トーク:アスコット金杯

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 イギリスで生まれた競馬は、もともと馬主同士の賭けとして発展してきた。馬主それぞれが賞金を出し合って、勝ったものが賞金を総取りをする、というのがレースの最初の形態だった。やがて第三者が提供する賞金・賞品を争うタイプのレースが生まれた。このうち、高価な優勝杯(カップ)を提供するのが「カップレース」であり、たいていの(イギリス国内に限らず、イギリスの影響下にあった国でも)競馬場では、その競馬場の最大のレースがカップ戦となっている。

距離

 19世紀やそれ以前には、競馬は数マイルから10マイルの距離で行われており、距離が長くなればなるほど「強い馬」と考えられていた。したがってその競馬場の最高峰であるカップ戦はたいてい長い距離で行われている。近年の趨勢にあわせてカップ戦の距離を短縮する競馬場も少なくないが、いくつかの代表的なカップ戦は今も往時の距離で行われている。今では数マイルどころか、1マイル半でも「長距離」とみなされるが、かつての価値観では2マイルや3マイルは決して「長距離」ではなかったのである。

負担重量

 馬主同士が直接賭けを行っていた頃は、対戦馬の負担重量や競走条件はその都度決められていた。賭けというものは「どちらが勝つかわからない」「両者とも自分が勝てると思っている」状態でないと成り立たない。明らかに勝てないと思えばそもそもレースに応じないからである。別の言い方をすると、強い馬には重い斤量を背負わせ、弱い馬に軽い重量を与えれば、勝負はどっちが勝つかわからなくなり、弱いほうが勝つかもしれないので、賭けの面白みが生じる。それがイギリス競馬の原点であり、そこからハンデキャップ方式が生まれた。

 これに対し、第三者が賞金(賞品)を負担するカップ戦では、しばしば各馬に平等な負担を与える。馬主自ら賞金を負担する方式(スィープステークス方式)では、弱い馬の馬主はそもそもレースに参加しないが、カップ戦ならば、レースに参加しても賭け金を失うわけではない。だからカップ戦には参加馬が増えるし、多くの参加馬を相手に平等な条件で勝つものがいれば、客観的に見て強い馬ということになる。