六社ステークス
旧オクトーバーS
「六社ステークス」という名のレースは平成29年(2017年)に新しく登場した。
とはいえ、これは実質的にオクトーバーステークスを引き継いだもの。旧オクトーバーSは10月の府中開催の準オープン競走として、少なくとも1960年代から行なわれている。年によって距離は変わっているが、昭和62年(1987年)から芝2300mで行なわれ、2週後の東京スポーツ杯(OP芝2400m)や11月のアルゼンチン共和国杯や続く中長距離路線の名物レースとして定着していた。この時期の勝ち馬にはイタリアンカラー、アスカクラウン、アルゼンチンタンゴ、テンジンショウグンなどがいる。「東京・芝2300」という条件の上のクラスのレースは数が少なかったので、イタリアンカラーが平成3年(1991年)のオクトーバーSで記録した2:18.6というレコードが長く芝2300のレコードとして残っていた。
平成18年(2006年)からはオクトーバーSは2400mに距離延長になった。この時期の勝ち馬には、ホッコーブレーヴ(後に天皇賞(春)日G1)3着のあと、オーストラリアに遠征してコーフィールドC・メルボルンCに出走。)、トーセンバジル(オクトーバーS優勝のあと、ジャパンCに出走、翌年には香港に遠征して香港ヴァーズ3着。その後オーストラリアに移籍)、ダイワキャグニー(オクトーバーS優勝のあとジャパンCに出走。)などがいる。出世頭はゴールドアクターで、オクトーバーS優勝のあとアルゼンチン共和国杯日G2を勝ち、さらに有馬記念日G1を勝つなど5連勝を決めた。
平成29年(2017年)、10月の府中開催のレース名の交換があった。それまでアイルランドTがオープン芝2000mで行なわれていたが、この年に日本とアイルランドの外交樹立60周年を迎えるにあたり、府中牝馬Sが「アイルランドT府中牝馬S」と改称することになった。これに伴い、旧アイルランドTが「オクトーバーS」に改称、そして旧オクトーバーSが「六社S」に改称した。
2016年から2017年の変更 | ||
2016 | 2017 | |
府中牝馬S OP(日G2) 芝1800 |
→ | アイルランドT 府中牝馬S OP(日G2) 芝1800 |
アイルランドT OP 芝2000 |
→ | オクトーバーS OP 芝2000 |
オクトーバーS 準OP 芝2400 |
→ | 六社S 準OP 芝2400 |
レース名
府中の東京競馬場の敷地は、北西の角が欠けた姿をしている。そこは、飛鳥時代に遡る歴史を持つ、武蔵国総社の大國魂神社の境内地だ。神社は別称「六社」という。ここ1社に参拝するだけで、関東地方の有名神社6社をお参りできちゃうからだ。
伝承によると、12代景行天皇の御代 ― 明治時代に定められた歴史書にしたがえば、西暦111年 ― 大國魂大神(≒大国主)がこの地に光臨した。以来、これを奉斎するお宮として大國魂神社が創建されたという。ま、それが歴史的事実であるかどうかはこの際おいといて、大化の改新の時点ではすでに神社が存在していたことは確かのようだし、前九年の役に際し、源頼義・源義家の父子が、神社の前の馬場大門に欅並木を整備したのも史実のようだ(1062年)。
織豊時代の天正18年(1590年)に、徳川家康が江戸に転封になると、大國魂神社を武蔵国総社と定めた。そして、東京都と埼玉県と神奈川県の半分を含むぐらい広い武蔵国の各地に散在する、一ノ宮から六ノ宮までを、ここ一箇所でお参りできるようにした。多摩の小野神社、あきる野市の二宮神社、埼玉県大宮の氷川神社、秩父の秩父神社、ほぼ群馬の神流川沿いにある金鑚神社、それに横浜の杉山神社がそれ。
明治の神仏分離によって、境内はいくつかの寺や神社に分割されたので、いまの府中競馬場にじかに隣接しているのは安養寺や妙光院といった寺院になっている。
歴代勝馬
2020年 - 2029年
2020 | .10.11 | 六社S | 準OP | 3上 | 定 | 東京 | 芝 | 2400m | 稍重 | グロンディオーズ | 5 | 牡 | ルーラーシップ | 2:26.4 |