ヒート戦

提供: Test Wiki
2019年2月6日 (水) 23:24時点におけるJulyfestival (トーク | 投稿記録)による版 (失格と走程標)

移動: 案内検索

ヒート戦(Heat race、ヒート競走ヒート方式)は、古風なレース形態だ。

英単語の「heat」は、「(1)回戦」のような意味がある。たとえばF1レースの決勝戦は「final heat」という。野球の「イニング」、ボクシングの「ラウンド」とも同義語である。

19世紀までさかんに行われていたヒート競走は、同一馬で繰り返しレースを実施し、2度1着になったものを優勝馬とする方式である。すなわち、まぐれフロック勝ちを許さない、間違いなく確実に強い馬を選抜する競走方式といえるだろう。

ヒート競走の基本ルール

たとえばA、B、C、D、Eの5頭が出走したとしよう。18世紀から19世紀のヒート戦は4マイルで実施することが多かったから、4マイル戦とする。

まず1回目の競走(第1ヒート)が行われる。原則的に、この1走で優勝馬が決まることはないので、その意味では第1ヒートは予選とも言える。この第1ヒートで、Aが1位でゴール、Bが2位でゴール、以下、3位C、4位D、5位Eだとしよう。

次に2回目の競走(第2ヒート)を実施する。第1ヒートとのあいだには30分ほどの休憩をはさむ。距離や斤量などの条件は第1ヒートと同一である。もしもこの第2ヒートでふたたびAが1位でゴールすると、Aが2勝したことになり、その時点でAの優勝が確定する。

馬名 第1ヒート 第2ヒート 結果
A 1位 1位 ○優勝
B 2位 3位
C 4位 2位
D 3位 5位
E 5位 4位

しかしもし第2ヒートでBが1位になると、A1勝、B1勝として第3ヒートが行われる。第3ヒートでBが1位になると、Bの2勝でBが優勝馬になる。Aが1位ならAの2勝でAが優勝。

馬名 第1ヒート 第2ヒート 第3ヒート 結果
A 1位 2位 2位
B 2位 1位 1位 ○優勝
C 4位 2位 3位
D 3位 5位 4位
E 5位 4位 5位

しかし、もしもC・D・Eのいずれかが1位になった場合には、第4ヒートが行われる。そこでもまた2勝馬が出なければ第5ヒートにすすむ。

馬名 第1ヒート 第2ヒート 第3ヒート 第4ヒート 結果
A 1位 2位 2位 2位
B 2位 1位 3位 1位 ○優勝
C 4位 2位 1位 3位
D 3位 5位 4位 4位
E 5位 4位 5位 5位

失格と走程標

ヒート戦では、失格ルールがある。1位の馬がゴールした時点で、その馬よりも240ヤード(約219メートル)以上遅れていたものが失格となる。失格馬は次のヒートには進めない。

これを判定するために、ゴールポストの240ヤード手前に、失格ラインを示す標識が立っている。これをディスタンスポール(distance pole、走程標)という。この規程によって失格になったときは「distanced」と宣言され、成績表にはdisと記載される。

この規則が起源になって、競馬の世界では「a distance」というと「240ヤード」のことを意味することがある。たとえばニューマーケット競馬場のレース規程では、しばしばレース距離を「a mile and a distance」などと表示することがある。これは「1マイル240ヤード」(約1829メートル)のことである。

名馬エクリプスに由来する英語の慣用句で「Eclipse first, the rest nowhere.」(“唯一抜きん出て並ぶ者なし”)という表現がある。これはエクリプスがヒート戦をやったときに、エクリプスが他の出走馬全てを240ヤード以上引き離してゴールし、「エクリプス1位、他馬は全て失格」となったことが由来である。