トーク:D'Arcy's Yellow Turk

西洋では、紀元前4世紀のアレキサンダー大王の愛馬「ブケファロス」などが知られているものの、数多くいたであろう競走馬の固有名詞を伝える記録は乏しい。体系的なものとしては最古級の競走成績書のひとつ、1785年刊行の『An Authentic Historical Racing Calendar of all the Plates, Sweepstakes, Matches,&c. run for at York』（「ヨークで開催されてきた競馬のさまざまなすべての競走の本物の記録」）に掲載されている最古の競走は、1709年にヨーク（クリフトン・イング）で行われた「A Gold Cup」で、「MR.Metcalfe's bay horse,Wart」（メトカルフェ氏所有の、鹿毛の、古牡馬で、名前はWart）が勝ったと記録されている（血統の記載はない）。

1791年に『ジェネラルスタッドブック』が刊行されるより以前は、競走馬の名前や血統についての公刊された体系的な記録はほぼ存在しなかった。同書の編纂にあたり、各地から100年から150年ほどの情報が収集され、集まった情報から「バイアリー氏が所有していたというトルコ馬」（バイアリーズターク→バイアリーターク）、「ダーシー家所有と伝わる白いトルコ馬」（ダーシーズホワイトターク）などのように記載され、のちにこれが固有名詞化した。