィック公（young Duke of Berwick）。この人物は、ロレーヌ公シャルル（Charles of Lorraine）の軍に合流した人である。この軍は、ブダ（ブダペスト）侵攻から守るための軍。次のことは、かなり確からしい。バイアリータークは、同じ包囲戦で得られた。当時のその所有者は、軍の傭兵だった。その部隊は、北方で組織された不正規部隊だっただろう。つまり、1688年までに第6竜騎兵隊に加わっていたのではない。」（Royal Studs p.83）


While both the General Stud Book and Roger Upton state that the Lister Turk was captured at the seige of Buda, neither mention that place in the history of the Byerley Turk [GSB 1:389, Newmarket and Arabia]. 

『GSB』とロジャー・アップトン（Roger Upton）の両方が次のように述べている。リスタータークはブダ包囲戦のときに鹵獲された。そしてどちらも、バイアリータークの場所については触れていない。


Others have suggested that the Byerley Turk was captured at the seige of Vienna in 1683. 

別のものは、バイアリータークは1683年のウィーン包囲戦のときに鹵獲されたと示唆する。

The eminent Swedish authority, C G Wrangel, stated that "three turkish stallions were captured at the siege of Vienna, among those the Byerly Turk" [Handbok for hastvanner:34]. 

スウェーデンの有名な権威、C G Wrangelは、「ヴィエナ包囲戦のときに3頭のトルコ馬が鹵獲された。その中にバイアリータークがいる」と述べた。（『Handbok for hastvanner』p34）


In such a case, the Byerley Turk may well have been one of the three horses, the "browne," that so captivated John Evelyn that he wrote of them in his Diary. 

この場合、バイアリータークはその3頭のうち、「the browne」（黒毛のやつ）であろう。これはJohn Evelynが鹵獲した馬で、彼は日記にそう記している。

「

"They trotted like does as if they did not feel the ground. 

それらの馬は、まるで地面を感じていないかのようにトロット（速歩）した。

Five hundred guineas was demanded for the first ; three hundred for the second and two hundred for the third, which was browne. 

1頭目には500ギニーの値を要求した。2頭目は300ギニー、3頭目には200ギニー。この3頭目が「browne」。


All of them were choicely shaped but the last two not altogether so perfect as the first. 

これら3頭はみな、選びぬかれた姿形をしていたが、後半２頭は、１頭目ほどはパーフェクトではなかった。


It was judged by the spectators among whom was the King, the Prince of Denmark, Duke of Yorke and several of the Court, noble persons skill'd in horses, especially M. Faubert and his sonn (provost master of the Academie and esteemed of the best in Europe) that there were never seene any horses in these parts to be compare'd with them" 

判断したのは、ほかの誰でもない、王、デンマーク王太子、ヨーク公、それに数名の宮廷の人、馬に長けた高貴な人、とくに、M.Faubertとその息子（アカデミーの長であり、ヨーロッパの中では最も尊敬されている）であり、彼らは、これほどの馬を今まで見たことがないといった。


」ジョン・イヴリンの日記、1684年12月17日の条

[Diary of John Evelyn, 17th December, 1684].



Without revealing the origin of the horse, all the early versions of the General Stud Book specifically note that both man and horse were in Ireland: "BYERLY TURK, was Captain Byerly's charger in Ireland, in King William's wars (1689, &c.)" [GSB 1:389]. 

出自の問題はさておき、GSBの初期版すべては、バイアリー大尉もバイアリータークも、アイルランドにいたと伝える。「BYERLY TURK, was Captain Byerly's charger in Ireland, in King William's wars」


His presence in Ireland is further alluded to by the Down Royal Corporation of Horse Breeders, (created by King James II in a Royal Charter of 1685), Ireland, who state that the Byerley Turk raced at Downpatrick on his way to the Battle of the Boyne in 1690.

バイアリータークがアイルランドにいたという情報は、さらに別の情報からもほのめかされている。ジェームズ2世が1685年に勅許状を出して設立された、アイルランドの馬の生産者のダウンロイヤル社（Down Royal Corporation ）は、1690年のボインの戦いに赴く途上、バイアリータークはダウンパトリック（Downpatrick）でレースをしたと述べている。


Mr Prior further notes that the military records of the recently promoted Lieutenant Colonel Byerley show that he "served with distinction in Ireland, and having taken with him the Turk who bears his name, rode him as a charger in the campaign of 1689-90. 

Prior氏の研究によると、軍務記録で、バイアリー中佐（Lieutenant Colonel Byerley）は、アイルランドにおける奉仕の栄達があり、昇格したようだ。その奉仕では、トルコ馬に自分の名前を冠した。その馬に彼はチャージャーとして乗っていた。1689-90年の戦役で。


At the Battle of the Boyne he was so far ahead reconnoitering the enemy that he narrowly escaped capture, owing his safety to the superior speed of his horse" [Early Records:143].

ボイン川の戦いで、彼はこれまでのところ敵を偵察していました。その馬のスピードに優れた点で安全を確保して。



When Colonel Byerley retired from military service, the Byerley Turk went to stud, first at Midridge Grange, then, from 1697, at Goldsborough Hall, near Knaresborough, North Yorkshire.

バイアリー大佐が軍役から退くと、バイアリータークは牧場につれていかれた。最初はミッドリッジ・グランジ。その後、1697年から、ゴールズボロ・ホール。ここは北ヨークシャーのKnaresborough（ネアスバラ）の近く。



Although he did not cover many well-bred mares, he did well with his opportunities. 

バイアリータークは、多くの「血統のよい牝馬」には配合されなかったが、よく成功した。


While his best sons were Basto and Jigg, his other offspring included a number of good runners, such as the Duke of Rutland's Archer, the Duke of Kingston's Sprite and Lord Godolphin's Byerley Gelding.

最良の産駒はBastoとJigg。さらに多くのよい競走馬をだした。たとえば「Duke of Rutland's Archer」、「Duke of Kingston's Sprite」、「Lord Godolphin's Byerley Gelding」

==1==

==出自は諸説あり==


==Turf Register 1803==

==主な産駒==

*[[Basto]] - 
*[[Jigg]] - [[Croft's POartner]]を通じて[[Herod]]を出し、現代に続く父系を残す。
*[[]] -

==産駒==


==父系==
===父系概略図===
{{父バイアリーターク系}}

===父系図テンプレート===
*[[Template:父バイアリーターク系]]

==システム==
===リンク===
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*[http://www.tbheritage.com/Portraits/ByerleyTurkSearch.html In Search of the Byerley Turk](Throughbred Heritage)

===リダイレクト===
*[[Byerly Turk]]
*[[バイアリーターク]]
*[[]]
*[[]]


==参考資料==
* William Pick,“<u>''The Turf Register and Sportsman & Breeder's Stud-book.volume Ⅰ., <small>containing Pedigrees, Performances, &c. to 1763, inclusive.</small>''</u>”, A.Bartholoman, at the Herald and British Turf Press, 1803.

==カテゴリー==
{{DEFAULTSORT:Byerley Turk}}
[[Category:イギリスの競走馬]]
[[Category:始祖]]