第4話 それ…なんの冗談?

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さっそくお部屋に通される。
もちろん今日もお宿は貸し切り。
つまりメガネの似合う美人女将と一つ屋根の下マンツーマン




廊下は息が白くなるぐらい寒いが、部屋はストーブでぽかぽか。
ゆるむ。

部屋は京間の8畳。
ぼろぼろの砂壁に、完全な飴色に染まった長押、
柿?の床柱に床の間には掛け軸。
いいかんじ。
風邪気味だし、
温泉入って静かで落ち着いた広い和室でゆったりすごそうとおもっていたのにぴったり。



女将
「お茶入れますか?
 いや、ほら、たまにお客さんでお茶いらないって言う人がいますからね、
 一応聞いてから出すことにしてるんですよ、はい、
 あれ、ちょっと早まった。全然出てないわ」

って言いながら白湯が入った湯呑みをすすめられる。

見た目と裏腹なまさかの天然系属性。
意外性が売りか
なかなかユニークな言動が魅力だ。

見た目はツンメガネ女教師系なんだけどね



女将「今日は寒いですねえ、雨も降っちゃって」

俺「ええ、雨具も無かったので、バス降りてからここまで寒かったですよ」


女将 「傘ないんですか?
   この辺りはよく雨が降りますからね。
   北陸じゃあね、『弁当忘れても傘忘れるな』って言うんですよ」


俺「へぇ?もう12月ですけど、
  この辺りは雪はずいぶん降るんですか?」


女将 「降るなんてもんじゃないですよ?
   無駄にどさどさ降りますよ」


俺「無駄ですかw」


女将ええ、あれはゴミですね」



女将
「どうします?すぐにお食事にしますか?
 それとも先お風呂にします?
 いわゆるご飯になさいますか、
 それともお・風・呂?ってやつですね


何を言っているだっ!?
と言いたくなるレベルの無茶ぶりだが、
女将さんは眼鏡美人なので、いや、まずはきみをいただこうか、
と言ってもいいレベルだけど、まずはご飯をチョイス。

予想どおり、ご飯は別室。
別室と言っても、要するに隣の客室。
貸し切り状態のときのおきまりパターンだね。
熱燗一本頼んだ。

夕食も女将と半分マンツーマン。
女将自ら食事を運んできては、
俺とおしゃべり。
お酌もしてくれるレベル。

ほたて、ぶり、ボタン海老の刺身。

山の温泉で出る刺身の残念ぷりは異常だけど、
さすがに越前、ぶりはうまい。
ホタテとボタン海老は普通。

茶わん蒸しが熱々でうまい。
茶碗蒸しが好物の俺にはうれしい


あとは当然越前カニ。

急な予約の割にはがんばってくれた。



これが何だったかもうわからん





さて、食事の最後に出てきたご飯についてきたのがこれ。

ちょっとラッキョウみたいにも見えるが、
左下の白いの、これ長ネギの漬け物だ。

たぶん俺は長ネギの漬け物は初体験。

俺「北陸では長ネギのお漬け物があるんですか」



女将 「いや全然。
    私も初めて見ました」



俺「え?」




女将 「これもらい物なんですよ。
    どこのお土産だったか・・・」



俺「は、はぁ。」



女将 「長ネギのお漬け物なんてヘンですよね
    普通に食べた方が美味しいですよね」


俺「それ…なんの冗談?」


それを出された客の気持ちの事も考えて欲しいよねw

俺「女将さんも食べませんか?」


女将「いらないです」



女将「そんなことより、お風呂も沸いてますから入ってくださいね」




というわけでお風呂にきたわけだが、
もちろん客は俺一人なので、お風呂が貸し切り状態なのは当然。

死ぬほどのんびりできるわけだが


男湯と女湯はステンドグラスで隔てられている。

で、その女湯の方も電気がついていて
お湯の音が聞こえて人影が映っているんだけど



今夜は俺と女将の二人しかいないわけだから・・・













俺「女将さん?」



女将「はい?」










この宿に泊まりたい子は


 次回 第5話 はい、ぱちぱちってして