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'''トリーア選帝侯'''（トリーアせんていこう、{{Lang-de|Kurtrier}}または{{Lang-de|Kurfürstentum Trier}}）は[[神聖ローマ帝国]]の[[選帝侯]]の一人である。
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==選帝侯とは==
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神聖ローマ帝国では、1198年から皇帝を選挙で決めるようになった。その投票権を持つ者を選帝侯（{{Lang-de|Kurfürst}}）という。選帝侯は、始めは[[マインツ大司教]]（[[マインツ選帝侯]]）、[[ケルン大司教]]（[[ケルン選帝侯]]）、[[トリーア大司教]]（[[トリーア選帝侯]]）、[[ライン宮中伯]]（[[プファルツ選帝侯]]）の4人だった。この4名は[[ライン川]]流域の有力者である<ref name="ドイツ史1-315316"/>。
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13世紀になって、これに[[ザクセン公]]（[[ザクセン選帝侯]]）と[[ブランデンブルク辺境伯]]（[[ブランデンブルク選帝侯]]）、[[ボヘミア王]]（[[ベーメン王国|ベーメン王]]）が加わり選帝侯は7名となった。これらの資格や選挙手続きは[[金印勅書]]で定められている<ref name="ドイツ史1-315316"/>。
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17世紀にはプファルツ選帝侯に替わって[[バイエルン公]]（[[バイエルン選帝侯]]）が加わり、さらに[[ハノーファー公]]（[[ハノーファー選帝侯]]）も加わった<ref name="ドイツ史1-312315"/>。
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聖職者であるマインツ大司教、ケルン大司教、トリーア大司教を三聖界選帝侯（聖界諸侯）、世俗の領邦君主である選帝侯を世俗選帝侯（世俗諸侯）などとも言う。聖界諸侯と世俗諸侯の最大の違いは、聖界諸侯位は世襲が行われない点にある。そのため相続による騒動や領土の分割は発生せず、長い神聖ローマ帝国の歴史のなかでも、世俗諸侯領に比べて安定していた。大司教が死ぬなどして退くと、聖堂参事会による選挙が行われ、ローマ教皇の承認を経て新しい大司教が叙任される<ref name="国制史-201210"/>。さらに神聖ローマ皇帝の承認によって選帝侯位が授けられる<ref group="注">基本的にはトリーア大司教が自動的にトリーア選帝侯となるのだが、教皇の承認と皇帝の承認のタイミングによっては在任期間にズレが生じることもある。たとえば16世紀前半のトリーア大司教[[リシャート・フォン・グライフェンクラウ|リシャート]]は、1512年4月にトリーア大司教に就任したが、選帝侯位が承認されたのは8月になってからだった</ref>。
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実際の選挙が行われる際には、トリーア大司教は7名のうち一番最初に投票を行うことになっている<ref name="ドイツ史1-315316"/>{{refnest|group="注"|ドイツにおける聖職者の序列ではマインツ大司教が1位である。皇帝選挙ではマインツ大司教は投票の進行役であり、投票順は7名の一番最後と成る<ref name="ドイツ史1-315316"/>。}}。
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==トリーア大司教位==
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*詳細は[[トリーア大司教]]および[[:de:Bistum Trier]]（トリーア司教区）を参照。
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==歴代トリーア選帝侯==
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|就位年||退位年||名前||ドイツ名||英語名
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|1189||1212||ヨハン1世||[[:de:Johann I. (Trier)|Johann I]]||[[:en:John I, Archbishop of Trier|John I]]
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|1212||1242||テオドリッヒ2世||[[:de:Theoderich II. von Wied|Theoderich II]]||[[:en:Theodoric II, Archbishop of Trier|Theodoric II]]
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|1242||1259||アルノルト2世||[[:de:Arnold II. von Isenburg|Arnold II]]||[[:en:Arnold II von Isenburg|Arnold II]]
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|1260||1286||ハインリヒ2世||[[:de:Heinrich II. von Finstingen|Heinrich II]]||[[:en:Heinrich I von Finstingen|Heinrich I]]
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|1286||1299||　||[[:de:Boemund I. von Warsberg|Boemund I]]||[[:en:Bohemond I (archbishop of Trier)|Bohemond I]]
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|1300||1307||　||[[:de:Diether von Nassau|Diether]]||[[:en:Diether von Nassau|Diether]]
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|1300||1306||ハインリヒ2世<br>（※対立司教）||[[:de:Heinrich II. von Virneburg|Heinrich II]]||[[:en:Heinrich II of Virneburg|Heinrich II]]　
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|1307||1354||[[バルドゥイン・フォン・ルクセンブルク]]||[[:de:Balduin von Luxemburg|Balduin]]||[[:en:Baldwin of Luxembourg|Baldwin]]
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|1354||1361||　||[[:de:Boemund II. von Saarbrücken|Boemund II]]||[[:en:Bohemond II (archbishop of Trier)|Bohemond II]]
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|1362||1388||　||[[:de:Kuno II. von Falkenstein|Kuno II]]||[[:en:Kuno II von Falkenstein|Kuno II]]
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|1388||1418||ヴェルナー||[[:de:Werner von Falkenstein|Werner]]||
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|1418||1430||オットー||[[:de:Otto von Ziegenhain (Erzbischof)|Otto]]||
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|1430||1438||　||[[:de:Raban von Helmstatt|Raban]]||
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|1439||1456||ヤコブ1世||[[:de:Jakob I. von Sierck|Jakob I]]||
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|1456||1503||ヨハン2世||[[:de:Johann II. von Baden|Johann II]]||[[:en:John II of Baden|John II of Baden]]
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|1503||1511||ヤコブ2世||[[:de:Jakob II. von Baden|Jakob II]]||[[:en:Jakob von Baden|James II]]
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|1512||1531||[[リシャート・フォン・グライフェンクラウ]]||[[:de:Richard von Greiffenklau zu Vollrads|Richard]]||[[:en:Richard von Greiffenklau zu Vollrads|Richard]]
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|1531||1540||ヨハン3世||[[:de:Johann III. von Metzenhausen|Johann III]]||[[:en:Johann von Metzenhausen|John III]]
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|1540||1547||ヨハン4世||[[:de:Johann IV. Ludwig von Hagen|Johann IV]]||[[:en:Johann Ludwig von Hagen|John IV Louis]]
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|1547||1556||ヨハン5世||[[:de:Johann V. von Isenburg|Johann V]]||[[:en:John of Isenburg-Grenzau|John V]]
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|1556||1567||ヨハン6世||[[:de:Johann VI. von der Leyen|Johann VI]]||[[:en:Johann von der Leyen|John VI]]
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|1567||1581||ヤコブ3世||[[:de:Jakob III. von Eltz|Jakob III]]||[[:en:Jakob von Eltz-Rübenach|James III]]
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|1581||1599||ヨハン7世||[[:de:Johann VII. von Schönenberg|Johann VII]]||[[:en:Johann von Schönenberg|John VII]]
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|1599||1623||　||[[:de:Lothar von Metternich|Lothar]]||[[:en:Lothar von Metternich|Lothar von Metternich]]
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|1623||1652||　||[[:de:Philipp Christoph von Sötern|Philipp Christoph]]||[[:en:Philipp Christoph von Sötern|Philipp Christoph]]
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|1652||1676||　||[[:de:Karl Kaspar von der Leyen|Karl Kaspar]]||[[:en:Karl Kaspar von der Leyen|Charles II]]
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|1676||1711||ヨハン8世||[[:de:Johann VIII. Hugo von Orsbeck|Johann VIII]]||[[:en:Johann Hugo von Orsbeck|John VIII]]
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|1711||1715||[[カール・ヨーゼフ・フォン・ロートリンゲン]]||[[:de:Karl III. Joseph von Lothringen|Karl III. Joseph]]||[[:en:Charles Joseph of Lorraine|Charles III]]
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|1716||1729||[[フランツ・ルートヴィヒ・フォン・デア・プファルツ]]||[[:de:Franz Ludwig von Pfalz-Neuburg|Franz Ludwig]]||[[:en:Count Palatine Francis Louis of Neuburg|Francis Louis]]
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|-
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|1729||1756||[[フランツ・ゲオルク・フォン・シェーンボルン]]||[[:de:Franz Georg von Schönborn|Franz Georg]]||[[:en:Franz Georg von Schönborn|Franz Georg]]
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|-
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|1756||1768||ヨハン9世フィリップ||[[:de:Johann IX. Philipp von Walderdorff|Johann IX. Philipp ]]||[[:en:Johann IX. Philipp von Walderdorff|Johann Philipp]]
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|-
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|1768||1801||　||[[:de:Clemens Wenzeslaus von Sachsen|Clemens Wenzeslaus]]||[[:en:Prince Clemens Wenceslaus of Saxony|Clemens Wenceslaus]]
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|}
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[[トリーア大司教]]も参照。
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*2世紀から21世紀までのトリーア司教のリストは下記参照。
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:*[[:en:Roman Catholic Diocese of Trier#Ordinaries]]
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:*[[:de:Liste der Bischöfe von Trier]]
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==脚注==
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===注釈===
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<references group="注"/>
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===出典===
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{{Reflist|colwidth=30em |refs=
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*<ref name="ドイツ史1-312315">『ドイツ史1』p312-315「選挙侯と国制」</ref>
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*<ref name="ドイツ史1-315316">『ドイツ史1』p315-316「選挙侯と選挙手続き」</ref>
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*<ref name="国制史-201210">『ドイツ国制史』,p201-210「旧帝国の聖界諸国家」</ref>
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}}
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===参考文献===
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*世界歴史大系『ドイツ史1』先史-1648年,[[成瀬治]]・[[山田欣吾]]・[[木村靖二]]／編,[[山川出版社]],1997,ISBN 463446120X
 +
*『ドイツ国制史』,[[:de:Fritz Hartung (Historiker)|フリッツ・ハルトゥング]]／著,[[成瀬治]]・[[坂井栄八郎]]／訳,[[岩波書店]],1980
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==関連項目==
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*[[騎士戦争]] - 1522年にトリーア選帝侯が攻撃されて始まった戦争。
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==日本語版==
 
==日本語版==
 
'''トリーア大司教'''（トリーアだいしきょう、[[ドイツ語]]：Erzbischof von Trier）は、[[カトリック教会]]の高位の[[司教]]で、[[神聖ローマ帝国]]の[[選帝侯]]の一人。
 
'''トリーア大司教'''（トリーアだいしきょう、[[ドイツ語]]：Erzbischof von Trier）は、[[カトリック教会]]の高位の[[司教]]で、[[神聖ローマ帝国]]の[[選帝侯]]の一人。
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[[トリーア]]に[[司教座]]が設置されたのは4世紀である。[[中世]]になると[[コブレンツ]]など[[ライン川]]沿いにも領地を持ち、[[マインツ大司教]]、[[ケルン大司教]]と並んで神聖ローマ帝国の有力聖界諸侯となった。14世紀、トリーア[[大司教]]となった[[ルクセンブルク家]]の[[バルドゥイン・フォン・ルクセンブルク|バルドゥイン]]が、兄[[ハインリヒ7世 (神聖ローマ皇帝) |ハインリヒ7世]]とその孫[[カール4世 (神聖ローマ皇帝) |カール4世]]の皇帝選出に関わって影響力を拡大した。そのカール4世の[[金印勅書]]で、トリーア大司教は7人の選帝侯の一人に指定された。[[ナポレオン・ボナパルト|ナポレオン]]が登場すると、1801年の[[リュネヴィルの和約]]でトリーアは[[フランス第一共和政|フランス]]領となり、皇帝選挙権を失った。その後、1806年に神聖ローマ帝国も解体された。
 
[[トリーア]]に[[司教座]]が設置されたのは4世紀である。[[中世]]になると[[コブレンツ]]など[[ライン川]]沿いにも領地を持ち、[[マインツ大司教]]、[[ケルン大司教]]と並んで神聖ローマ帝国の有力聖界諸侯となった。14世紀、トリーア[[大司教]]となった[[ルクセンブルク家]]の[[バルドゥイン・フォン・ルクセンブルク|バルドゥイン]]が、兄[[ハインリヒ7世 (神聖ローマ皇帝) |ハインリヒ7世]]とその孫[[カール4世 (神聖ローマ皇帝) |カール4世]]の皇帝選出に関わって影響力を拡大した。そのカール4世の[[金印勅書]]で、トリーア大司教は7人の選帝侯の一人に指定された。[[ナポレオン・ボナパルト|ナポレオン]]が登場すると、1801年の[[リュネヴィルの和約]]でトリーアは[[フランス第一共和政|フランス]]領となり、皇帝選挙権を失った。その後、1806年に神聖ローマ帝国も解体された。
  
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[Category:ドイツの司教]]
 
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[Category:トリーア選帝侯|*]]
 
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[Category:ドイツの領邦君主]]
 
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[Category:トリーア|たいしきよう]]
 
[Category:トリーア|たいしきよう]]

2017年1月1日 (日) 22:17時点における最新版

トリーア選帝侯（トリーアせんていこう、ドイツ語: Kurtrierまたはドイツ語: Kurfürstentum Trier）は神聖ローマ帝国の選帝侯の一人である。

選帝侯とは

神聖ローマ帝国では、1198年から皇帝を選挙で決めるようになった。その投票権を持つ者を選帝侯（ドイツ語: Kurfürst）という。選帝侯は、始めはマインツ大司教（マインツ選帝侯）、ケルン大司教（ケルン選帝侯）、トリーア大司教（トリーア選帝侯）、ライン宮中伯（プファルツ選帝侯）の4人だった。この4名はライン川流域の有力者である[1]。

13世紀になって、これにザクセン公（ザクセン選帝侯）とブランデンブルク辺境伯（ブランデンブルク選帝侯）、ボヘミア王（ベーメン王）が加わり選帝侯は7名となった。これらの資格や選挙手続きは金印勅書で定められている[1]。

17世紀にはプファルツ選帝侯に替わってバイエルン公（バイエルン選帝侯）が加わり、さらにハノーファー公（ハノーファー選帝侯）も加わった[2]。

聖職者であるマインツ大司教、ケルン大司教、トリーア大司教を三聖界選帝侯（聖界諸侯）、世俗の領邦君主である選帝侯を世俗選帝侯（世俗諸侯）などとも言う。聖界諸侯と世俗諸侯の最大の違いは、聖界諸侯位は世襲が行われない点にある。そのため相続による騒動や領土の分割は発生せず、長い神聖ローマ帝国の歴史のなかでも、世俗諸侯領に比べて安定していた。大司教が死ぬなどして退くと、聖堂参事会による選挙が行われ、ローマ教皇の承認を経て新しい大司教が叙任される[3]。さらに神聖ローマ皇帝の承認によって選帝侯位が授けられる[注 1]。

実際の選挙が行われる際には、トリーア大司教は7名のうち一番最初に投票を行うことになっている[1][注 2]。

トリーア大司教位

歴代トリーア選帝侯

就位年 退位年 名前 ドイツ名 英語名
1189 1212 ヨハン1世 Johann I John I
1212 1242 テオドリッヒ2世 Theoderich II Theodoric II
1242 1259 アルノルト2世 Arnold II Arnold II
1260 1286 ハインリヒ2世 Heinrich II Heinrich I
1286 1299 　 Boemund I Bohemond I
1300 1307 　 Diether Diether
1300 1306 ハインリヒ2世
（※対立司教）		 Heinrich II Heinrich II　
1307 1354 バルドゥイン・フォン・ルクセンブルク Balduin Baldwin
1354 1361 　 Boemund II Bohemond II
1362 1388 　 Kuno II Kuno II
1388 1418 ヴェルナー Werner
1418 1430 オットー Otto
1430 1438 　 Raban
1439 1456 ヤコブ1世 Jakob I
1456 1503 ヨハン2世 Johann II John II of Baden
1503 1511 ヤコブ2世 Jakob II James II
1512 1531 リシャート・フォン・グライフェンクラウ Richard Richard
1531 1540 ヨハン3世 Johann III John III
1540 1547 ヨハン4世 Johann IV John IV Louis
1547 1556 ヨハン5世 Johann V John V
1556 1567 ヨハン6世 Johann VI John VI
1567 1581 ヤコブ3世 Jakob III James III
1581 1599 ヨハン7世 Johann VII John VII
1599 1623 　 Lothar Lothar von Metternich
1623 1652 　 Philipp Christoph Philipp Christoph
1652 1676 　 Karl Kaspar Charles II
1676 1711 ヨハン8世 Johann VIII John VIII
1711 1715 カール・ヨーゼフ・フォン・ロートリンゲン Karl III. Joseph Charles III
1716 1729 フランツ・ルートヴィヒ・フォン・デア・プファルツ Franz Ludwig Francis Louis
1729 1756 フランツ・ゲオルク・フォン・シェーンボルン Franz Georg Franz Georg
1756 1768 ヨハン9世フィリップ Johann IX. Philipp Johann Philipp
1768 1801 　 Clemens Wenzeslaus Clemens Wenceslaus


トリーア大司教も参照。

  • 2世紀から21世紀までのトリーア司教のリストは下記参照。

脚注

注釈

  1. ↑ 基本的にはトリーア大司教が自動的にトリーア選帝侯となるのだが、教皇の承認と皇帝の承認のタイミングによっては在任期間にズレが生じることもある。たとえば16世紀前半のトリーア大司教リシャートは、1512年4月にトリーア大司教に就任したが、選帝侯位が承認されたのは8月になってからだった
  2. ↑ ドイツにおける聖職者の序列ではマインツ大司教が1位である。皇帝選挙ではマインツ大司教は投票の進行役であり、投票順は7名の一番最後と成る[1]。

出典

  1. ↑ 1.0 1.1 1.2 1.3 『ドイツ史1』p315-316「選挙侯と選挙手続き」
  2. ↑ 『ドイツ史1』p312-315「選挙侯と国制」
  3. ↑ 『ドイツ国制史』,p201-210「旧帝国の聖界諸国家」

参考文献

関連項目

  • 騎士戦争 - 1522年にトリーア選帝侯が攻撃されて始まった戦争。

日本語版

トリーア大司教（トリーアだいしきょう、ドイツ語：Erzbischof von Trier）は、カトリック教会の高位の司教で、神聖ローマ帝国の選帝侯の一人。

トリーアに司教座が設置されたのは4世紀である。中世になるとコブレンツなどライン川沿いにも領地を持ち、マインツ大司教、ケルン大司教と並んで神聖ローマ帝国の有力聖界諸侯となった。14世紀、トリーア大司教となったルクセンブルク家のバルドゥインが、兄ハインリヒ7世とその孫カール4世の皇帝選出に関わって影響力を拡大した。そのカール4世の金印勅書で、トリーア大司教は7人の選帝侯の一人に指定された。ナポレオンが登場すると、1801年のリュネヴィルの和約でトリーアはフランス領となり、皇帝選挙権を失った。その後、1806年に神聖ローマ帝国も解体された。

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