キプリングコート賞典は1519年に創始されたという競走で、イングランドで最古の重賞競走とされている。キプリングコート競馬場で毎年3月第3木曜日に開催する習わしで、ヨーク州での平地競馬シーズンの始まりを告げる風物詩になっている。
歴史
この競走は、英国史上最も偉大な王の一人であるヘンリー8世(在位:1509年 - 1547年)の御代、1519年に始まったという。蔦売るところに拠ると、当時は9マイル(14,484m)で行われていたという。
開催日は毎年「3rd Thursday in March」(戦神マルスの月の第三木曜日)と決まっているが、資料によっては「Thursday」が脱落してしまって「3月3日」と誤記になっていることがあるので注意。この時季のヨーク州はまだ冬が完全には過ぎ去っておらず、しばしば酷い悪天候のもとで行われる過酷な競走としても知られる。
出走馬の斤量はすべて10ストーン(約63.5kg)と定められている。ただし競馬場の管理下で行われるものではないから、鞍を別にして、10ストーン以上あればいいそうだ。
馬齢制限はない。近年は「キプリングコートダービー」(Kiplingcoats Derby)という名で行われているが、別に3歳限定戦というわけでなく、何歳馬でも出走できる。競走馬である必要もなく、ポニーや猟騎馬の出走も珍しくないそうだ。
現代の「キプリングコートダービー」
レースの距離は、少なくとも18世紀の前半の時点では、4マイル(約6437m)に短縮されて行われている。
スタート地点は、南西に位置するイットン(Etton)集落の村はずれだ。そこから4マイル(約6437m)先のキプリングコート集落にゴール地点がある。走路はいわゆるクローズな競馬場ではなく、一般の道路や農道、ところによっては農地を走る。もちろん、相当なアップダウンがある。スタート直後は舗装道路を400ヤード(365m)走り、それからグッドマナムの丘ウォルド(Goodmanham Wold)の草むらを1マイル半(2414m)登っていく。この登り坂の高低差はおよそ208フィート(63m)ある。丘を登りきると十字路を横切り、そこからは昔の鉄道橋めがけて丘をくだってゆく。この下りは標高差303フィート(92m)。橋を渡ると、エンソープの森(Enthorpe Woods)を横目にみながら、再び1マイル半かけて丘を登ってゆく。その先がゴールポストだ。この最後の上り坂の標高差は438フィート、およそ133メートルだ。
登録は必要なく、毎年、レース当日の11時までに発走地点に競走馬と騎手が集まればよい。どの馬が出走するのかもわからない。だから、事前の馬券発売もなく、大手ブックメーカーは取り扱っていない。当日になって集まってきたメンバーをみて、急遽オッズがつけられるそうだ。発走時刻は昼の12時頃で、午後2時頃までにゴールする必要がある。
現代の「キプリングコートダービー」では、1着馬には50ポンドの賞金とトロフィーが与えられる。2着には登録料の総額が与えられるそうだが、登録料は1頭につき4ポンドなので、しばしば2着のほうが賞金が高くなるそうだ。
2019年には「第500回キプリングコートダービー」として盛大に行われた。
18世紀
1720's
1730's
1734年のMother NeashamはMiss Neashamと同一馬。一時的に現役を退いて出産、その後、復帰して改名したもの。
1740's
1750's
1760's
1770's
1780's
1790's
19世紀
20世紀
21世紀
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