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{{Chaucer}}
スカパフロー（'''''Scapa Flow'''''、1914年 - 1937年）は、1914年生まれの牝馬で、[[ネアルコ]]と[[フェアウェー]]の全兄弟を産んだ。
__NOTOC__
スカパフローは第17代[[ダービー伯爵]][[エドワード・スタンリー (第17代ダービー伯爵)|エドワード・スタンリー]]による生産馬である。繁殖牝馬となって、[[ファロス (競走馬)|ファロス]]と[[フェアウェイ (競走馬)|フェアウェイ]]という2頭のイギリス[[リーディングサイアー|種牡馬チャンピオン]]を産み、サラブレッドの血統史上重要な足跡を残した。この2頭のほかにも[[1000ギニー]]優勝馬のフェアアイル（[[Fair Isle]]）を産んでいる。

[[スリーチムニーズファーム]]の血統分析担当のアン・ピーターズ（Anne Peters）は、スカパフローを「20世紀前半の偉大な繁殖牝馬の1頭」と評している。
==血統背景と来歴==
{{五代血統表α
|name =Scapa Flow
|和=[[スカパフロー]] 
|国 = GB
|主 = 第17代[[ダービー伯爵]][[エドワード・スタンリー (第17代ダービー伯爵)|エドワード・スタンリー]]
|種 = サラブレッド
|年 = 1914
|性 = 牝馬
|毛 = chesnut（栗毛）
|誕 = 1914
|死 = 1937
|国 = {{F-GB}}
|県 = ニューマーケット
|牧 = スタンレー・ハウス牧場
|者 = 第17代[[ダービー伯爵]][[エドワード・スタンリー (第17代ダービー伯爵)|エドワード・スタンリー]]
|調 = [[ジョージ・ラムトン]]
|厩 = スタンレー・ハウス厩舎
|厩地 = ニューマーケット
|f = [[Chaucer]]
|f毛=黒鹿毛
|f年=1900
|m = [[Anchora]]
|m毛=栗毛
|m年=1905
|ff = [[St.Simon]]
|ff毛=鹿毛
|ff年=1881
|fm = [[Canterbury Pilgrim]]
|fm毛=栗毛
|fm年=1893
|mf = [[Love Wisely]]
|mf毛=栗毛
|mf年= 1893
|mm = [[Eryholme]]
|mm毛=栗毛
|mm年=1898
|fff = {{×y1|[[Galopin]]}}
|ffm = [[St.Angela]]
|fmf = [[Tristan]]
|fmm = [[Pilgrimage]]
|mff = [[Wisdom]]
|mfm = [[Lovelorn]]
|mmf = [[Hazlehatch]]
|mmm = [[Ayrsmoss]]
|ffff = [[Vedette]]
|fffm = [[Flying Duchess]]
|ffmf = [[King Tom]]
|ffmm = [[Adeline]]
|fmff = {{×r4|[[Hermit]]}}
|fmfm = [[Thrift]]
|fmmf = [[The Palmer]]
|fmmm = [[Lady Audley]]
|mfff = [[Blinkhoolie]]
|mffm = [[Aline]]
|mfmf = [[Philammon]]
|mfmm = [[Gone]]
|mmff = {{×r4|[[Hermit]]}}
|mmfm = [[Hazledean]]
|mmmf = [[Ayrshire]]
|mmmm = [[Rattlewings]]
|fffff = [[Voltigeur]]
|ffffm = [[Mrs.Ridgway]]
|fffmf = [[The Flying Dutchman]]
|fffmm = [[Merope]]
|ffmff = [[Harkaway]]
|ffmfm = [[Pocahontas]]
|ffmmf = [[Ion]]
|ffmmm = [[Little Fairy]]
|fmfff = [[Newminster]]
|fmffm = [[Seclusion]]
|fmfmf = {{×r3|[[Stockwell]]}}
|fmfmm = [[Braxey]]
|fmmff = [[Beadsman]]
|fmmfm = [[Madame Eglentine]]
|fmmmf = [[Macaroni]]
|fmmmm = [[Secret]]
|mffff = [[Rataplan]]
|mfffm = [[Queen Mary]]
|mffmf = {{×r3|[[Stockwell]]}}
|mffmm = [[Jeu d'Esprit]]
|mfmff = [[Solon]]
|mfmfm = [[Satanella]]
|mfmmf = [[The Lizard]]
|mfmmm = [[Vanish]]
|mmfff = [[Newminster]]
|mmffm = [[Seclusion]]
|mmfmf = [[Cathedral]]
|mmfmm = [[Nutbush]]
|mmmff = [[Hampton]]
|mmmfm = [[Atalanta]]
|mmmmf = {{×y1|[[Galopin]]}}
|mmmmm = [[Mavis]]
|FN = 13-e
|母系 = 
|初出 = 2
|終出 = 3
|戦 = 50 or 51
|勝 = 7 or 8
|勝備考 = 資料により50戦7勝、51戦7勝、51戦8勝と食い違いがある。
|タイトル = 
|鞍 = [[スカボローステークス]]（12F）
|金 = 
|CS = 
|CJS = 
|CBMS = 
|駒 = '''[[Nearco]]'''（英国種牡馬チャンピオン）、'''[[Fairway]]'''（英国種牡馬チャンピオン）、'''[[Fair Isle]]'''（[[1000ギニー]]）、[[Highlander]]
}}
[[ニューマーケット]]では春になると平地競馬のシーズンがやってくる。4月のクレーヴン<ruby>開催<rt>ミーティング</rt></ruby>を皮切りに、4月の末に<ruby>春季第一<rt>ファーストスプリング</rt></ruby>開催、5月に<ruby>春季第二<rt>セカンドスプリング</rt></ruby>開催と続く。第一春季開催では目玉競走として[[2000ギニー]]や[[1000ギニー]]があり、人々はいよいよ今年のダービー候補の絞込に入る。ダービー馬を予想するには[[ニューマーケットS]]も重要だ。それに比べると、第二春季開催は地味である。しかしニューマーケットの見どころはレースだけではない。開催にあわせて開かれる競走馬の取引市も、ホースマンには絶対に見逃せないイベントなのだ。

1912年の春、この繁殖牝馬市で、第17代ダービー伯爵はお抱え調教師の[[ジョージ・ラムトン]]の勧めに従って、1912年に[[Anchora|アンコラ]]（[[Anchora]]）という7歳牝馬を購入した。これが、後のスカパフローの母である。買値は1300ギニーだったと伝えられている。同じ時期に購買した[[カンタベリーピルグリム]]が1800ギニー、[[ハイペリオン]]の祖母[[Gondlette]]が1500ギニーだったので、それらよりは安い。『世界の名馬』の著者原田俊治によれば、これは相場並の価格だったのだそうだ。

===母馬アンコラ===
{| style="float:right;width:250px;background-color:rgba( 255, 255, 255, 0.25 );padding:10px;margin:10px;"
|[[ファイル:GerogeEdwardes.jpg|250px|link=]]
|-
|ジョージ・エドワーズ（1903年）
|}
[[Anchora|アンコラ]]は[[ジョージ・エドワーズ (馬主)|ジョージ・エドワーズ]]（George Edwardes、1855 - 1915）という人物が<ruby>Ballykisteen Stud<rt>バリーキスティーン牧場</rt></ruby>で1905年に生産した牝馬である。エドワーズ氏は、[[エドワード7世]]（在位：1901-1910年）治世下のイギリスで一時代を築いたショービジネス界の大成功者だった。

エドワーズは税吏の子として生まれて王立士官学校に送り込まれたのだが、従兄弟の影響を受けてショービジネス界に興味をもち、オペラハウスで働くようになった。彼は10代の頃から<ruby>喜歌劇<rt>コミックオペラ</rt></ruby>の分野で才能を発揮し、ロンドンの劇場のマネージャーに抜擢された。そこで彼は新しいスタイルの喜劇を導入して人気を博し、いくつもの劇場を傘下におさめていった。エドワーズの代表作には喜劇「The Geisha」や「Gaiety Girls」などがある。

成功者のエドワーズは競馬をやるようになった。彼の所有馬の代表は、1901年に[[アスコット金杯]]を勝った[[Santoi]]である。

アンコラの父馬は1896年の[[アスコット金杯]]の優勝馬[[Love Wisely]]。アンコラは父に似て長距離適性があり、バネの利いた体躯を兼ね備えていたという。

アンコラ晩成型で、2歳から5歳まで未勝利だった。6歳でようやく初勝利をあげると、ブライトンステークス（Brighton Stakes）1着、[[チェスターカップ]]2着、[[イボアハンデ]]2着（1910年）などの成績をあげた。通算の勝利数には資料によって食い違いがあり、50戦7勝、51戦7勝、51戦8勝などとされている。

7歳になったアンコラはニューマーケットの繁殖牝馬市で売りに出された。これにダービー伯爵が目を留めたのである。アンコラは伯爵好みの長距離血統であるうえ、6歳まで頑健に長く走ったことが購入理由だったと伝えられている。

==戦績==


ダービー伯爵が[[ニューマーケット]]にもつ[[スタンレー・ハウス牧場]]に連れて行かれたアンコラは、そこでダービー伯爵が所有する種牡馬[[チョーサー]]と配合された。こうして1914年に最初の子供として生まれたのがスカパフローである。幼駒時代のスカパフローは、体格には恵まれなかったものの、動きがよく、気質も優れていたという。

===海にちなむ馬名===
母の名前「Anchora」は、「<ruby>錨<rt>アンカー</rt></ruby>」を意味する語。ラテン語では「Ancora」と綴り、これを英語風に転記したのが「Anchora」。

スカパフローが誕生した1914年には、欧州で第一次世界大戦が勃発している。6月のサラエボ事件をきっかけにしてオーストリア＝ハンガリー二重帝国がサラエボに宣戦布告、二重帝国の同盟者であったドイツ帝国も加わった。当時のドイツ帝国は、海洋進出を目論んで急速に海軍を増強しており、フリースラント地方とホルシュタイン地方を睨むヤーデ湾に軍港を築き、ヴィルヘルムスハーフェンを海軍の一大拠点としていた。ここを母港とするのがドイツ帝国が誇る<ruby>高海艦隊<rt>ホーホゼーフロッテ</rt></ruby>だった。艦隊は弩級戦艦ヴェストファーレン、ラインラント、戦列艦（前弩級戦艦）ハノーファー、巡洋戦艦モルトケ、デアフリンガー、ザイドリッツなど、弩級戦艦14、戦列艦22などを要する大艦隊である。北海に登場した強力な艦隊はイギリスを脅かす存在になった。そこでイギリスではこれに対抗するため、<ruby>大西洋艦隊<rt>アトランティックフリート</rt></ruby>と<ruby>本国艦隊<rt>ホームフリート</rt></ruby>を合流させて<ruby>大艦隊<rt>グランドフリート</rt></ruby>を編成した。その一大拠点となったのが、スコットランドの北に浮かぶオークニー諸島の<ruby>主島<rt>メインランド</rt></ruby>にあるスカパ・フロー湾である。

そこから、アンコラの1914年生まれの初産駒には「スカパフロー」と命名された。その後1916年生まれの2番仔には「ローゼイベイ（Rothesay Bay）」（ローゼイ湾）などと命名されている。

英国大艦隊が集結したスカパフローの戦力を前に、戦争が始まってもドイツ帝国は高海艦隊をあまり出撃させなかった。高海艦隊は大戦力ではあったが、イギリスはそれを上回る艦隊をもっており、虎の子の高海艦隊を失うことを怖れたためである。ドイツ海軍は何度かUボートをスカパフローに送り込んで奇襲を試みたが、いずれも失敗に終わった。陽動部隊を出してイギリス東部のヨークシャー沿岸を砲撃したりしたが、何度かの小さな海戦を経て起きたユトランド半島沖海戦では戦艦同士の砲撃戦となり、双方で8000名を超す死者を出す結果となった。1918年、ドイツで起きた共産主義者によるクーデターでドイツ皇帝が失脚し、大戦は終わった。ドイツ帝国海軍はイギリスに接収されてスカパフローに回航されたが、降伏をよしとしないドイツ将校は自沈を決意、52隻がスカパ・フロー湾の藻屑と消えたのだった。

スカパフローの産駒たちにも海にちなんだ名前が与えられている。代表産駒の'''Pharos'''の名前は、世界7不思議の一つ、エジプトのアレクサンドリア湾の大灯台からきている。この灯台は紀元前4世紀に建設されたもので、灯台に設置された反射鏡で太陽光を集めて敵の船を焼き払ったという。「ファロス」は本来、この大灯台があった島の名前（『オデュッセイア』ではギリシャ語で<ruby>Φάρος<rt>パロス</rt></ruby>島として登場）だが、そこから転じて「灯台」を意味する語となった。また'''Fairway'''は「航路」を意味する語。1000ギニー優勝馬のFair Isleは、オークニー諸島の北東30マイルほど沖合に浮かぶ南北5kmほどの小島の名前である。

==競走成績==
1916年に2歳になると、スカパフローと命名され<ref>「[[スカパ・フロー]]」は、イギリスの北部にある軍港である。1914年に始まった[[第一次世界大戦]]では、[[ドイツ帝国海軍]]の[[大洋艦隊]]と対峙するため、[[イギリス海軍]]の拠点となった。1916年には、スカパ・フローから出撃したイギリス艦隊とドイツ艦隊のあいだで[[ユトランド沖海戦]]が行われている。</ref>、ダービー伯爵の所有馬として出走した。だが、2歳の間は入着さえ1度もすることができなかった<ref name="TH-Scapa Flow"/>。

1947年に3歳になったスカパフローは、下級戦である売却競走<ref group="注">売却競走は「セリング（selling）競走」や「クレーミング（claiming）競走」と呼ばれる。「クレーム（claim）」は「申し出」「債権」「請求」などの意味。</ref>にでるようになった。売却競走は、事前にその競走馬の売値を示した上でレースに出走させるもので、その値段で買うと手を挙げた者に対して売却しなければならない。あるときスカパフローに買い手が現れた。そのときになって、ジョージ・ラムトン調教師はスカパフローを売るのが惜しくなった。このとき、買い手はラムトン調教師の意を汲んで、入手したスカパフローをラムトン調教師のもとへ返還した<ref name="TH-Scapa Flow"/>。

アメリカの[[スリーチムニーズファーム]]で血統分析を担当するアン・ピーターズ（Anne Peters<ref name="TH-Contributors"/>）は、もしもスカパフローが返還されていなかったら、サラブレッドの歴史は大きく変わっていただろう、と述べている<ref name="TH-Scapa Flow"/>。

スカパフローはこのあと12ハロン（約2414メートル）の競走で初勝利をあげた。秋には[[ニューマーケット競馬場]]でスカボローステークス（[[:en:Scarborough Stakes|Scarborough Stakes]]<ref group="注">Scarborough（[[スカボロー]]）のカタカナ表記には、スカボロー、スカーブラ、スカーバラなどさまざまな異表記がみられる。</ref>、12ハロン）に勝った<ref name="TH-Scapa Flow"/>。

ラムトン調教師の見立てでは、スカパフローは母馬に似て晩成で長距離に向き、翌年4歳になればもっと期待できると考えた。しかし馬主のダービー伯爵は引退を望み、これにしたがってスカパフローは競走生活から引退して繁殖牝馬となることになった<ref name="TH-Scapa Flow"/>。

==繁殖牝馬として==
スカパフローは、ダービー伯爵の牧場に入り、そこで9頭の産駒をもうけている。うち8頭が勝ち上がり、6頭が[[ステークス方式|ステークス]]競走に勝っている<ref name="TH-Scapa Flow"/>。

このうち、2番めの産駒が1920年生まれの[[ファロス (競走馬)|ファロス]]である。ファロスの父馬はダービー伯爵の新種牡馬[[ファラリス]]だった<ref name="TH-Scapa Flow"/>。ファラリスは短距離タイプの競走馬で、長距離型を好むダービー伯爵は現役を退いたファラリスを売却しようとしたのだが、買い手がつかなかったために自己所有種牡馬として1919年から供用したのだった<ref name="TH-Phalaris"/>。ファロスは3歳（1923年）のときに[[ダービーステークス|ダービー]]（12ハロン）で2着に入り、4歳（1924年）のときに[[チャンピオンステークス]]（10ハロン＝約2012メートル）に勝った<ref name="TH-Scapa Flow"/>。

この間、1920年から1923年まで、スカパフローには種付料が安価な種牡馬が配合されていたものの、得られた産駒は1頭だけだった。1924年になって、ファロスの活躍を見て、再び[[ファラリス]]が配合された。こうして1925年に誕生したのが[[フェアウェイ (競走馬)|フェアウェイ]]である<ref name="TH-Scapa Flow"/>。

フェアウェイは1927年に2歳戦でデビューし、早速[[コヴェントリーステークス]]や[[ジュライステークス]]、[[シャンペンステークス (イギリス)|シャンペンステークス]]といった重要な2歳戦に優勝した。3歳（1928年）にはダービーに本命で出走したが、アクシデントの影響で7着に敗れている。しかしその後は[[エクリプスステークス]]、[[セントレジャーステークス]]、[[チャンピオンステークス]]に優勝。翌4歳（1929年）にもチャンピオンステークスや[[ブリティッシュ・チャンピオンズ・ロングディスタンスカップ|ジョッキークラブカップ]]に勝った<ref name="TH-Scapa Flow"/>。この間、ファロスやフェアウェイの父馬ファラリスは1925年と1928年にイギリスの[[リーディングサイアー|種牡馬チャンピオン]]となっている<ref name="TH-CS-GB"/>。

その後もスカパフローには毎年のようにファラリスが配合された。1927年に誕生した牝馬フェアアイル（Fair Isle）は1930年に[[1000ギニー]]に優勝した<ref name="TH-Scapa Flow"/>。フェアアイルは繁殖牝馬として大いに期待されたが、3頭しか仔を産まなかった。そのうち1頭のセイントマグヌス（St.Magnus、1933年生まれ）はリバプールサマーカップなどに勝ち、オーストラリアで種牡馬になって成功した。フェアアイルの牝駒マザーランド（Motherland、1937年生まれ）は、母となってルールブリタニア（Rule Britannia、1946年[[モールコームステークス]]優勝）を出した<ref name="TH-Scapa Flow"/>。

1930年に産んだ[[ハリーオン系#ハイランダー|ハイランダー]]は、スカパローの産駒としては唯一[[ハリーオン系]]の[[ハリーオン系#コロナック|コロナック]]を父としている。コロナックは競走馬としてはダービーやセントレジャーなど数多くの大レースにかった名馬だが、種牡馬となって間もなく、種牡馬としての実績はまだだった。ハイランダーはコロナックの産駒としては最初期の活躍馬となり、競走馬としても種牡馬としても、同世代で同じダービー伯爵の生産馬[[ハイペリオン (競走馬)|ハイペリオン]]と同じくらい期待がかけられた<ref>[http://newspapers.nl.sg/Digitised/Article/straitstimes19330527.2.100.aspx The Straits Times 1933年5月27日付]</ref><ref>[http://trove.nla.gov.au/ndp/del/article/61870932 Townsville Daily Bulletin 1934年11月2日付“English Racing”]2014年4月14日閲覧。“Highlander should be worth money as a sire when he has finished racing.”</ref>。しかし競走成績ははるかに及ばず、気性難から去勢されてしまった<ref name="TH-Scapa Flow"/>。

ファロスが種牡馬になると、その仔が次々と活躍した。1931年にはカメロニアン（Cameronian）が[[2000ギニー]]とダービーを制し、この年ファロスはイギリスの種牡馬チャンピオンとなった。しかし、ダービー伯爵は全弟のフェアウェイをより高く評価しており、1931年にフェアウェイが種牡馬になると、ファロスを売りに出した。ファロスはフランスに売られていったが、そこでフランスやイタリア、アイルランドのダービー馬を送り出した。ファロスの仔は1932年にもFirdaussiがイギリスでセントレジャーを勝つなど活躍したが、後世への影響を考えると、ファロス産駒のなかで最も重要なのは1935年のイタリア馬[[ネアルコ]]である。ネアルコは1947年と1948年にイギリスの種牡馬チャンピオンとなり、その子孫からは[[ナスルーラ]]、[[ノーザンダンサー]]、[[ターントゥ]]などが現れて現代の主流血脈となった<ref name="TH-Scapa Flow"/>。

ダービー伯爵に期待をかけられたフェアウェイは1936年と1939年にイギリスの種牡馬チャンピオンとなった。その子孫からは何代にも渡り、イギリスの種牡馬チャンピオンやダービー優勝馬が出た<ref name="TH-Scapa Flow"/>。

スカパフローは1932年に空胎となったあと、繁殖牝馬を引退した。その後は功労馬として余生を送り、1937年に23歳で死んだ<ref name="TH-Scapa Flow"/>。

===主な牝系子孫===
:Anchora　1905年生
:｜Scapa Flow　1914年生<ref name="JBIS-牝系"/>
:｜｜Spithead　牡馬　1919年生（父John o'Gaunt）[[チェスターカップ]]優勝
:｜｜'''[[ファロス (競走馬)|Pharos]]'''　牡馬　1920年生（父[[ファラリス|Phalaris]]）[[チャンピオンステークス]]優勝　英国種牡馬チャンピオン
:｜｜Pentland　騙馬　1923年生（父Torloisk）
:｜｜'''[[フェアウェイ (競走馬)|Fairway]]'''　牡馬　1925年生（父[[ファラリス|Phalaris]]）[[セントレジャーステークス]]優勝　英国種牡馬チャンピオン
:｜｜'''Fair Isle'''　牝馬　1927年生（父[[ファラリス|Phalaris]]）[[1000ギニー]]優勝
:｜｜｜St.Magnus　牡馬　1933年生（父Sansovino）　オーストラリア種牡馬
:｜｜｜Motherland　牝馬　1937年生（父[[ゲインズバラ (競走馬)|Gainsborough]]）
:｜｜｜｜Rule Britannia　牝馬　1944年生（父Big Game）　[[モールコームステークス]]優勝
:｜｜｜｜｜Nais　牝馬　1953年生（父[[ジェベル (競走馬)|Djebel]]）
:｜｜｜｜｜｜*アイロニス　牝馬　1960年生（父[[アイアンリージ]]）　日本輸入牝馬
:｜｜｜｜｜｜｜エドワールド　牝馬　1971年生（父[[ナディア (競走馬)|ナディア]]）[[桜花賞]]4着
:｜｜｜｜｜Artania　牝馬　1959年生（父Arbar）フィユドレール賞優勝
:｜｜｜｜Home Rule　牝馬　1950年生（父Norseman）
:｜｜｜｜｜Hill Queen　牝馬　1957年生（父Djebe<!--Djebelのtypoではない。Djebelの仔Djebe-->）
:｜｜｜｜｜｜Blue Queen　牝馬　1967年生（父Majority Blue）
:｜｜｜｜｜｜｜Reprocolor　牝馬　1976年生（父Jimmy Reppin）ランカシャーオークス（G2）優勝
:｜｜｜｜｜｜サンフォードラッド　牡馬　1970年生（父St. Alphage）[[ナンソープステークス]]（G2）優勝　日本輸入種牡馬
:｜｜Fara　牝馬　1928年生（父[[ファラリス|Phalaris]]）バッケナムステークス（Buckenham Stakes）優勝
:｜｜St.Andrews　牡馬　1929年生（父[[ファラリス|Phalaris]]）未勝利
:｜｜[[ハリーオン系#ハイランダー|Highlander]]　騙馬　1930年生（父[[ハリーオン系#コロナック|Coronach]]）[[ディーステークス]]優勝
:｜｜Pharillon　騙馬　1931年生（父[[ファラリス|Phalaris]]）

==脚注==
===注釈===
<references group="注"/>
===出典===
{{Reflist|colwidth=30em |refs=
<!--サラブレッドヘリテイジ --> 
*<ref name="TH-Scapa Flow">サラブレッド・ヘリテイジ [http://www.tbheritage.com/Portraits/ScapaFlow.html Scapa Flow] 2017年8月9日閲覧。</ref>
*<ref name="TH-Contributors">サラブレッド・ヘリテイジ [http://www.tbheritage.com/Contributors.html Contributors] 2017年8月9日閲覧。</ref>

*<ref name="TH-Phalaris">サラブレッド・ヘリテイジ [http://www.tbheritage.com/Portraits/Phalaris.html Phalaris] 2017年8月9日閲覧。</ref>
*<ref name="TH-CS-GB">サラブレッド・ヘリテイジ [http://www.tbheritage.com/HistoricSires/LeadingSires/GBLeadSires.html Leading Sires of Great Britain and Ireland] 2017年8月9日閲覧。</ref>

<!--基礎的情報-->
*<ref name="JBIS-基本">[[日本軽種馬協会]] Japan Bloodstock Information System Scapa Flow [http://www.jbis.or.jp/horse/0000390083/ 基本情報] 2017年8月9日閲覧。</ref>
*<ref name="JBIS-5代">[[日本軽種馬協会]] Japan Bloodstock Information System Scapa Flow [http://www.jbis.or.jp/horse/0000390083/pedigree/ 5代血統表] 2017年8月9日閲覧。</ref>
*<ref name="JBIS-牝系">[[日本軽種馬協会]] Japan Bloodstock Information System Scapa Flow [http://www.jbis.or.jp/horse/0000390083/broodmare/info/ 牝系情報] 2017年8月9日閲覧。</ref>

<!--基礎的文献-->


<!--評価-->


<!--競走成績-->

<!--種牡馬成績関連-->


}}

===参考文献===
[[Category:17代ダービー伯爵の所有馬]]
[[Category:17代ダービー伯爵の生産馬]]