Klaironのソースを表示

{{Klairon}}
__NOTOC__
{| style="float:right;width:480px;margin:1em 0em 1em 1em;padding:10px;font-size:0.9em;;background-color:rgba( 255, 255, 255, 0.25 )"
|-style="background-color:rgba( 255, 255, 255, 0.25 )"
|[[ファイル:Klairon.jpg|480px|link=]]
|-
|クレイロン
|}
　'''クレイロン''' (Klairon)は1955年のフランス2000ギニー優勝馬。同世代のフランス馬には、[[英国ダービー]]と[[パリ大賞典]]の二冠を制した[[フィルドレーク]]がいたために、フランスのNo1とはみなされなかった。同世代にはイタリア出身の[[リボー]]もいて、リボーは[[凱旋門賞]]を勝ったので、余計にクレイロンは影に隠れてしまった。

　しかし、イギリスではほぼ失われた系統だった[[バイアリーターク]]の父系を復活させようと、クレイロンはイギリスに輸入された。[[オークス|イギリスオークス]]とフランスの[[ヴェルメイユ賞]]を制した[[Monade]]などを出した。父系としては[[ローレンザッチョ]]([[Lorenzaccio]])から[[アホヌーラ]]([[Ahonoora]])を経て英国ダービー馬[[ドクターデヴィアス]]が出現し、英国におけるバイアリーターク系再興が実現したのだった。フランスでは[[リュティエ]]([[Luthier]])から[[サンシリアン]]([[Saint Cyrien]])へ至るラインが成功し、日本でも[[ダンディルート]]が成功した。

ちなみに、「Klairon」をフランス人は「クレオン」（ないし「クレロン」）ぽく発音し、「クレイロン」はイギリス風の読み方である。（文献によっては「クレイヨン」「クラリヨン」などの表記も見受けられるが、「クラリヨン」はさすがに誤読だろう。）

==血統==
{{Template:五代血統表α
|name = Klairon
|和 = クレイロン
|種 = サラブレッド
|年 = 1952
|性 = 牡
|毛 = 鹿毛
|誕 = 1952
|死 = 1976
|国 = {{F-FRA}}
|県 = 
|牧 = 
|者 = 
|調 = John Cunnington Jr.調教師
|厩 = 厩舎
|厩地 = 厩舎
|主 = Martin Fabiani
|f= [[Clarion]]
|f年 = 1944
|f毛 = 鹿毛
|f国 = FRA
|m = Kalmia
|m毛 = 鹿毛
|m年 = 1931
|m国 = FRA
|ff = [[Djebel]]
|ff年 = 1937
|ff毛 = 鹿毛
|ff国 = FRA
|fm = Columba
|fm年 = 1930
|fm毛 = 黒鹿毛
|fm国 = GB
|mf= [[Kantar]]
|mf毛 = 鹿毛
|mf年 = 1925
|mf国 = FRA
|mm = Sweet Lavender
|mm毛 = 栗毛
|mm年 = 1923
|mm国 =GB
|fff = [[Tourbillon]]
|ffm = Loika
|fmf = [[Colorado]]
|fmm = Gay Bird
|mff= [[Alcantara]]
|mfm= Karabe
|mmf= [[Swynford]]
|mmm= Marchetta
|ffff = [[Ksar]]
|fffm = [[Durban]]
|ffmf = {{×r1|[[Gay Crusader]]}}
|ffmm = Coeur a Coeur
|fmff = [[Phalaris]]
|fmfm = Canyon
|fmmf = {{×r1|[[Gay Crusader]]}}
|fmmm = Popinjay
|mfff = [[Perth]]
|mffm = Toison d'Or
|mfmf = [[Chouberski]]
|mfmm = Kizil Sou
|mmff = [[John o'Gaunt]]
|mmfm = [[Canterbury Pilgrim]]
|mmmf = [[Marco]]
|mmmm = Hettie Sorrel
|fffff = [[Bruleur]]
|ffffm = [[Kizil Kourgan]]
|fffmf = [[Durbar]]
|fffmm = Banshee
|ffmff = [[Bayardo]]
|ffmfm = Gay Laura
|ffmmf = [[Teddy]]
|ffmmm = Ballantrae
|fmfff = [[Polymelus]]
|fmffm = Bromus
|fmfmf = [[Chaucer]]
|fmfmm = Glasalt
|fmmff = [[Bayardo]]
|fmmfm = Gay Laura
|fmmmf = [[St. Frusquin]]
|fmmmm = Chelandry
|mffff = [[War Dance]]
|mfffm = Primrose Dame
|mffmf = [[Le Sancy]]
|mffmm = Harfleur
|mfmff = [[Gardefeu]]
|mfmfm = Campanule
|mfmmf = [[Omnium]]
|mfmmm = Kasbah
|mmfff = [[Isinglass]]
|mmffm = [[La Fleche]]
|mmfmf = [[Tristan]]
|mmfmm = Pilgrimage
|mmmff = [[Barcaldine]]
|mmmfm = Novitiate
|mmmmf = [[Peter]]
|mmmmm = Venus' Looking Glass
|FN = 1-w
|母系 = 
|初出 = 
|終出 = 
|戦 = 17
|勝 = 6
|勝備考 = 　
|タイトル = 
|鞍 = [[仏2000ギニー]]、[[ジョンシェール賞]]、③[[2000ギニー]]、[[ユナイテッドネイションズH]]
|金 = 　 
|CS = 
|CJS = 
|CBMS = 
|駒 = [[Monade]]（[[オークス]]）、[[Lorenzaccio]]（[[チャンピオンS]]）、[[Altissima]]（[[仏1000ギニー]]）、[[Luthier]]（[[ジャックルマロワ賞]]）
}}
===戦争中に育ったジェベルの父系===
{| style="float:right;width:380px;margin:1em 0em 1em 1em;padding:10px;font-size:0.9em;;background-color:rgba( 255, 255, 255, 0.25 )"
|-style="background-color:rgba( 255, 255, 255, 0.25 )"
|[[ファイル:Djebel.jpg|360px|link=]]
|-
|英仏2000ギニーを制した[[ジェベル]]
|-style="background-color:rgba( 255, 255, 255, 0.25 )"
|[[ファイル:Clarion.jpg|360px|link=]]
|-
|フランス2歳チャンピオンの[[クラリオン]]。
|}
　父系は筋金入りのフランス血統で、[[ジェベル]]の系統である。ジェベルもその父[[トウルビヨン]]も[[マルセル・ブサック]]氏の生産馬であるが、イギリスでは「サラブレッド」と認められていなかった。トウルビヨンの母の父[[ダーバー]]([[Durbar]])は1914年の英国ダービー馬なのだが、その5代前にアメリカの歴史的名馬[[レキシントン]]がいて、その5代前の血統が不詳である。そういう「血統不詳馬を祖先に持つもの」を「サラブレッド」として認めないとする規則を「ジャージー規則」といい、アメリカとフランスのサラブレッドがイギリスを席巻するのを防ぐために作られたルールだった。そのためイギリスではジェベルは「サラ系」扱いだった。

　1939年、ジェベルは2歳のうちからイギリスに遠征して真夏の[[ジムクラックS]]に勝ち、2歳のトップクラスに躍り出た。直後の9月1日、ドイツがポーランドに侵攻した。イギリスもフランスも即座にドイツに宣戦布告したのだが、両国の間には実際には戦闘は起きなかった。だから両国の競馬はそのまま平常通り行われ、ジェベルは[[ミドルパークS]]に勝ち、さらに翌1940年春には[[2000ギニー]]に勝った。ところがジェベルがフランスに帰国するやいなや、ドイツ軍がフランスに攻め込んできた。フランスは為す術もなく陥落し、競馬もすべて中止になった。秋になって占領軍はフランス競馬の再開を許し、ジェベルはオートゥイユ競馬場で行われた代替フランス2000ギニーを勝った。その後もジェベルはフランスで勝ちまくり、1942年には[[凱旋門賞]]も制した。ただしドイツ占領下なのでイギリス馬と対戦することはなかったが。

　ジェベルは凱旋門賞を勝ったあと、1943年に種牡馬となった。その産駒が競走年齢に達する頃に第二次世界大戦が終わると、<ruby>第一世代<rt>ファーストクロップ</rt></ruby>からフランス2歳チャンピオンの[[クラリオン]]([[Clarion]])が登場し、二年目の産駒から[[マイバブ]]([[My Babu]])が出た。その頃、フランス馬はイギリス競馬界を席巻する。1947年には[[パールダイヴァー]]([[Pearl Diver]])には英国ダービーを勝ち、1948年はマイバブが英国2000ギニーを、[[マイラブ]]([[My Love]])が英国ダービーを勝った。

===戦争中に育ったマルチェッタの牝系===
{| style="float:right;background-color: rgba(255,255,255,0.33);width:440px;margin:0.5em 0 0.5em 1em;"
|- 
|<small>
【マルチェッタの牝系子孫】
:Marchetta　1907
:｜Sweet Lavender 1923
:｜｜Pot-pourri 1928
:｜｜｜Mixed Blessing 1946
:｜｜｜｜*[[ダイハード]]　1957　[[イボアH]]　種牡馬
:｜｜Lavendula 1930　
:｜｜｜Perfume 1938　
:｜｜｜[[My Babu]] 1945　[[2000ギニー]]　種牡馬　英米CS
:｜｜｜[[Ambiorix]] 1946　[[リュパン賞]]、[[グランクリテリウム]]　種牡馬
:｜｜｜Source Sucree 1940
:｜｜｜｜｜[[Turn-to]] 1951　種牡馬
:｜｜Kalmia 1931
:｜｜｜[[Klairon]] 1952　[[仏2000ギニー]]
:｜Rose Red 1924
:｜｜Aurora　1936　②1000ギニー
:｜｜｜[[Borealis]]　1941　[[コロネーションC]]　種牡馬
:｜｜｜[[Alycidon]]　1945　[[アスコット金杯]]ほか　種牡馬　英国CS
:｜｜｜[[Acropolis]]　1952　英国3歳牡馬チャンピオン　種牡馬
:｜｜｜[[Agricola]]　1956　種牡馬　新国CS
</small>
|-
|}
　[[17代ダービー伯爵]]の生産馬マーチェッタ(Marchetta)は9頭もの勝馬を産んでおり、スイートラベンダー（Sweet Lavender）とローズレッド（Rose Red）の全姉妹を通じたファミリーは第二次世界大戦後に爆発的な成功をおさめることになった。とりわけスイートラベンダーは繁殖牝馬としてイギリスとフランスを行ったり来たりしながら供用され、多様な父系と交配された。ポプリ（Pot-Pourri）の父はセントサイモン系の[[ローズプリンス]]([[Rose Prince]])、ラベンデュラ(Lavendula)の父はサイリーン系の[[ファロス]]([[Pharos]])、カルミアの父はパース系のカンタル([[Kantar]])といった具合である。

　このファミリーは大戦後のイギリス、フランスで大成功した。ジェベル系の主力であるマイバブとクレイロンはいずれもこの牝系から出ているし、ローズレッドの産駒によってブランドフォード系も発展した。しかし後になってみると、まさか米国へ渡ったターントゥの父系がこんなに発展することになろうとは、当時は誰も思わなかっただろう。

==フランス馬が英国競馬界を席巻した時代==
===英2000ギニーの接戦「イギリス人が乗っていればクレイロンが勝っていた」===
　第二次世界大戦直後、イギリスの競馬界では「サラブレッド戦争」という言葉が広まっていった。とにかくフランス産馬が強いのだ。戦争中、ずっとドイツに占領されていたフランスは確かに酷い目にあったのだろうが、激戦地になったベルギーやオランダに比べるとフランスはコロリと降伏したので国内の荒廃はさほどでもなかったし、サラブレッド生産に限って言えばイギリスよりずっと恵まれていた。ドイツ占領軍は、フランス支配の安定化のためにはフランス人に日常生活を送らせるのがよいと考え、早々と競馬開催を許可したからである。それに比べると、戦争中ずっと空襲に晒され、国中の競馬がストップしたイギリスのほうが影響が大きかった。

　そんなわけで戦争が終わってみると、フランス産馬がイギリスの大レースを勝ちまくった。イギリスの競馬人は、これはフランスによる侵略だ、奴らは戦争中ぬくぬくとしてやがったのだと敵視した。ただしフランス優勢の傾向は戦前からあったもので、それは実力馬を排除しようとしたジャージー規則の悪影響というべきものだっただろう。

　1955年春の3歳クラシック戦線もそうした傾向にあった。2000ギニーには、フランスから強力な挑戦者がやってきた。前年のフランス2歳チャンピオン、{{Imp}}[[ボウプリンス]](Beau Prince)である。{{Imp}}ボウプリンスは父母ともにフランス馬で、ドーヴィルにあるマノワール牧場(Haras du Manoir)で誕生し、生産者（ポール・ボワイリヴォン氏）も馬主もフランス人なのだが、イギリスの調教師に預けられたので書類上は「イギリス馬」ということになっていた。しかし、フランス人はこの馬を「ボープランス」と発音していたし、世間は「{{Imp}}ボウプリンス」をフランス馬とみなしていた。

　これを迎え撃つイギリス馬本命馬は前年の[[ノーフォークS|ニューS]]勝馬[[タメルラン]]([[Tamerlane]])である。前年の[[シャンペンS]]・[[ミドルパークS]]に勝ってイギリスの2歳チャンピオンになっている{{Imp}}[[アワバブー]]([[Our Babu]])はアイルランド産馬なので、これも侵略者だ。しかも{{Imp}}アワバブーの父馬はフランス馬のくせに英2000ギニーを勝った[[マイバブ]]だし。女王陛下の持ち馬アレクサンダー([[Alexander]])は2000ギニートライアルで{{Imp}}アワバブーを負かしているのだが、人気はあまりなかった（女王陛下はもちろんニューマーケットに観戦に来ていた。）。

　人気はタメルランが5対1（6.0倍）で本命、アイルランドの*アワバブーとフランスの*ボウプリンスが13対2（7.5倍）で2番人気を分け合った。このレースには、両馬を含めてアイルランドとフランスからそれぞれ5頭ずつの「侵略者」が出走していた。クレイロンもそのうちの1頭だったが、全く人気がなく、23対1（24.0倍）の大穴だった。しかしイギリスにしては珍しく、この年の春のニューマーケット競馬場はパンパンの良馬場になった。それが各馬の命運を分けた。

　ゴールまであと1ハロンというところで、英国代表タメルランは優勝間違いなしという体勢だった。フランスの{{Imp}}ボウプリンスはまったく馬場が合わず、明らかに圏外だった。[[ニューマーケット競馬場]]・[[ロウリーマイル]]の直線走路は途中に起伏があるものの、目印らしい目印がなく、乗り方が難しいコースである。{{Imp}}アワバブーに騎乗する[[ダグ・スミス]]([[Doug Smith]])はイギリスのチャンピオンジョッキーであり、きっちりタイミングをはかって{{Imp}}アワバブーを追い出した。{{Imp}}アワバブーはゴール寸前でタメルランに並びかけた。ところが、さらに後ろから猛烈に突っ込んできた馬がいた。それが大穴クレイロンである。勢いはクレイロンがいちばんよく、3頭が並んでゴールし、写真判定になった。ダグ・スミス騎手は、自分が勝っているかどうかはわからない、と述べた。

　写真判定の結果、1着{{Imp}}アワバブー、クビ差でタメルランが2着、短頭差（イギリス競馬には「ハナ差」がなく、短頭差が最小着差である）でクレイロンが3着だった。クレイロンの騎手はフランス人のジャン・デフォルジュ(Jean Deforge)といい、ニューマーケット競馬場初騎乗だった。当時の新聞は、クレイロンにイギリス人騎手が乗っていたならクレイロンが勝っていただろう、と結論づけている。（デフォルジュ騎手はフランスでは、[[エクスビュリ]]で1963年の[[凱旋門賞]]を勝つなど一流のジョッキーである。）

===フランスへ帰国して2連勝===
{| style="float:right;background-color: rgba(255,255,255,0.33);width:440px;margin:0.5em 0 0.5em 1em;"
|- 
|<small>
【1955年の欧州主要3歳戦の結果】
{|class=wikitable
|-
|レース||優勝馬||父馬||その父
|-
|英2000ギニー||{{F-IRE}}{{Imp}}[[アワバブー]]||[[My Babu]]||[[Djebel]]
|-
|英ダービー||{{F-FRA}}[[Phil Drake]]||[[Admiral Drake]]||[[Craig an Eran]]
|-
|仏2000ギニー||{{F-FRA}}[[Klairon]]||[[Clarion]]||[[Djebel]]
|-
|仏ダービー||{{F-FRA}}{{Imp}}[[ラパス]]||[[Djefou]]||[[Djebel]]
|-
|愛2000ギニー||{{F-FRA}}[[Hugh Lupus]]||[[Djebel]]||[[Tourbillon]]
|-
|愛ダービー||{{F-IRE}}{{Imp}}[[パナスリッパー]]||[[Solar Slipper]]||[[Windsor Slipper]]
|-
|パリ大賞||{{F-FRA}}[[Phil Drake]]||[[Admiral Drake]]||[[Craig an Eran]]
|-
|}
</small>
|-
|}
　クレイロンはフランスに戻ると[[仏2000ギニー]]（ラ・プール・デッセ）に出た。ここでの強敵は[[Chingacgook]]といい、やはりトウルビヨン系の早熟スピード馬である。Chingacgookは2歳のときにフランスでボ{{Imp}}ウプリンス（フランス風に読むとボープランス）とチャンピオンを争っていた馬で、[[モルニ賞]]の優勝馬だ。

　ところで、「Chingacgook」をどう読むかは非常に悩ましい。この馬名は、もともとは『モヒカン族の最後』という小説に登場するアメリカインディアンの名前だ。1992年の映画『ラスト・オブ・モヒカン』では「チンガチェック」と翻訳されていたのだが、この作品はハリウッド映画だからアメリカ英語読みだし、これでは「gook」の「g」が脱落している。文献によっては「チンガクグック」とするものもあるが、それもなんだかもたついた感じだ。フランス馬Chingacgookはフランス語風に「シンガグック」とでも書くしか無いだろう。（映画を観たか原作を読んだ方なら知っているだろうが、この作品はアメリカ独立戦争の頃の話であり、インディアンはフランス人とフランス語で会話するのだ。）

　仏2000ギニーも大接戦となり、クレイロンとシンガクックは全く並んでゴールした。またもや着差は「短頭差（ハナ差）」だったが、こんどはクレイロンが優勝となった。クレイロンはそのあと[[ジャックルマロワ賞]]へ進み、これも勝った。2着には[[Bryn]]が来た。この馬は仏2000ギニーの3着馬である。

　シンガクックは[[リュパン賞]]でも2着に負けたが、そのあと[[サンクルー大賞]]に出て古馬を負かして優勝した（このレースでは落馬した空馬がシンガクックの邪魔をして、最終コーナで50メートルもの不利を受けたが、それでもシンガクックが勝った。）。その頃イギリスでは、フランス馬[[フィルドレイク]]([[Phil Drake]])が英国ダービーに勝ち、イギリス人をまた怒らせた。フィルドレイクはフランスに戻って[[パリ大賞]]を勝って二冠馬となった。アイルランドでも、フランス馬[[ヒュールパス]]([[Hugh Lupus]])が[[愛2000ギニー]]を勝った。これもジェベル産駒だ！この年の英国牝馬クラシック路線はイギリス産馬が二冠を制したのだが、その馬の名前は、よりにもよってフランス語で「<ruby>くそったれ！<rt>メルド</rt></ruby>」という意味の[[メルド]]([[Meld]])だった。（メルドの父は[[アリシドン]]であり、Rose Redの孫だ。）

===アメリカ遠征===
{| style="float:right;width:380px;margin:1em 0em 1em 1em;padding:10px;font-size:0.9em;;background-color:rgba( 255, 255, 255, 0.25 )"
|-style="background-color:rgba( 255, 255, 255, 0.25 )"
|[[ファイル:Atlanticcity1946.jpg|360px|link=]]
|-
|1946年に開場した[[アトランティックシティ競馬場]]
|-style="background-color:rgba( 255, 255, 255, 0.25 )"
|[[ファイル:Atlanticcity1960.jpg|360px|link=]]
|-
|アトランティックシティ競馬場(1960年)
|}
　大戦の終結は、大西洋を隔てたアメリカでも競馬に変化をもたらした。何世紀かダート競馬をやってきた彼らが芝の大レースをやり始めたのだ。これはヨーロッパとの競走馬の往来が盛んになったことに起因したブームだった。1952年に[[ローレル競馬場]]が[[ワシントンDC国際]]を、1953年に[[アトランティックシティ競馬場]]が[[ユナイテッドネイションズH]]を創設し、とんでもない高額賞金でヨーロッパのサラブレッドを呼び始めた。シカゴでは、全米で2番めに賞金が高い[[アメリカンダービー]]が1955年に芝コースでの施行に変わった。

　アメリカ人ははじめは芝競馬に半信半疑だったが、アメリカの一線級の3歳馬[[フィッシャーマン]]([[Fisherman]])が初めての芝コース挑戦で[[ワシントンDC国際]]に勝ち、芝コースに変わったばかりの[[アメリカンダービー]]に芝初挑戦の[[スワップス]]が出走してレコード勝ちすると、ますます芝のレースに力を入れるようになった。（スワップスはクレイロンと同世代だ。）

　ニューヨークとワシントンの中間にフィラデルフィアがあり、その大西洋岸にアトランティックシティ競馬場([[:en:Atlantic City Race Track]])がある。大戦後の1946年に建設された新しい競馬場だ。ここで始まったユナイテッドネイションズHは単に賞金が高いだけでなく、ユニークな企画だった。本戦に先立って、アメリカ産サラブレッド限定の予選（アメリカンブレッドS(American Bred Stakes)、9f）と、外国産馬限定の予選（フォーリンブレッドS(Foreign Bred Stakes)、9f）が行われる。予選と言っても、その賞金はそれぞれ5万ドルもあり、[[ワシントンDC国際]]と同額だった。そしてこれらの上位馬が賞金10万ドルのユナイテッドネイションズH（1マイル3/16＝11ハロン≒2212.8ｍ）で対決する。この3戦は「トリプルターフクラシック」と呼ばれ、芝のレースではアメリカで最高賞金のシリーズだった。

　クレイロンは、もう1頭のフランス馬Jolly Friarを帯同し、飛行機に乗って大西洋を渡って3000マイルの遠征をした。まずは「予選」のフォーリンブレッドSに出走したが、クレイロンは3着どまりだった。勝ったのは地元の外国産馬ブルークワイア([[Blue Choir]])といい、父母ともフランス血統で、生まれて間もなくアメリカに渡ってずっとアメリカで出走していた馬である。Jolly Friarは初めての環境で緊張したのか、スタート位置で膠着したままで、発馬することさえできなかった。一方、アメリカンブレッドSは、[[サンセットH]]をはじめ4度のレコード勝ち記録を持っているソーシャルアウトキャスト([[Social Outcast]])が大本命視されていたのだが、これが大凡走し、番狂わせでプリンスヒル([[Prince Hill]]、父は[[プリンスキロ]])が勝った。

　「本戦」のユナイテッドネイションズHでもブルークワイアが勝ち、2着に[[Chevation]]が入った。クレイロンは再び3着に敗れた。この年のアメリカの年度代表馬にはダートチャンピオンのスワップスでも芝チャンピオンのブルークワイアでもなく、[[ナシュア]]が選ばれたのだが、これには異論も出た。

===古馬になって===
==種牡馬として==
Started his stallion career in 1957 at Haras de Chemoitou (Champion family) and then joined the English stallion park (September 1962) in Lambourn Stud (in Berkshire, future Kingwood Stud).

He had already produced some good fillies (Monade, Altissima, Isoline, among others) when Alec Head leans more closely on its litter. As a mother's father, Klairon will distinguish himself with the brood mares Wertheimer et al., Among others, Saquebute, Irish Star, Kaliopi ...... Helvetie is part of the same generation as a Luthier or Lorenzaccio ...
 
It is amusing to note that Klairon has the same ancestors as his daughter Helvetie for far-off ascendancy (Queen Bertha).

==産駒と主な父系==
:[[Djebel]]
:｜[[Clarion]] 1944
:｜｜'''[[Klairon]]''' 1952　①'''[[仏2000ギニー]]'''(1955)、[[ジャックルマロワ賞]](1955)
:｜｜｜'''[[Monade]]''' 1959　牝  ①'''[[英オークス]]'''(1962)、'''[[ヴェルメイユ賞]]'''(1962)
:｜｜｜{{Imp}}[[ブランブルー]] 1959　①[[プランタン大賞]](1963)
:｜｜｜｜'''[[タニノチカラ]]''' 1969  ①'''[[天皇賞（秋）]]'''、'''[[有馬記念]]'''
:｜｜｜[[Karol]] 1959　①[[ヴィシー大賞典]](1962)
:｜｜｜'''[[Altissima]]''' 1960　牝　①'''[[仏1000ギニー]]'''(1963)
:｜｜｜'''[[Lorenzaccio]]''' 1965 '''[[チャンピオンS]]'''、[[ジャンプラ賞]]、[[ジュライS]]
:｜｜｜｜[[Ahonoora]]　1975　[[スプリントチャンピオンシップ]]英G2
:｜｜｜｜｜'''[[Don't Forget Me]]''' 1984　①'''[[英2000ギニー]]'''、'''[[愛2000ギニー]]'''
:｜｜｜｜｜{{Imp}}'''[[ドクターデヴィアス]]''' 1989 ①'''[[英ダービー]]'''(1992)
:｜｜｜｜｜[[Inchinor]] 1990 ①[[グリーナムS]]、[[クリテリオンS]]、[[ハンガーフォードS]]
:｜｜｜｜｜｜'''[[Summoner]]''' 1997 騙 ①'''[[クイーンエリザベス2世S]]'''英G1
:｜｜｜｜｜｜'''[[Cape of Good Hope]]''' 1998 騙 ①'''[[ゴールデンジュビリーS]]'''英G1、'''[[オーストラリアS]]'''豪G1
:｜｜｜｜｜｜'''[[Notnowcato]]''' 2002 [[エクリプスS]]英G1、[[インターナショナルS]]英G1、[[タタソールズGC]]愛G1
:｜｜｜｜｜｜｜[[Custom Cut]] 2009 [[サンダウンマイル]]英G2ほかG2多数
:｜｜｜｜｜｜｜'''[[Redkirk Warrior]]''' 2011 騙 ①[[VRCニューマーケットH]]豪G1
:｜｜｜｜｜[[Indian Ridge]] 1985 ①[[キングズスタンドS]]英G2
:｜｜｜｜｜｜'''[[Ridgewood Pearl]]''' 1992　牝　'''全欧年度代表馬'''①[[BCマイル]]米G1、[[愛1000ギニー]]愛G1、[[ムーランドロンシャン賞]]仏G1、[[コロネーションS]]英G1
:｜｜｜｜｜｜'''[[Namid]]''' 1996 ①'''[[アベイユドロンシャン賞]]'''仏G1
:｜｜｜｜｜｜｜'''[[Total Gallery]]''' 2006 ①'''[[アベイユドロンシャン賞]]'''仏G1
:｜｜｜｜｜｜'''[[Domedriver]]''' 1998 ①'''[[BCマイル]]'''米G1
:｜｜｜｜｜｜'''[[Indian Haven]]''' 2000 ①'''[[愛2000ギニー]]'''愛G1
:｜｜｜[[Kelele]] 1965　ブラジル種牡馬
:｜｜｜'''[[Shangamuzo]]''' 1973　①'''[[アスコット金杯]]'''(1978)、[[ドンカスターC]]　ブラジル種牡馬
:｜｜｜'''[[Luthier]]''' 1965 ①[[ジャックルマロワ賞]]、[[リュパン賞]]、[[ノアイユ賞]]
:｜｜｜｜{{Imp}}'''[[ノーリュート]]''' 1978 ①[[リュパン賞]]
:｜｜｜｜｜'''[[ブロードマインド]]''' 1988 
:｜｜｜｜'''[[Saint Cyrien]]''' 1980 ①[[グランクリテリウム]] '''仏種牡馬チャンピオン'''
:｜｜｜｜｜'''[[Epervier Bleu]]''' 1987 ①[[リュパン賞]]、[[サンクルー大賞]]
:｜｜｜｜'''[[Sagace]]''' 1980  ①[[凱旋門賞]]、[[ガネー賞]]、[[イスパーン賞]]
:｜｜｜｜｜{{Imp}}'''[[アルカング]]''' 1988 ①[[BCクラシック]]米G1
:｜｜｜｜{{Imp}}'''[[ヤワ]]''' 1983 ①[[パリ大賞]]
:｜｜｜｜｜[[モリユウプリンス]] 1989 ①[[シアンモア記念]]、[[東北優駿]]、[[みちのく大賞典]]2回
:｜｜｜｜{{Imp}}[[ダンディルート]] 1972 ①[[ラロシェト賞]]仏G2、[[パレロワイヤル賞]]仏G3
:｜｜｜｜｜[[ビゼンニシキ]] 1981 ①[[NHK杯]]、[[スプリングS]]
:｜｜｜｜｜｜'''[[ダイタクヘリオス]]''' 1987 ①[[マイルCS]]2回
:｜｜｜｜｜｜｜'''[[ダイタクヤマト]]''' 1994 ①[[スプリンターズS]]

==注==
===注釈===
<references group="注"/>
===出典===
{{Reflist|colwidth=30em |refs= 

}}

===LINK===
*{{JBIS}} [http://www.jbis.or.jp/horse/0000334323/ Klairon(FR)]
*{{EQ}} [https://www.equineline.com/Free-5X-Pedigree.cfm/*Klairon?page_state=DISPLAY_REPORT&reference_number=256709&registry=T&horse_name=*Klairon&dam_name==Kalmia%20(FR)&foaling_year=1952&include_sire_line=Y Klairon]
*{{PO}} [http://www.pedigreequery.com/klairon Klairon]
*{{GS}} [http://www.galopp-sieger.de/galoppsieger/en/pferd_html?pschl=KlaironClarion Klairon]