読み上げソフトへの配慮
- http://www.city.yonago.lg.jp/secure/2067/howtoreadout.pdf
- http://www.soumu.go.jp/soutsu/tokai/siensaku/accessibility/L4_text2.html
- http://www.soumu.go.jp/main_content/000354698.pdf
- http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/hyouka/hyouka_kansi_n/ketsuka/33207_02_00.html
- http://www.soumu.go.jp/soutsu/tokai/siensaku/accessibility/index.html
- http://www.soumu.go.jp/soutsu/kinki/accessibility/
- http://www.soumu.go.jp/main_content/000428057.pdf
目次
基本的な考え方
この文書では、専ら読み上げソフト(スクリーンリーダー)が適切に動作するための配慮について解説します。
読み上げソフトは、何らかの視覚障害者などが利用するものです。ただし技術的には、スペルチェックソフト、翻訳ソフト、検索エンジンなどの挙動にも関係する内容になっており、単に視覚障害者だけを対象とするものではありません。
読み上げソフトとは
読み上げソフト(スクリーンリーダー)は、何らかの視覚障害がある方などのために開発されているソフトです。
このソフトは、単にテキストを読み上げるだけではなく、マウスとキーボードでの操作にかわってパソコン操作やその補助を行う機能があります。こうした機能が適切に動作するためには、テキストが適切に書かれている必要があります。
WCAG2.0の考え方
障害がある方でも利用しやすいことを、一般にアクセシビリティと言います。特にインターネットウェブについてのアクセシビリティをウェブアクセシビリティと言います。ウェブアクセシビリティについては、2004年に定められた日本国内規格(JIS X 8341-3)や、国際的な規格であるWeb Content Accessibility Guidelines(WCAG)があります。WCAGは1999年にWCAG1.0、2008年にWCAG2.0が発表され、これが2012年にISO/IEC 40500:2012として国際的に採用されています。
WCAG2.0の中には様々な規定があり、重要度によってランクA、ランクAA、ランクAAAに分類されています。ランクAはアクセシビリティの観点で最低限クリアするべき基準で、ランクAAAはクリアすることが望ましいという基準になっています。
WCAG2.0の中には、読み上げソフト以外の観点に立脚した規定もあります。たとえば光過敏症の方への配慮として、閃光を放ったり激しく明滅するコンテンツへの制約などです。本文書では、これらの規定については詳しくふれません。
- WCAG2.0 和訳版 - ウェブアクセシビリティ基盤委員会 (WAIC)による、WCAG2.0(原文は英文)の和訳版です[注 1]。
- ↑ この「和訳版」は、あくまでも英文である原文書を和訳したものです。そのため、そのまま日本語の文章に当てはめられないような条項もあります。例えばこの文書では、英語の文章の中にドイツ語の単語が混在しているような場合に、読み上げソフトがドイツ語の単語を正しく発音することができない、という事例を紹介しています。
HTML5の考え方
ウェブページの記述の基礎となるHTMLの仕様については、2016年11月のHTML5.1があります。
この仕様の中には、コンピューターが理解できるような記述を実現するための規定があります。これに則った記述をすることで、読み上げソフト等が、本来の意図に沿った挙動をすることが期待されます。
例えば、テキストを太字で表現するにはいくつかの手法があります。一般の閲覧者からみると、結果はどれも同じような太字に見えます。しかしコンピューターは、太字にするために用いられているタグごとに異なる解釈を行います。テキストを書く場合には、これらを適切に使い分けることが求められています。
タグ | 実際のみかけ | コンピューターの解釈 |
<b>太字</b> | 太字 | 単に他と区別するための修飾であり、重要性はない。 |
<storng>太字</strong> | 太字 | ここは重要である。 |
ブラウザや読み上げソフトの設定によっては、重要な部分を太字で表現する代わりに、赤文字にしたり、大きな音で発音したりするかもしれません。
社会の動き
総務省では
他の配慮点
視覚障害者が利用するツールとしては、読み上げソフト以外にも画面拡大ソフトなどがあります。これは読み上げソフトとは異なる動作をします。こうしたソフトの利用者に対する配慮としては、読み上げソフトへの配慮とは違う観点からの対策が必要になります。
たとえば、画面を拡大すると、長い文章や段落の全体を表示することが困難になります。その結果として文脈から判断することが難しくなります。そのため、文脈によって意味が変わるような単語・フレーズや略語・頭文字語の使用にあたっては配慮が必要です。
読み上げソフトの適切な動作を阻む要因
ここでは、なんらかの原因で、文章を書いた人の意図通りに読み上げソフトが「読んで」くれないような場合を示します。対策や配慮すべき点についても紹介します。
日本語以外の文字
あまりにも日本語以外の文字が多い場合など、コンピューターがそのページの自然言語を日本語ではないと誤認するようなケース。
- ウィキペディア日本語版は「日本語」で書かれることが前提になっています。
- Wikipedia:削除の方針では、ページの削除の対象とされています。(WP:DP#G 削除の方針・ケース G: ほとんどが日本語以外の言語で書かれている場合)
- 後述するように、固有名詞や専門用語など、合理的な必要があって日本語以外の文字を使う場合などには、{{Lang}}などを用いることでコンピューターにそれが日本語以外の言語であることを適切に認識させる技術的手段があります。
- (参考)WACG2.0-3.1(ページの言語)
誤字や誤変換
入力ミスや変換ミスなどに起因する誤字、誤変換などによって正しく読んでくれない。
- 「漢字」とすべきところを「幹事」としてしまった場合。 - 単に音声で読み上げるだけの場合には、誤変換に気がつかないかもしれません。
- 「漢字」とすべきところを「漢宇」としてしまった場合。 - 通常の利用者であれば、誤字であることに容易に気がつくでしょう。しかし読み上げソフトが「かんう」と発音してしまうと、音を聞いただけでは何のことだかわからないかもしれません。
- 「二口」(ふたくち)とすべきところをカタカナの「ニロ」としてしまった場合。 - 通常の利用者であれば、なんとなく意味は通じてしまうかもしれません。しかし音を聞いただけでは何のことだかわからないでしょう。
- 「コーポレーション」とすべきところを「コーポーシレョン」としてしまった場合。
複数の読み方が考えられる
- 「今日」が「きょう」なのか「こんにち」なのか。 - 同じような意味をもつ別の語に書き換える、読み方を指定するなどの方法が考えられます。