竹田川
竹田川 - 天神川上流部
目次
流路・支流
本項では便宜上、つぎの四区分に分ける。
- 源流域 - 大谷川、田代川、福本川が合流して「天神川(旧名・吉田川)」になる地点まで
- 上流域 - 三徳川が合流する地点まで
- 中流域 - 小鴨川が合流する地点まで
- 下流域 - 河口まで
源流域
大谷川
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大谷川は天神川の源流域をなす支流の一つで、
田代川
|} 田代川は、岡山県鏡野町との間にある田代峠(標高930m)の鳥取側に発する。指定延長は2.8km、流域面積は10.6km2である[1]。
田代峠(田代越)は、伯耆国東部(倉吉平野)から美作国へ至る「作州往来[注 1]」の道程で中国山地を越える峠である。伯州往来で中国山地を越えるには3つのルートがあり、西から順に田代越、人形仙越、打札越と並んでいた。このうち田代峠は、田代地区から田代川沿いに遡り、[美作国の羽出村(現在は岡山県鏡野町奥津)へ至る険路だった[2]。
明治10年代(1870年代後半から1880年代後半)に峠道の整備が行われ、旧来の人形仙越と比べて約12キロ道程が短縮されると、山陽・山陰を結ぶ重要路になり、毎日100人以上が通るようになった[3]。これにより沿道(作州往来)の村(旧竹田村や三朝村など、現在の三朝町の母体)は人足や宿、茶店などが繁盛したが、1912年(明治45年)に山陰本線が全通して倉吉から京都までの鉄路が通じると、田代峠越えのルートは一気に廃れた[3]。このルートは後に、岡山県道・鳥取県道116号羽出三朝線として整備が進められたが、2014年現在も全通していない。鳥取県側では県道16号線は田代川に並走している。
田代川は、若杉山(標高1020m)と高丸山(標高910m)の間を北西に進み、狭い谷底平野に形成された田代地区へ至る[2]。田代地区を出ると、落差130mの「四十八滝」となって下り、座性寺地区へ出て、まもなく大谷川と合流する[2][4]。
この高低差を利用して1911年(明治44年)に下畑発電所が建設された。さらに1927年(昭和2年)には下流に下西谷発電所が建設され、下畑発電所で使用された水が送水管を経由して下西谷発電所で再利用されている[2]。
田代川の流域は、明治初期から郡区町村編制法時代まで田代村を号していた[5]。1889年(明治22年)の町村制施行のときに、大谷川沿いの大谷村、下畑村と合併して源村となった[6]。旧村域には鉄山の遺構が散在する[5]。
福本川
|} 福本川は天神川の左岸から合流してくる支流である。
竹田川(天神川本川)のほかの多くの支流と異なり、三朝町西部で倉吉市との境をなしている標高660~600mの小起伏山地から南進する。福山地区の最奥にあるアヤメやミズゴケが自生する湿地帯が水源域で、狭い小盆地を「福山川」として南流する[7]。福山川には特別天然記念物のオオサンショウウオが棲息する[8][9]。また、流域のツクシシャクナゲは三朝町の天然記念物である[8]。この福山地区は、もともと「峰郷」と呼ばれる原野だったが、1816年(文化13年)に下流の四十曲村の住民によって開墾されて「鶴が平」と命名された[7][5]。開墾地が発展すると、1828年(文政11年)に分村することになり、瑞祥地名として「福山村」となった[7]。
福山地区を抜けると、急流となって落差約100メートルを一気に下る「不動滝」となる[8]。滝を下ると「福本」地区で、支流を3つあわせて「福本川」になる[7]。福本地区は1875年(明治8年)まで「四十曲村」といい、仏ヶ仙の東峰の四十曲峠[注 2]を越えて津山へ至る「久世往来」の要衝だった[8][5][7]。近代に峠道は県道になったが難所が残り、中国自動車道が開通にあわせて国道482号に昇格して整備された。付近にはかつて温泉が湧いていたと伝わるが現存しない。集落の入口の2本のヤブツバキの古木は鳥取県の天然記念物になっている[7][8]。四十曲村は上流側の柏村と合併する際に、四十曲村の人間が福山村を拓いたことを示すために「福本村」と改称した[7]。柏山地区は1960年代に無人となり、原野になった[5]。
福本集落を出た福本川は、大きく北東へ向きを変え、深い谷を形成して上西谷地区で大谷川と合流する[7]。福本川の長さは3.6km(指定延長は3.2km)、流域面積14.6km2[9]、県道38号が並走している。
上流域(竹田川)
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主な支流
加谷川
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加谷川(かだに-)は、天神川の上流のうち大きな支流の一つで、人形峠に近い標高700~800メートルの準平原である高清水高原から発する[10]。流域面積は25.3平方キロメートル、長さは9.6km(うち指定延長は6.2km)ある[10]。
人形仙の北側の山麓を南北から支流を集めながらほぼ真西へ流れ、穴鴨地区で天神川本川(旧名・竹田川)に合流する。
加谷川の上流域は原生林が生い茂り、中世には木地師の集落があったほか、他の川の上流域と同様に採鉄も行われていた。近現代にはこの源流域で堆積型のウラン鉱が発見され、採掘が行われた[10]。
明治期を通じて、加谷川の流域は「東竹田村」を号しており、1911年(明治44年)1月1日から、竹田川源流域の「源村」、福本川流域の「西竹田村」と合併して「竹田村[注 3]」となった。加谷川と竹田川の合流地点である穴鴨地区は、かつてこの竹田村の中心地区で、現在は郵便局や派出所、学校などが残っている。
三徳川
詳細は三徳川参照。
中流域
主な支流
小鴨川
詳細は小鴨川参照
下流域
主な橋梁
環境
歴史
治水
断章
- 源流は今源村
脚注・出典
参考文献
- 国土交通省中国地方整備局
- 河川コード台帳 一級水系 天神川水系 2011年3月版
- 天神川水系コード表2007年3月版
- 天神川水系河川整備計画 基本方針
- 天神川水系河川整備計画 (2010年)
- 天神川 室戸台風に負けない天神川
- 国土交通省中国地方整備局 倉吉河川国道事務所
- 鳥取県庁
- 『増補 大日本地名辞書 3巻 中国・四国』,吉田東伍,冨山房,1902,1912増補,1976再版
- 『鳥取県の地名(日本歴史地名大系)』,平凡社,1992
- 『鳥取県大百科事典』,新日本海新聞社鳥取県大百科事典編纂委員会・編,新日本海新聞社,1984
- 『日本地誌 第16巻 中国・四国地方総論、鳥取県・島根県』日本地誌研究所・編,二宮書店,1977
- 『図説日本文化地理大系4 中国1』,浅香幸雄・編,小学館,1962
- 『日本の文化地理 第13巻 兵庫・岡山・鳥取』講談社,1970
- 『県史31 鳥取県の歴史』,内藤正中・真田廣幸・日置粂左ヱ門・著,山川出版社,1997
- 『河川大事典』,日外アソシエーツ,1991,ISBN 978-4-8169-1017-3
- 『日本全河川ルーツ大辞典』竹書房,池田末則・監修,石利夫・編著,1979,ASIN B000J8BHIC
- 『日本山岳ルーツ大辞典』竹書房,池田末則・監修,石利夫・編著,1997,ISBN 978-4812403440
- 『日本の山1000』山と渓谷社,1992,1999,ISBN 4-635-09025-6
- 『日本滝名鑑4000』木田薫・写真・解説,東方出版,2005,ISBN 978-4885919343
- 『事典・日本の観光資源 ―○○選と呼ばれる名所15000』,日外アソシエーツ(株)・編,紀伊國屋書店,2008,ISBN 978-4816920868
- 『ふるさとの文化遺産 郷土資料事典31 鳥取県』,ゼンリン,人文社,1998
- 国土地理院地図
- 1:25000地形図「三朝」NI-53-25-4-2(松江4号-2)
- 1:25000地形図「岩坪」NI-53-19-16-4(鳥取16号-4)
- (電子国土Webでも閲覧可能)
- 国土数値情報(河川データ) ,国土交通省,2006
- OpenStreetMapなどで閲覧可能
- 『名勝史蹟三徳山三佛寺全景』,三徳山正善院・鈴置瑞澄,1910
- 『神と仏の宿る山 三徳山あれこれ』三徳山開山千三百年祭実施委員会,2005
- 「近世伯耆国河村郡の神社と村落[1]」,白石太良,1987
注釈
出典
- ↑ 『河川大事典』p601「田代川」
- ↑ 2.0 2.1 2.2 2.3 『鳥取県大百科事典』p551「田代川」
- ↑ 3.0 3.1 『日本地名大辞典 31 鳥取県(角川日本地名大辞典)』p1034-1044,「東伯郡三朝町」
- ↑ 『日本の山1000』p610「若杉山」
- ↑ 5.0 5.1 5.2 5.3 5.4 『鳥取県の地名(日本歴史地名大系)』p471-492「三朝町」
- ↑ 鳥取県庁 鳥取県市町村の変遷2014年9月15日閲覧。
- ↑ 7.0 7.1 7.2 7.3 7.4 7.5 7.6 7.7 『日本地名大辞典 31 鳥取県(角川日本地名大辞典)』p666「福本川」
- ↑ 8.0 8.1 8.2 8.3 8.4 『日本地名大辞典 31 鳥取県(角川日本地名大辞典)』p1041-1042「福本川」
- ↑ 9.0 9.1 『鳥取県大百科事典』p847「福本川」
- ↑ 10.0 10.1 10.2 『鳥取県大百科事典』p175「加谷川」
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