第3話 ちゃんと言って、ここに書いて

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夕方、大阪での仕事が終了。
帰り道はどうするか決めていなかったが、
思ったより早く仕事が片付いたので帰路も北陸路を行くことを決めた。



まずは来た道を戻る。
乗るのはもちろんサンダーバード。


往路では爆睡したせいで見れなかった琵琶湖をじろじろ見ることに。



東海道線の岐阜周りだと琵琶湖のそば通るくせに全然見えないよね



やっぱ日本一の広さだけあって確かにでかい
対岸が見えないレベル

むしろ水平線



たしかに「海」と言っても問題ない広さ
だが、波が無いから海とは違うのはなんぼなんでもわかるだろw

と思うのは板東の田舎武者よのう

瀬戸内の海を見た俺からすれば
瀬戸内海の波の無さっぷりもこれと同じぐらい

よって世間知らずの近畿人が琵琶湖を見て海だと思うのもやむを得ない



湖西線は想像以上によい眺めだった


湖西は平和。農村。
みんな家の外壁は板を縦に貼って、2階の途中まで黒く塗ってある。




さすがに
あゆ様の誕生日は冬至に近いだけあって、
夕方5時半を過ぎるともう暗い。
永平寺も行ってみたかったが全然無理な時間

琵琶湖を離れてトンネルを抜け、福井県に入った途端に真っ暗森。
何も見えないレベルだ。
おとなしく外を見るのはあきらめてぼけっとすることに。

大阪から1時間半で敦賀。
新幹線なら東京から名古屋に着いてるレベル。
やっぱり思ったより遠いな。

敦賀に着いた途端にスコールみたいな土砂降りになった。


問題は今夜の宿だが、
泊まるところを決めなければいけない。

と言っても、全くアテがない。
北陸については地理感ゼロだし、どこに何があるのかもわからないレベル



とりあえず「温泉」と名のつく駅で降りてみた





さよならサンダーバード
さよなら福井県
結局福井駅にちょっと降りただけだったね

いつかまた来るよ



さて、降りてみると、「加賀温泉」駅というくせに、
「加賀温泉」という温泉は無いようだ。

そのかわり、この駅の周りにはいくつも温泉がある。

もともと、この「加賀温泉駅」というのは無かったそうだ。

温泉目当ての観光客を集めるために、
隣同士の大聖寺駅と動橋駅で、特急をどちらに停めるか、
地元同士の凄絶な争いがあったと聞く。
たぶん鍵を投げつけたりしたんだろうね

血で血を洗う凄絶な北陸代理戦争の果てに、
結局両駅の中間の原野に新しく駅をつくり、
そこを『加賀温泉駅』という名にしてそこに特急を停めることにしたそうだ。

大聖寺民も動橋民も乙だよね



西日本もそうなのだが、
北海道や北日本の温泉に慣れた俺としては、
活火山がないのに温泉があるというのは合点がいかない。

どうせあれでしょ
鉱泉を沸かして温泉呼ばわりなんでしょ
って思うが、
まあ山奥にある方がなんか温泉ぽいよね

火山じゃないのに海の近くにある温泉って何か信じられん

というわけで、駅から一番遠いが、一番山奥にある山中温泉をチョイス。
すかさず宿も決めた。


とりあえず、駅からはバスだ。



バスの前をたぬき?が横切ってパス急ブレーキ
夜の雨の山道で急ブレーキこえぇよ

バスで30分。
山中温泉のバスターミナルに着いたのはもう夜の7時だ。
バスをおりると町はもう真っ暗闇。

予想どおり案内看板の一つもないので、交番で宿までの道を尋ねる。
入り口のドアのあけ方がわからなくって、初老のおまわりさんが身振りで教えてくれた。

聞いてみると宿はすぐだった。

とはいえ、
12月の北陸の冷たい雨の中、
真っ暗で誰もいない道を歩くとさすがに冷える。

ついてみると、期待どおりの古めかしい和風旅館。

写真の都合上、朝の写真だけどね
http://www.tokiwakan.burari.biz/index.html


女将さんはこれが眼鏡美人。
イメージはこんな感じ
若奥様タイプ




松尾芭蕉の直筆の掛軸がご自慢の宿だ。

で、つくと早速、宿帳を差し出された。

「ちゃんと言って。
 ここに書いて。」



なにしろ今日の夕方に急に予約をしたわけなので
身元不審に思われてもしかたがないよね



 次回 第4話 それ…なんの冗談?