中尊寺を出た後、次の行き先を決めなければいけないのだけれど、
思い浮かばない。
東北・奥州といえば・・・・?
わんこそばだよな!
正直、2005年の俺は、
東北地方の地理について無知だったと言わざるをえない。
仙台を越え、三陸に入り、中尊寺まで来たことで、
陸奥国のほぼ全域を征服したような気分でいた。
だから、わんこそばを食べに盛岡まで行こうと考えた時に、
そう、ちょっと横浜から川崎までお出かけする、
そのぐらいの距離感で思っていたのだった。
平泉から盛岡までは、
高速道路で移動したわけだけど、
これがまあ想像をはるかに上回る勢いで遠かった。
約80キロメートル。
途中のことは、あまり覚えていないが、
ひとつだけはっきりと覚えていることがあって、
それは、反対側車線でトレーラーが炎上していたことだ。
炎と煙はかなり遠くからも見えたので、
一体何事かと思ったよ。
盛岡はさすがに新幹線の終点だけあって、ビッグシティだった。
なにしろ高速道路のICから盛岡駅までは甲府かよっていうぐらい遠い。
そして、中心部の一方通行や右折禁止、トリッキーな橋のせいで、
盛岡駅にインするまで、かなり手間取った。
さて、この日は実は、朝からほとんど何も食べていない。
つまり、お腹が減っているのだ。
そのせいかもしれないが、
盛岡市の印象というのは、
とにかく女が全員美人
ということしか残っていない。
というわけで、交番で わんこそばを食べれる店を教えてもらい、
わんこそばゲットである。
わんこそばの感想は、
想像以上に面白かった
単なる食い物だと思っていたが、それを超えた、
エンターテイメントだった!
ひょっとしたら人々はアニメやマンガで知っているのかもしれないが、
わんこそばを注文すると、背後にスタンドみたいにお姉さんが立つ。
このお姉さんは、お蕎麦を足してくれる天使の様なメイドさんでもなければ、
まかないさんでもない。
そもそも、このお姉さんは味方ではない。
どっちかって言うと敵だ。
お姉さんのスタンド能力は、
とにかくおわんにお蕎麦をつぎ足す能力だ。
おそらく、この能力は遠隔自動型だと思う。
俺が、もうお腹いっぱいであるとか、
ちょっと一休みとか、もう吐きそうであるとか、
ちょっとお茶を飲みたいとか、
鼻から蕎麦が出てしまったとか、
そういうアクシデントが起きても関係ない。
とにかくお椀が空いたら蕎麦を足す。
いや、もういいです、と言っても足す。
ちょw まじもうこれで無理でふ
と言っても足す。
パッと食べてパッと蓋をしようと思っても
それよりも素早い動きで蕎麦を足す。
しかも、お姉さんは独特のお囃子をいれてくる。
はいはい、それそれ、はいはい、
と、俺がペースを緩めることをタマ姉みたいに絶対に許してくれない。
蕎麦を足すのを止める方法は、お姉さんを倒すしかないんだ。
もう覚えていないけれど、
45杯ぐらい食べた気がする!
その後、盛岡市街をフラフラした。
なんでふらふらしたのかも覚えていない。